1項目600文字くらいで分かるNFTのアレコレ

おもにフォロワー向けに書いた記事です。
今までnoteのほうで公開してきたNFT関係の記事は、とにかく情報という情報をできるだけ詰め込んだ結果、記事全体で数万文字とかになってしまったので、もっと簡潔に、且つ分かりやすくNFTに関する概要がわかるような記事を目指して書きました。
基本、クリエイター向けの記事ですが、クリエイターに限らず「NFTって何なの?危険なの?安全なの?」くらいのことはわかると思います。

とりあえず知れるNFTの概要

NFTとはどういうものか(2022/9/7追加)

NFTは非代替性トークンの略称……と言っても分かりづらいと思います。
おもに暗号通貨界隈(ビットコインとかイーサリアム)で使われる言葉で、この「暗号通貨」というのも「トークン」のひとつです。
暗号通貨のトークンとは、文字通り通貨ですので、100円玉が無数にあるのと同じように、同じトークンが数億、数兆、あるいはそれ以上の枚数作られて、取引に使われます。
そして「ひとつのトークンが作られてから誰に渡ったかまでの取引も、全部テキスト情報で自動的に記録して、どこに何があるのかはっきりさせれば、通貨とは違う、たったひとつの固有のトークンが作れるのでは?」として生まれたのが「NFT」=他のもので代替ができないトークンです。
そして「そのテキスト情報とイラストデータを紐づければ、デジタルアートも現実の美術品のように唯一の価値を付けれるのでは?」としてつくられたアイデアが俗にNFTアートと呼ばれるものです。
いわゆるOpenSeaなどで、NFTアートとしてずらりと売られているものは、画像そのものを売っているというより、画像と一緒に「NFT」という情報を紐づけて売っているわけです。

NFT(の価値)って結局何なのか?

NFTを分かりやすく例えるなら、レシートが一番分かりやすいです。
暗号通貨界隈の中で記録される取引レシートと考えると分かりやすいです。

例えばコンビニで肉まんを買ったのに店員が肉まんを入れ忘れていたとき、レシートを店員に見せて確認すれば、改めて肉まんを貰うことができます。

暗号通貨では、すべての取引記録がブロックチェーンと呼ばれる手法で残ります。この取引記録というのは「Aが作った→AがBに売った→BがCに転売した」という取引がすべて記録されるため、「最初に購入した人」「今持ってる人」「今まで持ってた人」などをいつでも直ぐに参照できます。
この「取引」を「コントラクト(スマートコントラクト)」と言います。

NFTのイメージ。
実際には、どこまでをコントラクトに記録するのか、メタデータはどこに保存されるのか等は場所や作成方法によって様々。これらの情報は誰でも閲覧でき、且つ改変や削除は行えない。
画像データまでのすべてをブロックチェーンの情報にすることをフルオンチェーンと呼ぶ。

このようにNFTアートとは、「これを売りました」という文字情報こそがNFT(非代替性トークン)で、データ自体を取引してるわけではありません。

ではそれをやる意味とは?
例えばYoutubeのスーパーチャットのような「応援」とか、あるいは作者的には「買ってくれた人」として、所有欲や承認欲的な意味を持ちます。
また「所有者だけがSNSのアイコンに使っていいですよ」とか、あるいは「このNFTの所有者には○○日にプレゼントをします」みたいな企画や特典の配布でも役立つでしょう。

「唯一無二性」ばかり取り沙汰された結果、批判などもそこばかり注目されますが、そもそも「唯一無二性」なんて無いと考えれば、それなりに活用の仕方はあるシステムと考えられます。

NFTは永久的で唯一無二的なのか?

先程言ったように、NFTの主要な部分は「取引情報」であり、作品のデータはただNFT販売企業の自社サーバーや、IPFSという方法によって保存されているだけで、誰でも閲覧・ダウンロードができます。
取引記録自体は唯一無二の情報ですが、「NFTアート」という括りで言えばそうとは言えないでしょう。作品そのものはTwitterやpixivで公開してるのと何ら変わりません。

当然ダウンロードができるので偽物も作れてしまいますが、「NFTを作ったアドレス」が記録されている以上、偽物と本物の区別は誰でも簡単に出来ます。偽物を作るのは容易だが、偽物と見破るのも簡単、というわけです。

