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派遣で行ったスナックを飛んだ話


時給2500円のスナック

私がまだ夜職を始めて間もない頃、中洲の小さなスナックに派遣されました。
ちなみに派遣されるときはLINEで今日働くお店の名前と時間が送られてきます。
事前に店名を検索かけて場所を見て、
ちなみに私はGoogle口コミも見て治安を確認。
さて、時間になった私はビル6階にあるスナックへ。
「いらっしゃい」と言われて挨拶を済ませ、待機。
店内は薄暗く、「これダイソーで売ってるやつ?!」と見たことのある壁紙がペタペタ貼っておりました。
『中洲のスナック』と聞くと
すっごいラグジュアリー空間!を想像しているかもしれませんが…
店内は所々DIYされていて
「ここって本当に中洲だよね?」
とちょっと拍子抜けしました。
初めは派遣として行っていましたが、
「あんたうちで働かん?」と言われ派遣会社を辞めて
正式にスナックスタッフとして採用されました。

スナックの客層

22時を過ぎると常連さん登場!
客層のラインナップはコチラ💁‍♀️
①不動産
②くたびれたサラリーマン
③おじいちゃん
④お坊さん
スナックのママは過去中洲のクラブで働いていて、そのときからのお客さんが通っていました。
色恋を狙う客はいませんでしたが、
治安の良い日と悪い日があり
私が飛ぶことを決めるきっかけは治安の悪い日に起きた事件でした。

客との思い出

そのきっかけは最後に置いといて、
それぞれの客との思い出をここに記します。

①不動産の客

一番通っていた客、かつ店員のうち1人のギャルを狙っていました。
そのギャルは私の1つ年下で背も小さく小柄だけど肉付きの良いスタイル。
まるで倖田來未を小さくしたかのような見た目、ストレートヘア。
髪の毛が長すぎてたまにテーブルの上に置いたアイス(氷)の中に毛先が入ってしまうことがありその度にサッと毛先を抜くのが私の仕事でした。
不動産とそのギャルが話しているとき私はなかなか入れなくて
ポツーンとひとりぼっち。
店の中では不動産のことを「イケメン!」ともてはやしていたので
気前と羽振りはなかなか良かったかな。

②くたびれたサラリーマン

その客の口癖は
「人生に疲れたなぁ」
「ママ、経営大丈夫?キツかったら僕が助けるから…」
そう言われるとママはいつも
「ありがと…💕キツイけど大丈夫よ」と
含み笑いをして客をデレっとさせていました。
しかしママ、閉店するとタバコをふかしながら
「別にあいつが来んでもやっていけるったい。恩着せがましい…」
と冷めた目で一服。
やれやれ、お客さんも可哀想に。

③おじいちゃん

おじいちゃんは特に思い入れはありませんね。
なぜでしょう、うーんたぶん一番接客しやすい客層だったからかな。

④お坊さん

意外や意外、
お坊さんも来るんですよ。
しかも結構羽振りが良い。
半年に1度は団体で貸切状態。
とはいえ、会話に困りました。
お坊さんの私生活って謎すぎてなんの会話したら良いのか分からなくて…。

客もママも最&低!

さてそろそろ辞めることになったきっかけを。
とある週末、サラリーマンが団体で来店。
テンションが上がり、お酒の飲み方も激しくなってきました。
氷のピッチャーの中にウィスキーを注ぎ
回し飲みする治安の悪さ。
そこで1人の客が
お店の女の子の肩に噛み付き始めました。
「イッタアァイー!」と女の子が叫んでも客は辞めず…。
油断した私も噛まれて失神するかと思ったくらい痛くて。
そのとき視界に入ったのはママ。
ママもお酒を飲んでてどんちゃん騒ぎしていたけど
噛まれている私たちを見てゲラゲラ笑っていたのです。

スナックのママって客の管理もするけど
店の女の子の管理もするのが仕事。
団体客が帰り、
女の子たちは肩を見せ合い口の形に内出血した跡を見て嘆きました。
内出血ができるほど噛む…水商売の女の子なら何をしても良いのでしょうか。
「暴行事件として中洲の交番に行こう」と一番歴が長い子が言い、
エレベーターに向かおうとするとママは
「そんなん、自分が隙を見せた方が悪い!
 あのお客さんはうちで一番の太客たい!
 もし警察にでも言ったらあんたらの実家や昼間働いてる職場に水商売してることバラしちゃるけん!」
と言い放ちました。

