「組長さん。よろしかったらお昼、ご一緒にしても」
「すまないね。今日のランチはこれに決まっていて、楽しみにしていたんだ。それでは」
「やめとけやめとけ！あいつは付き合いが悪いんだ！『どこかに行こうぜ』って誘ってもあっさり断れる。アクズメさん組長、33歳独身。仕事はいい加減で最低限しかこなしていない。いつもタフガイぶって毎日トレーニングが欠かさないが、本当はアイカツとプリキュアが大好きなオタクだ。またかなりの辛い麺狂いでもあり、新しい店を商品をみかけるとほいほい財布を出して己を苦しめる……被虐的な男さ」

グッドアフタヌーン。私はいま会社にいます。ちょうどランチタイムです。お昼を食べましょう。今日はこれです。

葱葱回魂辣湯泡麺
です。最近電車の広告に出たやつ。毎日通勤中に煽られてついに買いました。にしては大仰な名前ですな。葱葱、葱を重ねて、葱をアピールつもりかね？回魂とは魂が回帰するの意味ですが、食品に使っていい言葉ですかね？辣湯はスープが辛いの意味で問題ないね。泡麺（パオメン）とは中国語においてインスタント麵の意味ですわ。泡はバブル、泡沫以外に液体に浸る意味もある。麺をお湯に「泡（浸って）」、戻すという意味ですわ。

開封したらこんな感じ。左から乾燥ねぎ、調味料、麺です。麺は思ったより量が少ないね。パッケージの裏にこういうの書いてあります。

葱葱回魂辣湯泡麺
【美味しく食べる秘訣】
★小辣：袋1/3・・・・辛くてお目々が潤う
★中辣：袋2/3・・・・辛くて唇が口紅を塗ったよう
★大辣：袋全入れ・・・・心臓の中に小鹿が暴れるごとく動悸

……大辣の比喩がいかなりインフレし過ぎません？

どんぶりに麺とネギを投入、おっと？！

ねぎ多くない？葱葱アピールは伊達ではなかったようだ。

次は調味料だ。まずは1/3を入れて、お湯を注いで様子見してから好みで味を調整してくださいとパッケージに書いてあるが、舐めてもらっちゃあ困ります。勿論ALL INで。

お湯を注いで、三分立つの間にちょっと冷蔵庫を物色しましょう。おっ、牛のしゃぶしゃぶ肉があるんじゃないですか、ちょっと拝借しますね。この会社は冷蔵庫の中に名前が書いてない物は使用、処分自由の仕様になっていますので完全合法。ご安心ください。

ザッと茹でて、麵に乗せて、こう。

完成です。となりのキウイは上司が『あら組長くんランチは泡麺だけ？貧乏？だめよちゃんとヴィタミン撮らないと』と言って分けてくれました。後で食べます。それより辛い麵です。

ネギの量が半端ないですね。ちゃんと麺に絡めています。匂いは……結構攻撃的ですね。啜ったら気管が大パニックの予感がした。気をつけながら、あむ……ずる……

麻ッ、麻麻ァーッ！麻い……麻すぎるッ！

麻い（あさい）
形容詞。山椒を食べて舌が痺れてじんじんする感覚。手足が血行不良で痺れる感覚。アクズメさんが3分で考えたことば。

辛さはさほどでもないが、とにかく麻い！うわぁ、舌だけでなく頬の裏、歯茎、唇まで痺れて来た。これほど麻い麺を食べたことがない。ずるる……麻すぎて……味がよくわかんない。メーカーはこれを意図的にやってるのか。でも心地よい痺れて具合だ。脳が刺激されて、更に麻みを取り込めと身体に命令を送る。危険だ。嗚呼、だから花椒はアメリカでは州によって規制されているのね。私が経験豊富な辛い麵イーターでなければ今頃床に転がって悶え苦しむところでしょう。

葱は植物繊維以外の価値が見つからないって感じかね。乾燥野菜は所詮その程度のものです。

やがて麺を食べ終わった。残るはスープと大量のネギのみ。勿体無いので、絶対内臓に悪いと思うけど飲んでみましょう。

辣油は麵に絡んだ分で結構減ったが、どうだ？ずず……う～ん、内臓に優しくない味～。こんなの飲んだら絶対お腹壊しますよずず、でもねぎがまたたくさん残っていて勿体無いねずず、行けるところまで行ってみましょうずず……OK、もう十分に堪能したよ。ごちそうさまでした。

牛肉は固かったよ。つーか喉の上部まで痺れていて嚥下が困難になってきた。

葱葱回魂辣湯泡麺：
麻　　★★★★★
辣　　★★★
麵　　★★
葱　　★★