かけ算の順序

 「かけ算には順序がある」というのは、小学校では常識中の常識です。そもそもかけ算を導入する際、「○このいくつ分」つまり「単位量の何倍」という、累加の発展として考えていくから。それが一番合理的で、具体的だと思いますし、だからこそ、教科書もそのような作りになっています。

 しかし、海外に目を向ければ、同じ意味でも、表記の仕方は日本と全く逆の国の方が多かったりするそうです。(それは、言葉や文化の違いからるくもので、考え方自体が全く逆という意味ではないようですが)でも、数学界では、日本の表記法・順序が一番合理的で論理的だというのは常識なんだそうです。

 さて、ここからが本題。以下の問題では、みなさんはどんな式をたてますか?

「チョコレートを一人3個ずつ6人に配りたいと思います。チョコレートは全部でいくつ必要ですか?」

 日本の教育では「3×6=18」が正解とされます。理由は、一人3個ずつ6人分配るからと言うことです。それに異論を唱える方はいないと思います。

 さて、問題は「6×3=18」と書いた子を正解とするかどうかと言うことです。

 ちなみに、海外では、「答えが同じだし、そもそもかけ算は交換法則が成り立つので、迷うことなくどちらでも正解」というのがスタンダードである文献を多数見ます。日本でも両方の解釈がとても説得力をもって説明されています。

 結果を重視するならば、私は交換法則が成り立つので、どちらでもかまわないと考えています。つまり、計算は目的に到達するための手段と考えれば、どちらでもかまわないと言うことです。

 でも、小学校段階での算数の目的は、計算という技術やテクニックを身につけるだけではなくて、「物事の考え方、見方」を身につけたり、計算や方法の「意味」を理解することがとってもとっても大切だと思っているので、

 「どのように考えて出した式なのか?」

に着目する必要があると思っています。

 その意味においては、6×3でも3×6でもどちらでも良いようになります。(ただ、現実的には3×6が一番合理的でわかりやすいのですが)

 つまり、「3×6」の場合「一人に3個ずつ配って、それが6人分あるので」という考えから「3×6」に至ったのなら正解。

 また、「6人いて、まず一回目として全員に1個ずつチョコを配る。その時に6このチョコがいる。それを繰り返して、一人が3こもらえるまで続けるので、3回分。だから6×3」という考えだったら6×3でも正解だと私は思っています。

 結局、「式だけ」を見ているので、議論が分かれる。

式はあくまでも「考えや状況、方法を記号化したもの」なので、その考え方や状況と式が一致していれば良いのではないかと思っています。少なくとも小学校算数では・・・という意味です。

 でも、今の日本では、どうも上の問題では「3×6」だけが正解で、6×3が×になる事がとても多いようです。それは、答えさせ方の問題だと私は思っています。上記のような事が分かる答えさせ方をすれば、良いだけなんです。でも実際2年生にそれをさせることがとても難しいということも理解しています。

 やっぱりいつまでたっても、人に「教える」ってとても難しいことだなあと思います。

ここから先は

1字

¥ 200

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?