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視力回復手術を受ける2

2月17日の正午、私は眼鏡と焼肉屋でグッドバイパーティを開いていた。

5年間付き合ってくれてありがとう、OWNDAYS眼鏡。そして今までかけた全ての眼鏡、ありがとう。お前ら長い間、ずっと私の体の一部だった。けどこれからは私一人で生きていく。さらば。

行くぞ、ビヨンド・グラシスの世界へ!

約束の時間に眼科クリニックに到着。マブ姉に従ってもう一度視力検査を受ける。

「眼圧、視認力、角膜の厚さともに前回と同じ全て正常値内です。手術は問題なく行えます」

それはよかった。

「では料金の話ですが、現金とカード、どちらでお支払いになりますか?」

えっ、すぐ支払うんですか?11500元(50万円ぐらい)を?今ここで?

「はい。手術は支払ってから行われます」

困った。てっきり手術の後で銀行で振り込めると思った。けど理解する。それなりの大金だ、クリニックも患者が手術代を未払いのまま行方をくらますリスクを負いたくないだろう。

カードを何枚か試したが、15000元までしか払えなかった。残りあと10万。仕方なく近くのコンビニに駆け込んだ。

ATMで5回分けて現ナマをおろした。100枚あまりのが紙幣が財布に詰まっている。かつてない緊張感。詐欺グループの受け子だと思われないかな。みなみの国は治安が良好のあかげで無事クリニックに帰還を果たした。ロスサントスなら私は途中で死んでたかもしれない。

「10万元現ナマ、確かに受け取りました。しばらくお持ちください」

いよいよだ。ガウンと衛生ギャップを被り、私はSFっ手術台に寝かせた。

「リラックスしてね、手術はすぐ終わるから」

と医者が言った。点眼麻酔、開瞼器を入れられ、型顕微鏡レンズみたいな機械が降りてくる。レンズの真ん中に緑色の光点がある。

「緑の点を見つめてね」

言う通りに緑の点をじっと見つめる。すると機械が[Section on, ready]と声を発した。

「はい固定した。20秒間目を動かさないでね」

大きなモーター音が聞こえた。たぶん今私の網膜はレーザーに刻まれている。まず思いだすのはDEAD SPACE 2の終盤、アイザックが針で自分の眼球をぶっ刺して記憶を抽出するシーンだ。こうして麻酔したうえで人にやってもらうのも結構緊張だし、アイザックは麻酔なしかつ自分で針を操作するからね。ガッツがありあまる。など思っていたら緑光が段々見えなくなってきた。

「光が見えなくなるのは正常だからパニックらないで。集中して目を動かさないで」

だそうだ。光しか感じられない。多少不安。

「右目は終了。よく頑張った。左も行くよ」

両目ともレーザーが終えて、次はピンセットでレンチクル(レンズ状の角膜片のことだ)を取り出す。眼球に何かが触れて、なんか引っ剝がされる感覚をおぼえた。するとカーテンが開いたかのように、視界が再びもどった。おお、また若干もやがかかっているけど、見える。眼鏡時代の裸眼よりずっと見える!

「手術結果は今のところ良好です。目薬を処方とおり使うように。それと記念品」

小さいガラス瓶が渡された。中に半透明の丸くて薄い物体が浮かんでいる。私の角膜だ。

ヒューゴー賞を取った暁にはこれが高く値が付く

ゴーグル、目薬をもらって、術後の注意事項を言い渡された後、私はクリニックを出た。麻酔が切れつつあって眼球が痛くなってきた。これからの9日間は目に水が入ってはいけない。洗髪と洗面に気を付けないと。明日はもう一度クリニック通って検査を受ける。だるい。今日はもう帰って飯食って寝よう。

かくして私は視る自由を取り戻した。私がずっと危惧していた「フォロワーとオフ会する際に言い争いが激しくなり手を出されてしまい、眼鏡が落とされて何も見えなくなりそのまま無惨にボコられる」ことから解放された。もう誰にも後れを取らない。いつでもかかってこいフォロワー。逆に眼鏡を叩き落としてボコってやれる。あっでも眼鏡がなくてサミングを防げなくなったか……まあフォロワーに例えガチ喧嘩になってもサミングなど残酷技をかましてくる奴はいないだろう。いないよね……?



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