駄犬

今までの生き恥を晒していこうと思います、誰も生きていけないけど生きていかないといけない…

駄犬

今までの生き恥を晒していこうと思います、誰も生きていけないけど生きていかないといけない世の中。

最近の記事

家賃滞納のすゝめ

20歳の春、何も考えずに15万だけ握り締めて飛び出したあの地元へはもう帰ろうという気持ちも無くなった、というか私には帰る場所があるようで無いのだ。 生まれ育った家はもう遥か昔に手放して今は知らない誰かの家になり、親は再婚、妹は結婚し2人とも新しい家族が出来て幸せに暮らしている。 入用で戸籍謄本を取り寄せて確認した時に私だけ今までと全く変わらない苗字のままぽつんと置き去りになっているのを見た時に本当に1人になったんだと染み染み感じた。 ぎりぎりをいつも生き過ぎている為かこの約

    • 郵便受けの怪

      怖い、兎に角郵便受けが怖い。 チラシ、請求書、公共料金の支払書、わけのわからない調査用紙、宗教の勧誘、不在票etc etc...溜め込まなければいい話なのだが昔からそれが出来ないので重要な書類なんかを見逃して痛い目に遭う。 何度も何度もこの過ちを繰り返してしまうのはあの郵便受けを開いた瞬間に洪水のように頭の中に雪崩れ込む情報量のせいだろう、封筒に記載された大量の文字、チラシの派手なフォントに大袈裟な写真やらが一気に視界から襲いかかってくるのが恐ろしいし、全部が億劫で堪らなく

      • 社不列伝〜水没都市編〜

        昔一度だけ部屋を水没させてしまった事がある。 その時住んでた部屋は築50年越えの8畳一間ユニットバス、洗濯機は共有で5階建エレベーター無しの4階というなかなかの物件だった、しかし大阪の大歓楽街道頓堀や宗右衛門町からは歩いて5分の好立地にも関わらず家賃は3万という破格。 人生初の一人暮らしという事もあってか右も左もわからないながら日々それなりに楽しく過ごしていた。 酒の味や人付き合いを覚えて毎夜毎夜仕事で飲み、その後も飲み歩くような生活の中で事件は起こった。 いつものように

        • 感受性の消費期限

          歳を取ると自分に付随していくものがどんどん増えていく、パートナー子ども社会の繋がり別にこちらがどうでも良いような相手すらまるでチェーンのように付随してどんどん連なっていくのは生きていく為の重石の様にも思える。 うちの母は音楽が好きな人で休みの日になればライブに出かけ、家では四六時中音楽を流す、確かに母は母であったのだけど音楽に触れている間はまるで少女の様にずっとキラキラしていた。 小学生の私を最初にライブハウスまで連れて行ってくれたのもパンク音楽やレコードを教えてくれたのも

        家賃滞納のすゝめ

          忘れっぽい天使

          年が明けた、あまりに呆気なく淡々と日々が過ぎていく相変わらずアルコールと密接な関係を築く毎日ではあるけれど緩やかに穏やかに自分をすり減らしながらもなんとか生きてはいて。 今年も大晦日から元日をまたいで酒を飲んで働き、当たり前の様に酩酊した状態でふらふらと眠りについた朝9時の空気は冷たいのになんとなく陽の光は暖かかったので毛布を被ればとろとろ脳が溶けていく様な感覚で意識を手放せた。 しかしアルコール由来の睡眠は継続性がなくてぴったり12時ごろに目を覚ますと唯一、人生の中で本当

          忘れっぽい天使

          喉に刺さったのは

          結局の所、どれだけ近い存在でも対誰かの心の裏の裏側までは到底理解できないのが人間だ。 笑っているのに病んでいる人、泣いているのに裏では舌を出して嘲り笑う人、いくらだっている。 文章や言葉で言語化して、さもあっけらかんと自分の全てを開示している様な私でも誰にも言えないわかって貰えない事、隠している事は山の様にある、そんなもんだ。 本当に全部吐き出してしまえたら楽なのかも知れないがその楽さ以上に自分の中の最後のプライドみたいなものが邪魔をする。 打たれ弱く、流されやすい人間

          喉に刺さったのは

          深夜、電子レンジの光。

          真っ暗な部屋で寝れずに4日目が過ぎた、午前4時、目を閉じても閉じても夢の中へ入れてもらう事はできなかった。 確かにいつだって夏は憂鬱になってしまうし、あまりにも暑くて不幸の彩度がどんどん上がって、ぐらぐらと気持ちが揺れる。 ただここまで眠れないなんてこんな事、人生で今まで一度だってなかったのに、と不思議に思う。 意外にも繊細な心を持ち合わせていたんだなと可笑しくなってしまった。 毛布にくるまって、エアコンの音、鳥の声、街の音を聴く。 意識を散らそうと頑張るが考えれば考える

          深夜、電子レンジの光。

          ぺしゃんこの心を抱きしめて。

          何をしていても自分という人間が惨めに思える時がある。 才能の無さも、特別で無さも、何者にもなれなさもコンプレックスでしかない。 生きる事を許される理由が欲しくてたまらないのにそれを手放しに得れる人間なんてほぼ存在しない事にも気が付いてしまった28歳。 希望的観測で走り出すにはあまりにも不安定な足取りだ。 虚無感のごった返す感情を鎮める為にインスタント的に生きる事しかできない自分の行き止まりを結局恥じて引き返す事も出来ない。 私がこの世界を生き抜く為の酸素ボンベの残量はと

