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プロと選ぶ自分の香り ゲランでフレグランスコンサルテーションを受けた話

世の中にはたくさんの香水が存在しているので、その中から自分の好みの香りを選ぶという行為は実は結構難易度が高いのでは?とふと思う。お気に入りの香水を持っている日本人がどれほどいるだろう?

そんな香水迷子たちのために、香水メーカーはあれこれイベントやツールを考えてくれているのですが、その中の一つに「フレグランスの専門家に香水を選んでもらう」というイベントがある。今回はたまたま機会があってそれを受けて来たので、忘れないうちに感想を書いておきます。いつか香水の迷宮に入った人のために……

場所は銀座シックスの地下一階にあるゲランカウンター。
ここでは定期的にフレグランスのスペシャリストに相談して自分の好みの香水を買うことができるイベントが開催されている。イベントと言っても店員さんと一対一で行う小規模なもので、予約制なうえに大々的に告知されているわけでもない。予約するには電話をかけなければならないというハードルの高さ。
それを乗り越えた勇者(?)のみがたどり着けるラグジュアリーなイベント、それがフレグランスコンサルテーションなのである。

店員さんなら誰でもできるというわけではなく、フレグランスに精通した一部の方がいるときしか受けられないとのこと。今回は筆者の休日とスペシャリストさんの出勤日がたまたま一致していたので受けてみることにした。財布には念の為、次に買おうと狙っている香水が買える程度の現金を忍ばせて……。

予約していることを告げると席に通される。きりっとしたメイクのおねえさんが今回対応してくれるスペシャリストらしい。

コンサルテーションが始まって、おねえさんは筆者のゲランでの購入履歴を見ながら開口一番に言った。
「なぜ夜間飛行を???」
ですよねー

最初に、好きな香りや苦手な香りの話をする。
筆者はたまたまゲランの購入履歴(と言ってもゲランでフレグランスは2つしか買ってない)があったため、その香水を選んだ理由などを聞かれた。
「4万円って結構ですよね」ですねー。
「ベルガモット カラブリア。渋いですね」シリーズの中では一番すき!

夜間飛行とルラボのテノワールという香水の使用頻度が最も高いこと。
逆にあまり減っていない香水はフローラル単体系であること。その他に持っている香水の中で、好きな香りと嫌いな香りの傾向を聞かれたので答えていく。

筆者の場合は
「圧倒的樹木系好き」「オリジナル香水が作れるとしたら絶対にサンダルウッドは入れる」「甘いバニラの香りは苦手かもしれない」
みたいな話をした。
余談だが、ゲランではフランスの専属調香師にオリジナル香水の制作を依頼することも可能らしい。恐ろしかったので価格は聞かなかったけど、お金と香水に注ぐ情熱があるなら作ってみてほしい。そして、インターネットのどこかにその経緯と香りを投稿してほしい。どなたか……

話を戻そう。
好みの香りの話が終わったら、実際に香りを嗅いでどう思うかを伝える。
香りの系統は香水によくある、フローラルとかオリエンタルとかフルーティーとか、そういうやつ。しかし「これは○○の香りです」と説明されるわけではなく、あくまで嗅覚でのみ判断して好みを探るのである。クイズみたいで面白かった。
「これは好きです」「この香りの香水知ってますね」
「いい香りだけど身につけるのは難しいかも」
みたいな感想を伝えながら、すべての香りを順番に試す。

筆者がはっきりわかったのはオリエンタル系とフローラル系、あるいはグルマンと呼ばれるもの。好きと苦手の対局。その他の香りは「どれも嫌いじゃない」と回答した気がする。

それを終えると、店員さんがおすすめの香水をムエットに着けて持ってきてくれる。この時点でムエットは10本近くあったと記憶している。
ムエットに香水をつけるところは見ないように言われているのだが吹き付けた瞬間、空間に漂った香りで一つだけ知ってるものがあったので「あの香りだあああああ!」と思うものがあった。答えは次の記事で書きます。
ちなみに筆者の香りの好みはブレずにオリエンタル一直線だったらしく、店員さんは物足りなかったんじゃないかなあとちょっと思ってる。思ってるだけ。

ウッディの次に筆者が好みだったのがパウダリー系だったらしい。
これはシャネルのNo.19というパウダリー全開!な香水を持っているので納得。
香水に馴染みのない方には「化粧品のにおい」として嫌われる傾向があるパウダリーだが、個人的には割と好きだったりするのはここだけの話。なのであまり着ける機会はない。

ということでムエットに出してもらったのはウッディからパウダリーの要素を含んだゲランの香水たち。

その時点でも香水の名前は明かされることがなく、ムエットの香りで好きか嫌いかを判定する。
最終的に4本にまで絞り込んだ。トップの画像がそれです。

右から左へ、ウッディから徐々にパウダリーになっていく構成らしい。
4つのうち、知っている香りが2つ。右端と左端のものだ。
残り2つははじめて知った香りなのだが、ムエットに出しておすすめしてもらった中では好きな部類だった。

左から、
ルール ブルー
ウイエ プールプル
イリス トレフィエ
サンタル パオロッサ
です。うーん、豪華……。

最終的に残ったムエットたち

ルール ブルー
香水を名前買いしろ!と言われたら間違いなくこれを買うであろう美しい名前の香水。ゲランの中でも歴史のある香水の一つでもはや説明不要。唯一のパルファム濃度。
フローラル、そしてパウダリーなのに甘すぎず、誰にでも合うと思われる香り。
余談だが「ボトルで香水を選べ!」と言われたらシャリマーになる。

ウイエ プールプル
ぷるぷるしててかわいい……じゃなくて、お香屋さんの香り。
カーネーションとレザーの香りと説明されたのだが、圧倒的にお香。それもインドや中東の沈香系でスパイシーな香り。成分を見るとベンゾインやカルダモンが入っているらしいので「そりゃお香の香りしますよね」という感じ。
ジェンダーレス香水として作られたものの、発売当時はジェンダーレスの概念が広まっておらず知名度も売上もいまいちだったというかわいそうな香水。自分の説明や振舞いで「ジェンダーレス」なフレグランスを選んでくれたんだろうなと思うとなんとも感慨深いのである。

イリス トレフィエ
あんまり好みでなかったはずのフローラル系で唯一残ったもの。
コーヒー豆が入っているという説明を聞いて、コーヒー好きなのでなるほどと思った香り。4つの中では一番香りが繊細だった印象。香水に使用するコーヒーも産地にこだわったものが使われているらしく、一流メゾンは材料から違うのだなあと改めて実感した。

サンタル パオロッサ
白檀好き好き言ってたので来るだろうなと思っていた香り。完全に木の香りです。ローズも入っているらしいけれど本当に微か。
サンダルウッド好きには間違いなく刺さる、安定したウッディ系の香り。けれども重くなく、軽やかなウッディ。不思議な香りだなー

ということではじめてのゲランのフレコンを終えたのである。
長くなったので、最終的に筆者が選んだ香水については次回の記事で書こうと思うが、どれもとても良い香りだったことだけは明記しておこう。

フレグランスのプロとゲランの香水の話ができるというだけでかなり有意義なイベントであったことは間違いない。
結果選んだ香水は自分としては無難というか、「いつか買う」リストに入っていたのでいつか買うんだろうなとは思っていたが、予想以上に早く手に入れてしまった……という感想だった。
自分では好みではないと思っていた意外なジャンルの香水を勧められた、という人もいるらしいので興味がある人は受けてみることをおすすめする。以外と人は自分のことを知らないものなのだ。

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