こきたねえ親父考
こきたねえ親父という生き物がいる。
ただの親父ではない。ただの汚いゴミでもない。こきたねえ親父である。いつ死語になってもおかしくなかったこの言葉は、JKからAVまで様々な階層に使われ市民権を得ているのだ。
小汚い。この小気味のよい響きに秘められているのは、それそのものの汚物度(すごい言葉だ)ではなく、きれいなものを汚してしまいそうな予感だ。
小汚い親父に対してきれいな親父がいるのではない。美しく純粋でピュアな何かを犯そうな予感に満ちあふれた、つまるところ、悪そのものの完全な形容として成り立つのだ。
こきたない親父。それはきっと美しい花を暴力的に散らす悪である。
小汚い親父。それはきっと清流の透明を汚濁させる悪である。
こきたないおやじ。それはきっと秘匿された聖域を塵埃に変化させる悪である。
だからこそ、こきたない親父たちは真に汚い仕事を裏面に隠す悪でもある。誰が花を散らし、誰が汚濁を望み、誰が聖域の破壊を望むのか。小汚さの裏側にいて、自分たちだけがキレイであろうとする者たちこそが真実のきたねえ悪なのだった。
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「だからっていっても、汚い親父はほんと汚いよねー」
「汚い。ライザップやってるって自慢しててほんと、気持ち悪い」
「えー、ライザップやってるの? うわ、キモッ」
「キモーイー」
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