          ぺしゃんこの心を抱きしめて。

          薄い紙の様な言葉で。

          滴る汗が目に染みる夏。 太陽に殺されてしまいそうだな、なんて考えていたら最悪のニュースが飛び込んできた。 自分は相も変わらず不自由な人間だと思う。 まともな生き方をしてこなかったツケと言う奴を払いながら、何もわからない、知らないという顔で生きてはいても本当は全部わかっているし、自分のこの先にこれ以上の幸せなんて待っていないんだろうな、と世界をいつも俯いて見ている。 息はしづらいし、人の目は見れない。 けどそんなんじゃ仕方ないのでとりあえずは平気なふりをしていても、ふとし

          薄い紙の様な言葉で。

          チラシの裏側の気持ち。

          さよならだけが人生なのかもしれない。 ただそれを受け止めきれず、大の大人がめそめそとグラスを交わす夜がここにはあった、月がまんまるで、落っこちてきそうだなと眺める。 薄黄色の飴玉の様で、酒でだか、涙でだかのせいで不明瞭な視界が表面に砂糖がかかったようにそれを白くぼやけさせた。 この世には不思議な縁でどうしてだか自分のような不出来な生き物と出会い、打ち解け、笑い、泣いて、ありがたくも人生の一部となってくれる人間が現れる。 ただいつかはそんな人達とも別れが来る、理由なんてなかっ

          チラシの裏側の気持ち。

          ひいおばあちゃんとレンジの中のオムライス。

          幼少期、母子家庭で母は働きに出ており、私と妹はひいおばあちゃんに面倒を見てもらっていた。 朝から晩まで私達を育てる為にがむしゃらに働く母の姿を見て我が儘を言っては行けないと幼心に強く感じていた事を覚えている。 元来人見知りで、周りにうまく馴染めなかった私は友人も少なく、とても陰鬱していたと言うか決して明るい子どもでは無かった。 小学生時代、周りから軽いイジメのような事を受けても恥ずかしさと情けなさで母に言い出す事も出来ず1人部屋で泣いていると、キッチンの方から小刻みのいい音

          ひいおばあちゃんとレンジの中のオムライス。

          どうか地獄にも行けず泣きじゃくってください

          人間としてこの世に生まれ落ちているからには 「父親」「母親」となる存在がいる訳で。 勿論、私にも両親は存在するのだがすでに父は他界している。 離婚し、長らく連絡もつかず、どこで何をしているのかも噂程度でしかわからなかった父が死んだのは丁度私が20歳の誕生日を迎えた月だったらしい、私はそれを何故だか成人式のその日まで母から知らされなかった。 母よりも年下の父はそれはもう滅茶苦茶な人だった。 酒も、女も、暴力も当たり前だったし、何より働かない、にも関わらず一丁前に売れもしない

          どうか地獄にも行けず泣きじゃくってください

          ラブホ奇譚〜田舎ラブホの日々〜

          初日の大事件がら数日、数週間は別段トラブルは無く、サブフロントと清掃をこなしながらつづがなく働いていた。 珍客も勿論いたが初日の事件が大き過ぎて大概が可愛いレベルに感じれたので逆にありがたかったかもしれない。 フードを持っていくと致しているなんかはしょっちゅうだった。 しかし、そんな事を言ってもやはり記憶に残るやばかった出来事はいくつかあるのでお話ししていきたい。 まず毎週決まった曜日に来るデリヘルジジイ うすぼんやりとした記憶だが確か火曜日辺りに一番高い部屋に入る年

          ラブホ奇譚〜田舎ラブホの日々〜

          寂しさと言うバケモノ

          つい先日、このnoteを読んでくれた知人から直接感想を聞ける機会があった。 思考、構造、感性の話は大好きな人間なので素直にこう言う話をしてもらえるのは正直かなり嬉しい。 話を聞いていて面白いなぁと思ったのはその人が私が書く文章に出てくる「寂しさ」を一つの物体として捉えていた事だった。 「全部の話に姿、形を変えて寂しさが出てきたからなんだか一つの生き物みたいだった」と すごく独特な捉え方だけど的を得ていて、なんと無く自分が伝えたかった事が伝わっている気がして嬉しくなってし

          寂しさと言うバケモノ

          人生仮免未満

          今夜もまた、また失敗してしまった。 深く項垂れてもアルコール臭い呼気は誤魔化せず、とりあえずコップ一杯の水を飲み干す。 未熟、という言葉では言い表せられないくらいに私は人間として未完成だ。 相変わらず公共料金の支払いは忘れるし、規定された時間に約束の場所に辿り着こうと頑張って起きてもどうしてだが遅刻してしまったり、地図を読んで、文明の力に頼っても道に迷ってぐるぐると同じ場所を回ってしまう、全部嫌になって酒に縋って泣いて喚いて、数え切れないほど失敗を積み重ねてもなんとかやり過

          人生仮免未満

          -ラブホ勤務初日、大珍事の回-

          ラブホテルの主な仕事は2つ、フロント業務と清掃業務。 フロントは基本2勤2休制で清掃は昼勤夜勤に別れているところが多いと思う、フロントはシンプルに寝れない所とトラブル処理がキツく、清掃はシンプルに体力勝負の仕事。 勤務初日、清掃業務を教えてくれるはずだった人がいきなり休んでしまい溢れた私はまずフロント業務を教わる事になった。 モニターをチェックし、朝にはアウトコールをかけ、フードやドリンクが出れば作って運び、暇な時間は備品や貸出のアダルトグッズのメンテナンスをする、無限に連

          -ラブホ勤務初日、大珍事の回-