外見上そっくり同じNFTを作ることはできるが、取引情報で簡単に区別できる。
このスマートコントラクトに記録されてる、ユーザーを識別するアドレスは「マイナンバー」のようなものなので、作者が利用していないサイトの偽物でも判別することが可能。

もうひとつの永久的に残るのか?の部分も、実は微妙です。
「取引情報」は一度記録されれば改変出来ずに残ります。しかし、もし暗号通貨そのもの、ブロックチェーンそのものが無くなってしまえば、当然NFTも消えてしまいます。

NFTや暗号通貨界隈自体がまだ十数年の歴史しかないので、どれだけこのシステムが長続きするかは誰にもわかりません。
一般に広く普及し数千年続くかもしれませんし、あるいは数カ月後には誰も使わなくなって滅んでしまうかもしれないのです。

NFT界隈は危険なのか?

少なくともNFTのシステムそのものに危険性はないですし、またNFTにいる人が全員悪どい稼ぎ方をする怪しい投資家というわけではありません。
きちんとクリエイターのことを考えてくれる方々も多くいます。
投資家とかも胡散臭いなぁと感じることがあるかもしれませんが、まぁそういう仕事だから……と思っておいて、深く関わらなければそれで良いです。

しかし、胡散臭いだけならまだ良かったのですが、残念ながらNFT界隈には嘘をつく人、つまり詐欺が大勢います。それこそ「NFTはデジタルアートに唯一無二性を付与できる」という謳い文句も間違いだったわけですから、ある意味で詐欺と言えるでしょう。
(投資家というより、メディアがよく言っていた話ですが。)

また日本のNFT界隈は比較的安全なのですが、海外となると途端に無法地帯となり、ちょっとでも怪しいリンクを踏んだりデータをDLしようものなら直ぐに詐欺られたり、ウィルス感染してデータを抜き取られたりツイッターアカウントが乗っ取られたりします。
20年前のインターネットで、変なリンクを踏むとすぐブラクラに引っかかるような感じと言えば、少なくとも大人の方はイメージが湧くと思います。

なので、「NFTは危険ではないし良い人もいるが、それが霞むほど悪いことが無数にある」というような感じだと考えてください。

作品の無断転載が横行してる理由は?(2022/4/9追加)

「唯一無二のものとしてブロックチェーンに永遠に刻まれ続ける」という部分で危機感を感じるクリエイターも多いですが、現状のNFTは先程も語ったとおり「取引記録」がメインで、イラストなどの作品データはただ別のサーバーに勝手に入れられてるだけです。
(それはそれで困るのですが、ようは今まで以上に厄介な転載はされてないということです。)
そのため、「NFTで転載されたらよくわからん界隈のインターネットタトゥーとして刻まれる」という心配はそれほどしなくても構いません。

しかし、問題は「NFTを作る」ことが非常に簡単なことです。
今までであれば、他人のイラスト作品で稼ぎを得るとなると、初期費用のかかるグッズ販売程度で、業者か海外のグループでもなければ滅多に行われませんでした。
それに比べて、NFTはとりあえず有名な絵描きを選んで過去絵を持ってくるだけでその日に販売までできるわけです。これこそ、NFTに無断転載で稼ごうとする人が横行する理由と考えられます。

当然、NFTの主要な利用者が海外であること(法的手段が取りづらい)、NFT界隈自体が怪しくみられ避けられてること(発覚しにくい)、法整備ができていない(法的以下略)ことも強く関係しています。

不幸中の幸いとして、NFTはグッズなどと違い偽物を買うメリットが殆ど無く、それが偽物だと広まれば買われることは殆どなくなります。
NFTアートの基本的な価値は「本人から直接買った証明」であるため、偽物から買ったところで投機にしろ承認欲求にしろ何の意味もないのです。

NFTは稼げるのか?

これは非常に難しいところで、結局のところほかの界隈と同じように「時と場合と運と努力による」としか言えません。

2021年の9月から11月ごろは多くの投資家などが「この作品・作者は近いうちに人気が出て高値になりそうだから、安い間に買って高騰したら転売しよう」という、「投機」としてクリエイターの作品を買ってきました。

しかし今現在、投機目的で動く人たちの関心はコミュニティ型の企画など、別のジャンルに移っており、元から人気のクリエイターを除き、純粋なNFTアートで売り出すのは簡単ではなくなってきています。

もちろん、"投機目的で買う人が減った"というのは、裏を返せば"純粋に作品を好きで買ってくれる人"が今は多いということですから、悪い面ばかりでもありません。

とはいえ、「出せば売れる」ものではなくなった以上、海外向けに英語で宣伝をする努力が必要になります。「絵以外にやることが増えたわりに、誰にも見られず売れもしない……」という状況に陥ることも少なくありません。

そのぶん、注目されたときにはガツンと利益が出るのもNFTです。
総じて、NFTは時・場合・運・努力すべてに左右される、難しい界隈です。

NFTの売り方は?

