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#Steam ストア審査に落ちないために注意すること

個人でゲームを開発しています。PCゲームをDL販売するサイト「Steam」ストアにてゲームを何本か登録・販売しています。ゲームを販売するためにはいくつか審査があるんですが、私は2020年内に9回落ちています。

過日「何でそんなに落ちるのか?」について上記記事を書いたところ、極めてニッチな内容であるにも関わらず反応をいただいたので、「じゃあ落ちないために何をすればいいのか?」についても記しておきます。

なお、本稿は「ストア申請」=ストアプレゼンス の審査について書いております。ビルド審査については、当方非プログラマなので解説書けるほど詳しくありません。ごめんね。

ただし本記事から年数が経って審査に出される場合は状況変わってるかも知れないのでご注意ください。

よそのSteamページを参考にする

例えば日英登録する際、よそのページがどうなっているかチェックするとヒントになります。しかし、steamの対応言語を毎回変えて読むのはちょっと面倒だったりします。

簡単なチェック方法としては、
https://store.steampowered.com/app/1352910/Haru_to_Shura/?l=japanese

……みたいな、末尾が「japanese」って表示される箇所をenglishに書き換えると簡単に英語版を閲覧できます。

日本語のみ対応とか、似たジャンルがどのようなページ構成になっているか、参考にして真似すると良い……と思いきや、そうでもないことも実はあります。

しかし、他のSteamページを参考にしない方がいいこともある

私は審査前に他の方のページを参考にして真似して素材を準備して提出したら落ちたケースが何度かありました。具体的には「スクショにコンフィグ(メニュー)やタイトルなど、ゲームプレイシーン以外を含める」、「詳しい内容は置いといて、イメージが膨らむようなテキストにする」などです。

Steamは、一度審査に通りさえすれば一旦アップした素材を入れ替えても大丈夫な作りになっています(推奨されてはいないと思いますが)。なので、おそらく私が参考にしたページは「審査を通って入れ替えたあと」の素材だったのでは、と推察されます。

他の方のページ素材が審査に通ったものか、後から入れ替えられたものかどうかは分かりませんので、丸々OK基準の参考にしない方が良いでしょう。

私が参考にするページは、チラズアートさんやnpckcさん、Rusty Lakeのような「似たジャンルの短編を短いスパンで出されている」開発者さんです。これは「審査に通す方法を熟知している」「効率化を重視されているだろう」と推察できるからです。あと自分が出してるゲームのジャンルに近い。


タイトルやロゴはスクショ以上に注意が必要

製品版、体験版でタイトルを統一する必要があります。また、バナーに表記するロゴとの整合性を求められることもあります。地味にチェックが大変で、私はこれが原因で何度か審査に落ちています。サブタイトルがあったり、複数言語あるときは特に注意が必要です。

また、体験版はバナーに自動で体験版と分かる黄緑色の帯がつくんですが、そのときロゴに帯がかかっていると審査に確定で落ちる原因になります。

スクショはとにかくゲームシーンでさえあれば良いので、審査に通すためには凝る必要はなく、それよりもタイトルやロゴのチェック見落としがないか重ねてチェックする必要があります。

日本語版のみでも英語素材は必須?

Steamで売るなら英語版もリリースしたいところですがローカライズ費用の関係で諦めることもあるでしょう。

日本語版のみでストア審査に出す際、バナーやスクショ、テキストをどうすればよいか? に関して、2023年9月現在私が調べた限り、以下のような方法で審査に通るようです。

-バナー等にはローマ字でルビ等ふらなくてもOK
-スクショは英語スクショ欄にも日本語スクショを入れておけばOK。空っぽだと通らない。英語スクショはデフォルトで登録されるので、消さずに日本語スクショを追加登録する。

日英版がある場合はこう 英語版ない場合は、左のサムネが日本語スクショの状態でok

-メタデータ(ストアのゲーム紹介文)は、「英語」のプルダウンが空だと審査に出せないっぽいので日本語を入れとけば通る様子=日本語を英語のプルダウンと日本語のプルダウン両方に入れる。

ざっくりいうと「英語部分を空っぽにしない」のが重要みたいです。ストアページは「対応言語がない場合には英語版が表示される」、例えば日英のみ対応のゲームを中国の方が閲覧した際は英語のバナーや説明文が表示されるためでしょう。

なお「タイトルは英訳がないと落ちる」という噂をTwitterで見かけたのですが、2023年9月現在、英語タイトルがなくても通っているページもあるのでガセか、ないしなんしか「英語部分を空っぽにしない」なら日本語入れておけばOKなのかも知れません。


画像やテキストが面白そうじゃなくてもよい

どんなスクショにしよう、どんな説明文にしようと考えるとそれだけで時間がすぎてしまいます。面白そうに見えた方がいいのは当然なんですが、Steamページは審査に通ったあと、ページを公開するタイミングは自分で決められますし、後から追加や修正もできますので、「お客さんが見て楽しそう」なのと「審査に通る」は別物と考えて、早く審査に通したいときほど特に「最低限ゲームがどういうものかわかる」素材にすると良いです。

