見出し画像

スコップさん

わたしは スコップさん

きれいだった 赤い体も

だんだん錆びてきて

鉄のわたしが みえてきた



きょうは ちょっと

隣のお庭へ 出かけよう

歩ける

歩ける まだいけた



そしたら あそこの土をほってみよう

でも ちょっとこわい 

あそこの土は いけるかな

ダンゴムシさんに きいてみた

大丈夫 なんとかなるよ

すこしだけ あー いけた

もうちょっと まだいけそう

あれ なんだかいいにおい

なんだなんだ ほってみよう

あれ 今度は 音がする

もっともっと ほってみよう

こっちのみちも いけるかな

あっちのみちも いけるかな



でもちょっと

ここらで ひと休み

だーれもいない なんにもない

そんなところで

こわがりなわたしと ひと休み



土の中は あったかい

お庭でする ひなたぼっこも あったかい

でもちょっと

もうちょっとだけ

土の中に いようかな



2023年の大晦日は、大阪のココルームにて
『こたねの会』という詩のワークショップに少しだけ参加しました。
今年の1年を振り返ってみて、ココルームのお庭からこの子と話したいって思うものを探してくることになり、
井戸の側にひっそりと隠れていたサビサビのスコップと目があいました。
そんなスコップと一緒に
今年の1年をゆっくりゆっくりと思い出しました。

さぁ来年は、どんなわたしと出会えるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?