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【連載小説+あとがき+エッセイの勉強中……というより野球中継中】恋愛ファンタジー小説:正直な王子と正直じゃない姫君(7)生活力なしの王子と王女+あとがき+「一点先制されてるー!!」

前話

「エリアーナ! 今日は大漁だぞ~!」

「また、魚~?」

「魚は脳にいいのだ」

「たまにはお肉も」

「高いからお魚で我慢して」

「もう」

 あたしはふくれっ面で立ってエルンストを迎えた。

 あの「城を出よう」発言から一ヶ月近く。あたしとエルンストは海が近い街にいた。

 あ。間違ってもまだ夫婦になったわけじゃないからね。一応、友達から彼氏に格上げされただけ。行くところがないから、エルンストが与えられた土地の港町の家を借りているだけ。

 そう。借りているから家賃がある。あたしはもともとの財産がないから、あの考古学的価値のある宝飾類を全部うっぱらって、エルンストは王妃様よりかねてから貯めてあったエルンストの貯金を渡してもらって今は、そのお金で家賃を滞納せずに済んでいる。

エルンストは就職口を探してるけど日頃から武術以外の事はしてなくて、スキルが低すぎて働き口がない。まぁ、領主にもどったら税金が入って自分の土地だから自由だけど、あたし達は一般人となる事にしていた。もう、あの王子様、お姫様という肩書きを捨てたのだ。でも、戦となれば民兵として召集されるのは当たり前だったけど。結局、危ないのは同じ。

「おーい。エリアーナ、エルンストや。野菜のお裾分けじゃよ」

 隣のおじいさんから野菜をお裾分けしてもらう。この人、なんだかあやしいけど親切だからそのままにしてある。あたし達の隠している身分に気づいているようなんだけど。

「ありがとー。魚だけじゃ、また煮付けだけになるところだったわ。はい。エルンスト。この野菜を洗ってきて」

 街の中には清水が湧き出ていてそこから食べるものを上流で洗って洗濯物などを下流で洗うという習慣が付いている。もちろん、上流で洗ってくるエルンストのはずだ。

 だけど、長い。野菜洗うだけにこんなに時間を使うなんて・・・。そうこうしている内に魚の煮付けが出来た。毎回このレパートリー。エルンストは物事をよく知っていたけど生活スキルはなかった。あたしも二千年前のスキルしかない。

「ごめん。ごめん。エリアーナ。上流で井戸端会議に引っ張られて」

 一応、イケメンの部類に入るエルンストは近所の奥様方の目の保養に井戸端会議に巻き込まれている。

「今日は、いつ結婚式を挙げる? って聞かれちゃった」

 嬉しそうに言うエルンストをちろん、と見た。

「あたしのことぺらぺら話してないでしょーね」

「言うわけないじゃないか。エリアーナがに・・・ふがっ」

「その減らず口は窒息死したいの?」

 ぶんぶん、と首を横に振る。あたしは手を離した。あんな至近距離で彼氏なんぞ見れば乙女心がざわつく。だけど、それを隠してあたしは野菜の調理に入った。

「いただきます」

 あたしは育ったとおり食事の際に言う。これだけは身にしみて付いてるのよね。エルンストはもう胃の中に大半を納めている。

「あのね~。調理したのあたしなんだけど。もうちょっとありがたく頂きなさいよ」

「あ。いただいてます」

 にへら、と笑う。

 その笑みにあらがえない自分がいていらだつ。いつの間にエルンストのいる空間に慣れてしまったんだろうか。いない空間が信じられない。

 そんな物思いに浸りながら食事をしていると、家の前で馬車が止まった。無理矢理道に入ってきたみたい。

「やぁね。常識知らずは。誰かしら」

 あたしはスプーンをおいて表に出て行く。すると王妃様が立っていた。

「お・・・!」

 王妃様は唇に指を立てて言葉を発しないように示す。あたしは言葉をやっとこさ、飲み込んだ。

「エルンストのお馬鹿はいる?」

「今食べてますけど・・・」

 王妃はつかつかと食事しているエルンストの所に行くと、ばん、と大きな音を立てて紙切れをたたきつけた。

「エルンスト・・・これは何かしら?」

 横からあたしはのぞき込む。

「財産分与放棄」

 その書類の名称に背筋が凍る。

「だからさー。母さん。貯金なんていらないんだよ。俺とエリアーナは稼いでそのお金で生活していくんだ。エリアーナの宝飾類をうっただけでもかなりの額なんだ。家賃には困らない。就職口はなかなか見つからないけど一応危ない仕事を避けた場合だから賞金稼ぎでもすればきっとまたお金はついてくるよ」