例えばAppleのアプリ審査では「ゲームのルールが単純すぎる」という理由で審査に落ちた、と友人から聞いたことがありますが、Steamでは私の知る限りゲーム内容が面白そうじゃない、という理由で落ちると聞いたことはありません。

逆に、Appleのアプリ紹介ページではソシャゲなんかですと特にゲーム画面を文字や装飾で分かりやすく面白そうに飾り立てたスクショなどが採用されていますが、Steamでこれをやるとまず審査に通らないようです。

例えばスクショは5枚以上登録できますし、ストアプレゼンスでも動画は登録できますが、余分なスクショや動画で審査に落とされたらいやなので、私は審査時はスクショ5枚だけ、動画はなし、テキストは事務的なやつ最低限(後述)で、審査に通ってから追加するようにしています。

メタデータ(紹介文)は極めて事務的に、ジャンルは必ず書く

上記に関連して、おそらくもっとも審査落ちの原因になるであろうと思われる重要項目が「このゲームについて」欄のテキストです。

Failure: Your store page has failed our review because the "About This" section doesn't fully explain what features and content a customer can expect to be included with their purchase. We would like to see some more detail about the gameplay and features. For more info about this, please see our documentation:

私もこの理由で一度落ちたことがあるのでお察しします。なお、その際は「INSIDE」や「アンダーテイル」のような、ふんわりしたイメージっぽいテキストを入れていました。

冒頭で述べた通り、おそらくこういったイメージ優先のゲームは「事務的なことを書いて審査に通し、あとから修正している」ないしSteamに直接交渉した? 等と推察されますので、参考にせず、特に「このゲームについて」の冒頭には「何をするゲーム+ジャンル」を最優先で書きましょう

例:空前絶後のわちゃわちゃバトルで大騒ぎ!!
→「(ゲームタイトル)」は2VS2の非対称型オンラインアクションパズルゲームです。

このメタデータは一回で通りました

なお、どうも「ゲームプレイ体験」よりも用語の説明や「こんな人におすすめ」などのテキスト量が多いとそれも落ちる原因になるようです。アピールポイントを書くよりは、コンセプトや特徴を端的に書くのが重要視されるっぽい、という認識でいます。

AIを含むコンテンツは審査に落ちる?

SteamではAIを用いたゲームが審査に落ちるという噂があり、落ちたという開発者の声がtwitterやReddit上に散見されていました。

しかしながら、それが本当ならAIをメインで扱っているゲームがBANされていないことの説明がつきません。

その後、Valveが出した声明がIGNさんによって記事化されています。

「開発者がすべての必要な権利を有していないゲームを配信」できない

……なんかふんわりしてる。そしてAUTOMATONさんの記事によると「AIで作ったコンテンツを取り下げて再申請してもリリースを拒否された」ということです……?

しかしさらにその後、再申請なしで承認されたと思われる記述の記事をみつけました。

Valveから永久的なBANを引っ込め、ChatGPTの機能を削れば再登録を認めるという方針に変えたとの連絡を受けたということです。しかし、すでに機能を削ったものを登録済みだったため、さらに再提出が必要かどうかを迷っている間に、承認されたそうです。

この記事を読んだ方のツイートで「単なるAI嫌いなのでは……」と推察するものがあり、正直私もそのように思いました。そもそもAIが問題ならAIの機能を削ったバージョンまで用意したのにBAN、しかも永久に、というのは意味不明だし、仮に、AIの権利問題でのちに訴訟などに発展する可能性があるとしてもその責任をストアが被るケースは考えられないからです。

自分がAIを使ったゲームを登録するとしたら、valveがAI嫌いかもしれんという前提で、かつ仮にAIコンテンツが後々問題になったとしても自己責任である、ということを念頭に、使っていることを強調しないで申請するのが良いと考えています。

落ちるかどうか、意外と気にしなくてokの要素

逆に「意外とできてなくても落ちない」要素もあげておきます。また、審査の結果「Caution」がついて返ってきたものは、できれば直してね、という程度で審査は通ります。

-コントローラー対応か:対応してよ?と注意喚起はされますが、これで落ちることはありません。

-英語非対応:実際日本語のみで販売されているゲームも見かけます。

-動画未提出/ビルド未提出:※ストアプレゼンス(ストアページを公開するための審査)の段階ではなくてもOK。ビルド審査時には必須項目。

-スペック情報:自分はよくわかんなかったんでOSとディスク空き容量くらいしか書いてなかったんですが通ったことがあります。ただしこんなところを理由に審査落とされたらいやなので、わかる範囲で書きましょう。

その他、もし「こういう理由で審査に落ちた」「こうしたら通ったよ」等の情報があればコメント欄にお書き添えいただけると嬉しいです。

現在個人開発のSteam登録を中心としたパブリッシュ業務を有償でお手伝いできますので、必要があればお声がけください。登録だけ手伝って欲しいがパブリッシャー業務は無しで、とかご要望に応じます。なおモバイル対応は無理でーす。


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