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ペンケースにこだわりの無い人間がイルビゾンテの革製ペンケースを買った話

革製品の一番の魅力は、やはり経年変化だろう。
筆者は経年変化する文房具がすきなのかもしれない。真鍮のパーツとか、木軸のペンとか、革の手帳カバーとか。
そして、今年新たにヌメ革のペンケースが仲間入りした。

筆者は社会人となってからの大半を、ペンケースを持たない生活をしていた。
仕事はPCで事足りるし、署名なんかで使う黒のボールペンを一本、かばんのポケットに入れているだけで何も困らなかった。

ペンケースの必要性を感じるようになったのはここ1、2年のことである。文具熱が再燃し、手持ちの筆記具が増えるにつれて「これを自宅以外でも使いたいな」と思うことが増えてきた。

しかし、ペンケースへのこだわりが全くない筆者は、とりあえずインスタで見かけた高校生が持っていそうなPVC素材の透明なペンケースを購入した。
PVC素材のペンケースの欠点は耐久性にある。半年ほどでそのペンケースを壊し、新しいのを買うということを繰り返すうちにペンケースのことを考えるのが面倒になっていった。
最終的にたどり着いたのが、無印良品のポリプロピレン製の150円ペンケースである。丈夫だし、半透明で中身が見えるのがおしゃれだし、何より安いということでしばらく使っていた。

いたのだが、今度はもっとペンをたくさん持ち歩きたいという願望が出てきた。
無印のペンケースは4本くらいしか入らない。
魅力的な筆記具は世にたくさんある。もっと持ち歩いて活用したい。

そんなことを考えていて、気がついたら再びペンケースを探す旅に出ていた。
Amazonでレビューを読み漁ったり、SNSで人気のものを調べたり。そんなときに筆記具好きのYoutuberが紹介していた革製の高級なペンケースの存在を知った。

……導入に700文字も使ってしまったが、あと2000文字ほど続くのでもし暇だったら諦めずに最後まで読んでほしい。

革のペンケースなら頑丈だろう。数ヶ月で壊れることはそうそうないだろうし、なにより、もうペンケースのことで頭を悩ませたくないという気持ちが大きかった。ペンケースの中身について考えるのは好きだが、外側についてそんなに頭を悩ませたくはない。
様々なペンケースを見ていたら、安いものを数ヶ月で買い換えるよりも高品質なペンケースを何年も使うほうが満足度が高い気がしてきた。それに、150円のペンケースに4万円の万年筆を格納するのもなんか申し訳ない気分になってきたのだ。

さて、ひとくちに革のペンケースと言っても、様々な形状のものがある。革の品質や色や機能も多彩だ。人気のものは予約や抽選販売だったりして簡単には手に入らない。それはそうだ。革製品は作るのに手間がものすごくかかる。
簡単に手に入らないものは諦める傾向がある筆者である。さてどうしようかと思ったときに、「イルビゾンテ」という革製品のブランドのことを思い出した。
イルビゾンテはイタリアの革製品ブランドである。筆者がそのブランドを知ったのは、たまたまよく出かける場所の近くに店舗があり、そこでキーケースを買ったことがあるからである。
キーケースを買うまではイルビゾンテというブランドの存在を知らず、「なんかオシャレな革製品のお店がある」くらいの認識でしかなかったのだ。

思いたってすぐにイルビゾンテのオンラインストアでペンケースを調べると、なんとあるではないか。それにしても高い。
ペンケースは2000円でも高いと思っていた筆者にとって、一万円以上のペンケースを購入するという考えはなかった。

とりあえずAmazonで千円くらいの多機能ペンケースを注文し、机のあちこちに散らばっていた文具たちを一箇所にまとめることで落ち着いたものの、イルビゾンテのペンケースのことがそれからずっと頭から離れなかった。
そのペンケースは、革が良質であるということ以外とりたてて目立った特徴がない。収納力が特段多いわけでも、機能的にずば抜けているわけでも、費用対効果が優れているわけでもない。それなのに、そのシンプルな形状になぜか惹かれた。

後日、筆者はデパート内にあるイルビゾンテの店舗を訪ね、実物を見に行った。
目的のものはすぐに見つかったが、欲しい色が店頭に出ていなかった。それに、オンラインストアの画像で見たイメージよりも大きい。
革の香りのする店内で、しばしペンケースを眺めて思案していると店員さんが在庫を出してくれた。
なんと、気になっていたカラーの在庫があるではないか。

在庫を出してもらって手に取る。ヌメ革のペンケースは思った以上に白く輝いていた。オンラインストアではわからない、革の手触りや色合い。
店頭にあったヌメ革のカラーサンプルも見せてもらったのだが、そのサンプルがきれいに艶が出ておりなんとも言えない上品な色味に変化していた。
このベージュっぽい革があんな色になるのか、と考えるとすごく楽しくなってきた。迷った末に、そのペンケースを購入した。革製品は財布や手帳などの小物を持っているが、ここまで経年変化が激しいヌメ革のものははじめてだった。

買ってからヌメ革の経年変化や手入れ方法について調べてみた。そこで知ったのだが、ヌメ革は使用前に日光浴をすると経年変化がいい感じになるらしい。ありがとうインターネットの先人たち。

イルビゾンテのペンケースは筆者にとって高い買い物だったので、できれば大事に使いたい。
経年変化についてさんざん調べて、とりあえず数日間日光浴させてみることにした。その間ペンケースが使えないのはモヤモヤするが、傷や汚れに強くなるとのことで我慢することにした。
なにより、イルビゾンテのペンケースを手に入れたことは満足感が非常に高かった。良い製品、良いお店、良い店員さん。
帰宅してじっくり革を眺めてみると、革特有の香りがする。革のにおいは嫌いじゃない。
そっと手持ちのペンを入れてみると、やはり少し大きい。しかし、コバが表に出たシンプルなデザインとかっこいいロゴ、手触りがよくてサイズの解釈違いはとても些細な問題に思えた。値段なりの価値はある。

そうして興奮したままnoteを書きなぐった。高い買い物をしてしまった罪悪感と満足感が入り混じったふわふわした脳のまま書いた文章はひどいものだったので、後日書き直している。

イルビゾンテのヌメ革ペンケースは、まだ部屋の窓際で日光浴をしている。数日たって、少し側面と底の色に差が出ていることに気がついた。なるほど効果はあるらしい。今度は底面を日光にあてるようにしておくことにした。
早く使いたい。使えるようになったらどんなペンを入れようか。
そんなことを今から考えてワクワクしている。

とりあえずトップの画像に購入直後の写真を貼っておく。一ヶ月くらい経ったら色味の変化などの比較しようと考えているので、もしよかったらまた筆者のnoteを覗いてもらえると嬉しい。
文具熱はもうしばらく継続するだろう。

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