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魅惑のイタリアンジュエリー

はじめてイタリアンジュエリーというものを知ったのは、デパートのポップアップストアみたいなところでウノアエレというブランドを見かけたときだった。なんとなく見ていたら店員さんが、中空という中が空洞になっているので、軽いけれどボリュームがあるのが特徴だと教えてくれた。
そのときは何も買わなかったのだが、イタリアンジュエリーという言葉を知った。

2021年年末。筆者は仕事でちょっと凹んでいた。だいたいの問題は人間関係に起因するものだったりするのがめんどくさい。それはともかく、とにかく何かキラキラしたものが見たいと思った。率直に言うと、ジュエリーがほしい。自分の機嫌を取るために。
リングはサイズ直しに時間がかかる。ネックレスは今持っているので満足している。ならば、買ってすぐ身に着けられるピアスがいい。

今年、手持ちのジュエリーをいくつか売った。金やプラチナが使われているけどそれほど高価ではないものも、トータルではそれなりの価格になった。当時持っていた一番高価なものは、フリマアプリでほぼ買値で売れた。
手元に残したのは、セミオーダーしたアレキのリング、サファイアのアメリカンピアス、一粒ダイヤのピアスとネックレス。それから、カラーストーンの一粒ネックレス。いわゆるスキンジュエリーと呼ばれるような、繊細でシンプルなものだ。あとはシルバーのアクセサリーは売れないので手元に残している。シルバー好きだし。

ともかく、色々手放して改めて手持ちのジュエリーを見てみるとちょっと物足りない気がしてきた。繊細なチェーンのネックレス、小さな石のついたリング。一粒ピアスはある。もっとこう、大ぶりで、「着けてます!!!」と主張するようなピアスがほしい。

まずはネットで情報収集する。いきなりショップへ行くと衝動買いしてしまう危険性があるため、入念に計画を立てる必要がある。特に予算とデザイン。
インスタやブログを見て、どんなジュエリーが人気か、それと自分のほしいもののイメージを固めていく。

ネットの情報はブランドものが多い。というかほぼブランド物だ。筆者は高級ブランドにはコスメ以外で縁がないのだが、デザインは参考になる。
目に止まったのはカルティエのトリニティピアス。ああこれ、ものすごく素敵、と思った。それから一週間くらい、トリニティのピアスが頭から離れなかった。あれを身につけられたらとても素晴らしいだろう。
しかし高価だ。筆者の金銭感覚では、ピアスに30万円近く出すというのは現実的ではない。その代わり、ほしいピアスのイメージはだいたい固まってきた。地金のフープタイプで、つやつやしていて、ボリュームがあって「着けてます!」と主張するようなもの。それ一つで顔まわりが華やかになるもの。どんな服にも合わせられるもの。

久しぶりに銀座へでかけた。ホリデーシーズンの街は大勢の買い物客で賑わってた。この時期にジュエリーショップに行くのはメリットがある。客が多いので、店員さんに声をかけられることなく高価なブランドジュエリーを見ることができるのだ。
大勢の客に混じって一人、ティファニーやらシャネルやら、あといろんな国産ブランドとかを眺めて来た。目の保養になった。

とにかく、その値段を見て現実的ではないと改めて認識をした。国産ブランドなら手が届くが、繊細で華奢で、近づかないと着けてるのかどうか分からないようなピアスはもう既に持っている。ほしいのは大振りな、海外セレブが着けているようなピアス。

銀座での目の保養を終えて、御徒町へ向かう。御徒町は宝石の街というイメージが強いが、ゴールドもあちこちで売っている。もっとも金の価格は場所によって大きく変動するということがないのだが(それがメリットでもある)、銀座のお店と違うのはブランド料がかかっていない分安いということだ。金額でいうと3分の1くらい違う。あと、庶民的で入りやすい(気がする)。

駅から少し離れた場所にある、それほど大きくはない宝石店の店先に、地金のジュエリーが並んでいるのが目についた。ショーケースの中で輝く繊細な細工のピアスに惹かれて近寄ってみた。

気さくな、タメ口で話しかけてくる下町感あるおねえさん(あえておねえさんと言う)店員に声をかけられて、店頭に出ていたピアスを見せてもらうことにした。予算もあらかじめ伝えておく。

地金のフープピアスと、フックタイプの揺れるピアス、それから繊細なカットが施された細工のピアスなどを見せてもらった。色々試着してみたものの、やはり魂に響くのは最初に目が止まった大きなフープピアスだった。

おねえさん店員曰く、店頭に出ていたのは最近入荷したばかりのイタリアンジュエリーだということだった。「日本のはねえ、華奢なのが多いでしょ。こういうボリュームがあるのはやっぱり海外のなのね」
まさかここでイタリアンジュエリーに再び出会うとは思わなかった。たしかに日本製のジュエリーは繊細で小さなものが多い。なるほど。ボリュームのあるのは海外製か。そういえばカルティエもフランスのブランドだったな、などと思いながら試着して、結局最初に目をつけたピアスにした。金が高騰している今、金製品を買うとかバカじゃないのかと思うが、この先更に高くなる可能性もあるし、金は最悪売れるからな…と、買う前から売ることを考えたりしながら、やっぱり気に入ったので買った。

トップに載せた写真は分かりづらいので別の角度の写真も置いておく。

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同じデザインで3色あったものの中からピンクゴールドを選んだ。試着した感じがしっくりきたし、それを見ていた店員さんにも「これが良い」と言われた。
映り込みがすごいのでわかりにくいかもしれないが、フレンチクルーラーみたいな形をしている。ポスト部分がカチッと止まるタイプなので安心感もある。

かなりボリュームがあるが、中空構造なので見た目より軽い。磨かれた表面が反射してキラッとするので存在感がある。一つ着けただけで華やかな雰囲気になれる。ああ、こういうピアスがほしかったんだ…。

ピアスをつける仕草、動くたびに耳元で揺れるピアスの感覚。ふと鏡を見たときに、下ろした髪の間から輝く金色。こういう物は出会いだ。ネットショップには載っていない、現地に行かないと見つからない品物。入荷するタイミングもお店によるから、本当にたまたま、このピアスに出会ったのだ。

部屋着のまま机でPCに向かっているときも、ちょっと近所に買い物に行くときも、このピアスがあればいつもより頑張れそうな気がした。

でもやっぱり、いつかはカルティエがほしい。カルティエのピアスと時計がほしい。他のハイブランドは惹かれないがなぜかカルティエのデザインやコンセプトには惹かれるのだ。購入をためらうのはまだその時ではないからで、いつか、そういうものを身につけられるようになったときには、路面店へ行こうと思う。

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