基本的に大きなプロジェクトをやらない限りは、シンプルに絵を描き→宣伝し→売るという基本の流れかと思いますが、方法は幾つもあります。
そのなかでも特に基本的な売り方を2種類ほど紹介します。

・コレクティブルな作品を低価格で売る
同じ構図・同じ絵柄等の共通点がある要素で、ちょうど、ゲームのキャラメイクのようなものを思い浮かべると分かりやすいです。
1枚1枚個別に描く人もいますが、画像メーカーPicrewのように、パーツを繋ぎ合わせることで数千枚のパターンを作り、安価で売ることも多いです。
(本来の定義とはズレますが、一般的にジェネラティブと言われます。)
ひと目で「あの人の絵の界隈だ」と分かるので、コミュニティの結束を高める効果などがあります。
ジェネラティブに限らず、NFTはけっこうテーマを決めてそれに沿ってることが多いので、先に共通点などを考えておくと良いかもしれません。

"おにぎりまん"さんのジェネラティブコレクション「Tokyo Pop Girls Collection by Onigiriman」
NFTマーケットプレイス「tofuNFT」での紹介ページより画像引用。 
https://tofunft.com/ja/launchpad/onigiriman-tpgc

・普段どおり一枚絵を上げつつ、ちゃんとした価格で売る
Foundationや日本産市場のANIFTYなどの、招待制の市場だとこちらの売り方が主流です。
時間をかけてしっかりした一枚絵を作り、平均的には数万~十数万円程度で売られる事が多い気がします。
当然、予算の潤沢にある資産家や、売上のあるクリエイター相手でなければなかなか買われないので、「とりあえず出しておいて売れたらラッキー」くらいのスタンスでやる方も多いです。(精神衛生上もそのほうが気楽)

動画や一枚絵など、アート要素の強い作品が並ぶFoundation。トップページより画像引用。
各作品の作者は画像内のID(@から始まる文字)を参照のこと。
https://foundation.app

NFTは「コミュニティ」による繋がりが重要なので、いかに交流しているかによってけっこう売れやすさは変化していきます。
しかし、コミュニティに属することが苦手でも全く売れないわけじゃないので、自分にとって一番ストレスの少ない活動の仕方を意識しましょう。

その他の注意点

・海外の反対派は過激な人が多い
特に海外ファンが多かったり、海外からの依頼が多い人は注意する必要があります。「NFTをはじめました」と言うと「さようなら」「NFTは詐欺」「環境破壊者」などと散々なことを言われてフォロワーが減ったり、「もうあなたのことは支援できません」と、依頼が減ったり、パトロンサービスを退会されたりすることもあり得ます。
もちろん、界隈以外の全員がNFTを嫌悪してるわけではありませんが……。

・かなり調べることが多い
単純に、暗号通貨のシステムがかなり複雑で面倒です。例えば今の日本では各会社がそれぞれの電子マネーを開発し、店ごとに使える・使えないとか、あるいは電子マネーのルールや使い方も違っていきます。
NFTでもそれが「仮想通貨」単位であって、うっかりすると欲しいNFTを買うのに間に合わないとか、両替をしようと思ってるうちに手数料だけどんどん取られる……みたいなことがあります。
それらを理解するだけでも、かなり時間がかかると思っておいてください。

・エコーチェンバー現象
NFTはそれ自体が結構閉じたコミュニティですし、界隈のなかでも細かなコミュニティが点在しています。
そうした場所に属していると、その"集団の中での当たり前"に次第に同調してしまったり、「周囲がやってるから」と手を出すつもりのなかったものに手を出してしまったりします。
可能な限り自分を客観視したり、複数の違う考え方のコミュニティに属するなどして、意見や考えが偏らないようにしておいたほうが良いです。

