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人生仮免未満


今夜もまた、また失敗してしまった。
深く項垂れてもアルコール臭い呼気は誤魔化せず、とりあえずコップ一杯の水を飲み干す。

未熟、という言葉では言い表せられないくらいに私は人間として未完成だ。
相変わらず公共料金の支払いは忘れるし、規定された時間に約束の場所に辿り着こうと頑張って起きてもどうしてだが遅刻してしまったり、地図を読んで、文明の力に頼っても道に迷ってぐるぐると同じ場所を回ってしまう、全部嫌になって酒に縋って泣いて喚いて、数え切れないほど失敗を積み重ねてもなんとかやり過ごしている。
「もう大人」の一言で投げ出された社会の中で立って、周りと同じ様に歩いて行こうと必死に踠いているがその足ももつれて何度も転んでしまう有様。
学生時代に親や先生から聞かされた「立派な大人」の姿からは程遠く、息をしていくだけで精一杯な時もある、そんな自分が不甲斐なくて涙が出てもなんの解決にもならなくて堂々巡りだ。

「人間仮免中」下手をしたら仮免さえ危うい様な私がなんとか生きながらえているのは教習所の講師宜しくなんとかかんとか周りの友人や仲間に支えられているからだと思う。
人生何周目?なんて言葉を耳にするが私は確実にまだ一周も完走できていないふにゃふにゃさ、そんな私を見捨てず、側で見守ってくれている人達には少しでも幸せになって欲しい。

なにを持ってして立派で、どうすれば正しいかすらわからない中でも悩んでいる暇も立ち止まっている時間もない、人の時間は有限でいつか終わりが来てしまう。
死んでしまうその日までなんとか人間仮免中の状態を卒業して無事に免許取得、1人の人間として立派に歩き出せるかは正直わからない。

ただ私の様な「人間仮免」未満の様な人達も、さも「当たり前」のフリをしながら人生という道を運転していかなければいけないのだから辛い話だ。

今日は何がダメで、どうしてまた泣いてしまったのか、きっと明日もわからないまま私は生きていくんだろう。

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