会社を退職することは決めた。

今すぐ、退職すると残されたものが大変なことになるのは見えているので、退職までの期間を3ヶ月の猶予を設けた。

このタイミングでの独立？
それとも、また安月給で雇ってもらうところを探すか？

正直、未だに迷ってた。

今朝、ぼんやりと考えながら、穏やかになりつつある季節を感じて
ケツメイシの桜が聴きたくなって、Alexa（スマートスピーカー）に
「ケツメイシかけて！」とお願いした。

ランダムに流れてきた曲の中に今の俺の心奪われる曲が流れてきた…

その曲は…

『覚悟はいいか』

冒頭の歌詞から心を鷲掴みにされ、全部聴き終わるまでに涙が零れた…

そうなんだ、俺はこれまでの人生相当あがいてきた
逃げ出したことも沢山あった
そんな恥部すら恥ずかしながら50歳を超えてようやく受け止めた

環境や他人のせいにしても、全ての責任は結局自分に跳ね返ってくる。

『結局　自分が何残せる？
　努力は必ず報われるのか
　本気じゃないならすぐにばれるさ』

『不安に思う　どこまでいける？
   安心しろ　もう　ここまで来てる
　本気になれなかった不幸せ
　それを今分かるならぶちかませ』

『打ち鳴らせ　その心の鐘
　今のツラこそお前そのものだぜ！
　二度ない機会を　無にするな
　決して　後ろは振り向くな！！！』

この後に続く歌詞も何かこれまでの自分を全部見られてたかのように錯覚する歌詞が続く…

大学を卒業して人並みに就職。
入社して間もない俺にですら、自分の失敗も保身の為なら平気でその責任を押し付ける可成り自分より上の人間を見て来た。
幸い俺はその全部を片付け、皮肉なことにそいつらに信頼感を得たお陰で、早い段階で大きな仕事を任されるようになる。

しかし、成功しても今度はそれを妬む40代から50代の部長連中を目の当たりにして、『俺もすぐにそこの席に座ってやるから待っとけ！』って歯を食い縛って走り回った。
結局、仕事で関わった二人の死と最後に関わった中国進出の失敗が目に見えていたのを止めようとしたが、パートナーを組んでいた会社との手前もあり止めれず、組織と言う壁にぶち当たり、俺自身が崩壊した。

もうそれ以前に気付いていたんだ…

俺は組織に属して働けるような人間じゃないって。

『長い物には巻かれろ』

って、言葉が一番嫌いだから、これまでの人生もそれが招いた結果。

それに俺自身が過去に囚われて、それを逃げ場にしてきた結果が離婚。

いつしか、自分の事を『社会不適合』と言っていた。

それでも、生きている以上人とは関わる

人が怖いとも思った

だから、友人と呼べる存在は一人も居ないと思っていた

自損事故を仕事中に起こして、軽度の頚髄損傷だったが身体の自由が利かなくり、コロナ禍で入院も出来ず自宅療養を強いられ、医者からは
「今後の後遺症は分からない。手足が動かなくなる可能性もある」
と告げられ、何処かで『俺も終わったな…』と半分投げやりになっていた。

その事故の寸前に知り合った女性が、足繫く通ってくれて俺の世話をしてくれて、投げやりな俺が自分の過去の話をした時に泣きながら…

『生きててくれてありがとう』

と俺に言ってくれた。

俺にもまだそんな言葉を掛けてくれる人が居るんだと…

そして、今の会社でも責任を取らない、客先にも一切頭を下げない上の人間に代わって、俺が頭を下げて回って勝ち取った今の市場。
取引先も俺が入社時から3～5倍に増えたが、頑なに人件費が掛かるから人は入れないと言い続け、とうとう俺自身が苦渋の決断で一番遠い、取引先の仕事をご法度だが同業他社に譲渡した。
当然、その謝罪も俺自身の仕事。

これまで俺がうちのメンバーに
「失敗しても良いから、思い切ってやってこい！」
送り出していたのを見てきた何人かは
「もう、○○さんが独立したらいいんじゃないですか？付いて行きますよ！」
と何度言われても、
「ハハハ、もう50超えてるし、住宅ローン組んだばかりやし…」
と断ってきた。

だけど、去年の暮れに業務委託をお願いしている人に同じことを言われただけでなく、具体的なプランまで提示された。その場は当然、同じ言葉で断ったが、個人事業主でもある彼に言われたことが嬉しかった。

最終的な決断はこの身体が未だ動くうちに、何か自分がこれまで培った知識を使って、誰かを助けてそれに対して対価を頂くということ。
それはあくまでも対等な関係で、お互い合意した場合のみ行う形の業界特化の営業代行的な仕事。

勿論、今の仕事での成功を見届けたかったので、体調の事も考慮して今の仕事の状況を伝えて、午前中の在宅ワークを申し出たが、結論は「サボりたいだけやろ？」との回答。営業車に付けられているGPSでエンジンが止まっている時間全てサボっていると言わんばかりのことを言い出したので、こんなバカには付き合いきれんと退職を決意した。

『さぁあるもの　全て出すだけ　後はやるだけ　勝つまで』

『よぉ　覚悟はいいか？』