初心者向けのコミュニティ紹介

前提として、コミュニティ自体は健全でも、大規模で人の多いところだと、そのなかに詐欺アカウントが流れ着いていて、コミュニティ運営と偽ってDMを送ってきたりもします。
少しでも怪しいと思ったらとにかくそのコミュニティ内で相談しましょう。

・SoudanNFT

日本発の、「NFTの相談所」として作られたDiscordサーバーです。
最近は「Love Addicted Girls」というプロジェクトNFTがメインのようになってしまっていますが、日本語チャンネルのほうで「相談」としての役割は今でもちゃんとあります。
何か分からないことがあれば、こちらで聞くと誰かしらが答えてくれます。

・Weeb3dao

NFT、特にメインで使われるイーサリアムという通貨は、取引をするごとに「ガス代」と呼ばれる手数料がかかり、安い時であれば1000円前後ですが、需要が高まるほどにこの手数料が上がり、酷いときには数万円を請求されることもあります。(なんて酷いシステムだ)

Weeb3daoでは「クリエイターのためのガス代支援奨学金」を行っており、審査の通ったクリエイターには初回出品に必要なガス代を無料で渡すという、かなり太っ腹な活動をしてくれています。

基本、こういうのは滅茶苦茶胡散臭いし詐欺だと思ったほうが良いのですが、Weeb3daoは既に(私含めて)多くの日本人クリエイターを支援してきているので、安心して良いと思います。

読んでおくと良い記事

初め方など基礎知識的な記事(いいのあったら教えてください)

何か「これだ!」という記事があればいいのですが、正直ここらへんは記事の種類が多すぎて絞り込めません……何かいいの見つかったらここで紹介します。全体的にやる事は変わらないので、とりあえず私が使ってる「仮想通貨取引所」「ウォレット」だけ載せます。

ビットバンク(bitbank)
販売所取引とは別に、いわゆる板取引と呼ばれる、手数料を抑えられる取引ができます。正直よくわからないので私は板取引のほうを使ったことは全然ありませんが……。
また、顔写真証明がなくても、代わりに2種類の証明書で登録できるので、運転免許もマイナンバーカードも作ってないよ!って人におすすめです。

メタマスク(Metamask)
おすすめというか、大抵の人がこれを使ってます。なので何か困らないことがあれば直ぐに調べたり相談で回答を得られたりしますし、逆にメタマスク以外だと調べるのに相当苦労すると思うので、メタマスクにしといたほうが無難です。

注意点として、ウォレットやNFT市場は本物になりすました詐欺サイトが検索結果に引っかかることがあるので、出来れば信用できそうな説明記事であったり、Twitterの公式アカウントからリンクに飛ぶと良いでしょう。


NFTの存在意義に関しての記事

先程上げたSoudanNFT・LoveAddictedGirlsの運営者であるはやっちさんによる「なぜNFTでやるのか、NFTでやる意義とはなにか」が分かりやすく説明されている記事です。


界隈・市場分析や売り方の記事

こちらも先程紹介したweeb3daoのメンバーであるShinjurouさんによる記事です。NFT界隈においてよくある「ポジティブな言葉」に対する注意や、NFTを買う人のこと、売るときに大切なことなどが書いてあります。
冒頭にあるとおり、これより前に同じくらい役立つ別の人が書いた記事があるのですが、この記事の意志を尊重してこちらでは紹介しないので、ぜひ自分で調べてみてください。


私のほかのNFT記事

これは「読んでおくといい」とは言いませんが、せっかくなので過去の記事も紹介しておきます。

クソ長い記事ですが、今回の内容の詳しい版と考えておいてください。
途中で貼ってある記事も合わせて読むと膨大な量になってしまうので、もし時間があれば読んでいただけると幸いです。


私が「NFTをはじめました」と言ったところ、案の定、私のFANBOXに加入してくださっていた海外の方から「NFTは応援できません、支援をやめました」とメッセージが来ました。
そのときに「何故反対派はそこまで嫌うのか?」と根掘り葉掘り聞いてみたときの記録です。


NFT界隈に詐欺やウィルス、乗っ取りなどが多いことはお話しましたが、その一覧のようなものです。ざっくりといろいろ書きましたが、当然もっといろんな詐欺があり、いろんな害があると考えていただいて構いません。

記事を読んでくれてありがとうございました。 よろしければご支援いただけると励みになります。