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読書記録#1 『おれに聞くの?』

2024年最初の読書は、山下澄人さんの『おれに聞くの?』(2024/01/08読了 非ビジネス基礎)

本書は、コミュニケーションサービス「Mond」へ投稿された質問や相談に対して、山下さんが答えるという人生相談のエッセイ。と思いきや、なかなか投稿者への質問や相談にストレートに答えていない!逆に大きな問いを与えられ、読者であるこちらが考えるという、まさに哲学書。ということで、本書は非ビジネス基礎・哲学書へ分類。

失礼を承知で、読む前は小説家のエッセイだから、年末年始で餅のように弛んだ頭でも、気軽に読めそうだなと油断して読み始めたのだが、甘かった。すごく考えさせられる。寝る前にベットで読むと、難しすぎて秒で寝るから、朝や家事の合間に、少しずつ読み進めた。

85件のお悩みに、さらに問いを投げかけてくる形式なので、一つ一つは短いが、自分の中に落とし込まれるのに時間がかかる。そのため、私はお悩みを一つ読み、家事をしている間に、内容について考えるという読書法で、本書を読み進めた。決して食後や就寝前のボーっとした頭では、読んではいけない。読書を楽しむって一体……。

相談の内容は、大きく「1生きること」「2書くこと」「3関わること」に分けられており、時代や世代を問わず、普遍的なものなので、また折に触れて読み返すと、今の自分に響く山下さんの言葉が変わりそうで、何度でも楽しめる。一方で、終わらない夏休みの宿題を延々としている気にもなってしまうかも。成熟した人になりたい。

今の私に響いた言葉のメモ 3つに厳選

小説は「これは全部嘘だ」といいながら「しかし全部ほんとうだ」といいたいときにいえる。

山下澄人さんが『おれに聞くの?』まえがきにて

私が小説を読み続ける理由な気がする。小説で書かれていることは、フィクションであるが、そこで描かれる人間の心理は、本物であり、だからこそ感動する。嘘から本物を作り出すことに、感動しているのかもしれない。しらんけど。

いきなり前提をぶち壊してしまいますがわたしは「個性」などというものを信用していません。どれもたいして違いがない。あるのは「好み」です。

山下澄人さんが『おれに聞くの?』の中で

なんだか救われた。個性がないとダメ、みたいな空気感が強くなっていると感じる昨今。この投稿者と同じように「個性とはどのようなものですか」と不思議に思っていたので、なるほど「好み」か、と合点が入った。そして、なんだか強気になった。

「今」は「未来」の保険ではないし、つながりもしない。今が未来につながっているように見えるのはそうした「物語」をわたしたちが信じているからです。もしくはそれ以外の物語を知らないからです。

山下澄人さんが『俺に聞くの?』の中で

将来の不安を煽られることが多い気がする。そして、まんまとそれに踊らされ、今を楽しめていない気がする。まさに私自身が未来ばかりを見つめ、その保険として今の選択をしていた。未来は結果でしかない。もっと今を見つめよう、と腑に落ちた。でも、また踊らされることが容易に想像がつくので、それ自体を楽しめるようになりたい。


自分に宛てた読書記録だからいいんやけど、読書感想文を書くの苦手だった、ということを思い出した。これで1年後、少しは成長しとるんかいな。ひとまず、騙されたと思って続けてみよう。

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