飛ぶには念入りに

この一件があり私はママに対して不信感を抱き始めました。
何をされても自己責任、
もし店のトイレでレイプでもされたら泣き寝入りかも。
派遣会社を辞めてなければまだ良かったのですが、
昼間は大学に行っていたし両親には内緒だったので
「バラしちゃるけん!」
という言葉に恐れてしまっていました。
でもね、やられてばっかりじゃダメなんです。
水商売・夜職は常識が通じない人が多いので
私も常識では対抗しないことに決めました。
とある日、私は突然スナックへの出勤を辞めて
中洲のキャバに体験入店をぶち込みました。
スナックからは何件も電話が入り、
ショートメールでは罵詈雑言。
そして3日後、私はママに
「精神的にダメになりました。
お店に出勤しようと思ったら玄関先で足が動かず涙が止まりませんでした。
実家に帰省し療養します。
あの暴行事件のことは表沙汰にするつもりはありませんが、
念の為、精神科医の医師には怪我をした箇所を見せ
店の中で起きたことを話しました。
その精神科医が警察に通報するか、店の子たちに事情聴取をするかは知りませんが私は療養に集中したいため今後一切の連絡は致しかねます。」
と返信し連絡先をブロック。
実際には精神科医なんて行ってなかったけど
どうしてもこの店を辞めなければいけない。
自分の身を守るために『飛ぶこと』を決めました。

飛ぶ日の事前準備

とにかくたくさん調べました。
Yahoo知恵袋で水商売をやっていて飛んだことのある人たちの経験談を調べて
訴えられたりしないか、
こちらが被害を被るパターンはあるのか調べ尽くしました。
【店の人が家まで来るパターン】
飛んだ子が何十万、何百万もの売上がありお店側が
「こいつがいないとウチの店は経営が成り立たなくなる!」
という子だと家に来て説得されることもあるそう。
ですが私はペーペーの雇われ店子だったのでまぁこれはないでしょと。
【お金を請求されるパターン】
お店に給料前借りしていたり
その子が飛んだ日に人が足りず売上が成り立たないパターン。
まず、私は給与を日払いにしていたので前借りはしていない。
そして私1人が休んだところで平日だったので店には3人くらいしか客は来ないだろうしOK。
ざっとこんな感じでしょうか、
調べ尽くして「なんか大丈夫そう!」と自分でGoサイン。

そもそも微妙だった労働条件

こんなことを言ったらキリがないけど
スナックで働いていたとき
「これってアウトなんじゃない?」ということもありました。
①時給は24時でカット
私は21時出勤、大体25時で退勤。
本来なら時給×4時間分をもらうところを3時間分しかもらっていませんでした。
初めは働いた時間分のみ時給をもらっていましたが、ある日ママに
「あのね、うちで一番長い○○ちゃんは1回の出勤で8,000円なのね。
あなたまだお客さんも着いてないし、あんまり出勤してないじゃない?
なのに○○ちゃんよりお給料もらってるのはよくないと思うの」
ふんふん、てことは時給制ではなく日給制になるってこと?
だから派遣会社を辞めさせたの?ヤラレター!!
もし2時過ぎまで働いても3時間分の給与しか出ないなんてどうなん?
しかもそこから税金引かれたら夜職やってる意味はないくらいの金額に。
ヤクザ並みじゃん、ヤバかろうよ笑
②断れないアフター
客がアフターに行きたいと言い出したら行くしかありません。
「明日大学があるんでちょっと…」と言っても
「じゃあ途中で帰っていいから」とママに言われ参加。
ちなみに途中で帰れた試しはありません。
しかもアフターは「次回もお店に来て通ってくれることが目的」なので時給が発生しないんです。
キャバクラやクラブのお客様だったら
「タクシー代」として諭吉が何枚かもらえるけど
スナックでそんなことしたらママ大激怒。

無事スナックを辞めて、
マイペースに中洲キャバをやっていると
スナック常連客とバッタリ遭遇。
聞くところによると私はママや客から「あんなに可愛がってあげたのに!」と言われ放題だそう。
「あのねぇ、言えなかったんだけど私こんなことがあって…」
と遭遇した客に暴行事件や給与・アフターのことを話しました。
「俺さ、あのスナックには会社の付き合いでまた行かなきゃいけないけど○○ちゃんのとこにも指名で行くから。もし中洲で怖い目にあったら連絡しな」
と太客になってくれました。
もし中洲で働こうと思ったら
個人経営のところほど謎ルールがあるから
私だったら絶対グループ店か大きいお店を選びますね。


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