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沼にはまらなかった万年筆ユーザーの話

わたしは万年筆を三本使っている。

ラミーのサファリ。パイロットのキャップレスデシモ、そしてパイロットのエラボーである。

万年筆へのあこがれは子供の頃、小学校の先生が持っていたデスクペン。

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画像はプラチナ万年筆のデスクペンだが、千円程度で買える。そしてとても書きやすい。

これに憧れた人も多いのではないだろうか。小学校の先生は、字がきれいな人が多い。字がきれいな人が持つペン=デスクペン。当時小学生だったわたしはそう認識していた。

それからすこし成長して中学生のころ。母親がデスクペンで日記を書いていた事を知る。そして、ペンが壊れたと言って買い換える母親についていって、自分用のデスクペンを買ってもらったのだ。それが、万年筆というか、カートリッジを差して使う形状のペンの第一号。ちなみにこのペンはもう壊れてインクが漏れるようになったが、まだ大事にしまってある。そしてこのときのデスクペンはパイロットのものだった。それから筆者は筆記具=パイロットと認識するようになる。

本格的な万年筆入門をしたのは社会人になってからだった。

まだ学生だったころ、学校の近くにある文具店でエラボーを見たのが万年筆へのあこがれの入り口だった。ショーケースにスラリと並んだペン先は美しく、黄銅のボディもキラキラしていてとても魅力的に写ったものだ。しかしエラボーは学生の身分には高価過ぎた。

そうして社会人になって2年目くらいだっただろうか。筆者は憧れのエラボーを手にすることになる。これが、万年筆沼への第一歩だった。ペン先はSF、カラーは赤。

沼ってないってタイトルにあるじゃん!!!!!

そう、今は沼っていないのである。でも、エラボーを買った当時は万年筆のことで頭がいっぱいだった。インクもいくつか買ったし、他の安い万年筆も試した。でも、エラボーに勝るペンは存在しなかった。そうしてそれから10年近く、エラボーは筆者のデスクの上に居る。

エラボーは大変素晴らしいペンなのだが、一つ問題があった。高級過ぎて外出先で使うのが大変怖いのである。そこで、第二の万年筆を買うことにした。社会人数年目。ある程度お金に余裕が出てきたわたしは二本目の万年筆を手に入れた。これまたパイロットのキャップレス デシモである。ペン先はF。

細くて軽くてかわいい。しかもノック式なので使い勝手も良い。

その軽さゆえに、長文の筆記などでは疲れるのでエラボーのほうが優秀だが、キャップレスデシモは軽くて、そして書きやすかった。外出先ではもっぱらこれを手帳に挟んで持ち歩いていた。

その後、カランダッシュ エクリドールを購入しシステム手帳とセットで持ち歩くようになるまで、外出のお供にはキャップレスデシモが常にいたのである。

そうして最後に入手したのが、ラミーのサファリ。ちなみに三代目。一台目は無理な改造により破損し、二代目は誕生日のプレゼントでもらった。赤いサファリが三代目。

このサファリは特別だ。購入したのは2019年の12月。国際フォーラムの物販に並んで買った。真っ先に売り切れたグッズの一つ。そう、See-Sawのライブグッズなのである。

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ライブグッズに万年筆!しかも憧れだったSee-Sawのライブで!

もうね、買うしかなかった。そうして早くから物販に並んで手に入れたこの赤いサファリが物欲を満たし、わたしの万年筆沼は終わりを告げたのである。

万年筆沼は深い。

それはインクとペン先の組み合わせが無限にあるからで、そのなかから自分の筆圧、書き方やコンディションに合ったペンを選ぶという無数の楽しみ方があるのだ。

だが、わたしは3本の万年筆で満足している。集めるのには数年かかったが、今ではこれで充分だと思えるペンに出会った。

メインはエラボーに純正のブルーブラックのインク。そういえばインク沼にも一時期ハマっていたが、耐水性と使い勝手、価格を考えるとパイロットの純正ブルーブラック以外考えられなくなり、それ以来インク沼には入っていない。いくつか色彩雫シリーズを買ったのはここだけの話だ。

デシモには純正のブルーもしくはブルーブラックのカートリッジをセットしている。これは、外出先でもインク切れを心配する必要がないように、ということからカートリッジを使用している。一時期、デシモにペリカンのロイヤルブルーを入れることにハマっていた時期があったが、純正インクの書き心地の良さに驚いてからは純正インクしか使っていない。

サファリにも青のカートリッジを使っている。これは、わたしの敬愛する作曲家でもあるSee-Sawの梶浦さんが、「赤い万年筆に青いインク」という歌詞を書いていたこと、そしてライブ前夜にそのことをTwitterに投稿していたことから、この組み合わせにこだわっている。

というわけで、一時期文具オタクをこじらせブログも書いていた筆者であるが、今では三本の万年筆(とそのたのペン)で満足しているという話でした。

それでは皆様、よい万年筆ライフを。

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