「それがエリアーナが望んでいることかしら?」

 ちろん、と王妃様があたしをみてあたしはぶんぶん、と首を横に振る。

「その内その美しい髪も売るんでしょう?」

 見透かされていた方策にあたしは唖然ととする。

「そりゃ、お金が底をついたらするつもりでしたけど・・・」

「あなた。妻にそこまでさせておいて毎日、魚釣りなんてよくできるわね」

「って。これは俺とエリアーナの問題だ! 母さんとはもう縁が切れてるんだよ!」

「でも民兵で召集されれば歩兵として行かないといけないのよ。前より危ない戦だわ。エリアーナは必死で負傷者を助けていた。命を削るように」

 どき、とした。確かに魔力は無限ではない。あたしは治療行為をするのと反比例に命がすり減っていくのを感じていた。

「エリアーナ! そうなのか!」

 エルンストが立ち上がってあたしの肩をつかむ。

「俺と結婚するんじゃないのか?」

「二千年のミイラと結婚するもんじゃないわよ。あたしは少しだけ夢を見たかっただけよ」

 ぱしん、渇いた音が響いた。エルンストは怒っていた。始めて見る表情だった。胸が痛い。振り切るようにいう。

「エルンストはアリアンヌや他の姫君と結婚した方がいいわ。あたしはもう命が残り少ないんですもの。ほっといたってあと一ヶ月もすれば死ぬわよ」

 一ヶ月。それがあたしに与えられた夢の時間だった。

「どうして!」

 エルンストの目に涙が浮かんでいた。見たくなかった。あたしは家から飛び出した。

「エリアーナ!」

 エルンストが止めようとしたけど無理だった。あたしはとっさに防御壁を作って後を追えないようにしていたのだ。あたしは走る。どこをどう走ったのかわからなかった。

「ここは・・・?」

「よう。嬢ちゃん。可愛がってあげよーか」

 薄っぺらい笑みを浮かべた男達に囲まれていた。冷たいものが背中に走る。だけど、それは一瞬の事だった。すぐにエルンストの腕の中にいた。兵士が男達を連れて行く。

「怪我はなかったか? すまない。急に大声を出して」

 エリアーナ、とエルンストが名を呼ぶ。

「一ヶ月なんて嘘だよな?」

 いいえ、とあたしは言う。

「王妃様の言ったことは本当よ。あたしは自分の魔力を使って治療してたの。もう魔力も命も少ないわ」

「結婚しよう。今すぐにでも。俺は王子に戻ってエリアーナに求婚する。それでこの領地を治めていこう。魔力というか命を補強する方法はあの隣のじいさんが知っている。頼み込めばなんとかなる。もうエリアーナを失いたくはない」

「隣のおじいちゃんって何者なの?」

「黙ってて悪かったけど宰相にして大魔術師だ。エリアーナの命を取り戻せると言っている。母上が、見張り役として隣の家に住まわせていたんだ。口止めされていて何も言えなかった。俺はしょせん意地汚い王室の人間だったわけだ」

「意地汚いなんて言わないで。立派な王室の方々よ。あたしの命はあたしのものだわ。もう二千年も眠るなんてできない。もういいのよ。あたしは死にたいの。死なせて」

 震える声で言うあたしをエルンストは強く抱きしめる。

「死なせるもんか。エリアーナを俺は愛している。例え、落とせなかったとしても。俺の鳥頭じゃ解決出来ないけどあの宰相と母上なら何かできる。もう、ミイラなんて言わせない。エリアーナは今、生きているんだ。俺の腕の中で」

「える……ん……すと……」

 エルンストの声が遠のいていく。ああ。あたしはあの障壁を作ったことで命をさらに縮めたんだわ。さようなら、エルンスト。王妃様。薄れゆく意識の中であたしはそう呟いていた。


【あとがき】
この話、よくここまでよくあるある物語になってること。ほんと物語めいている。今書いている話は全然そんな感じがしない。書いていた時期はもう四年近く前。それから訳ありも途中から加わったけれど傾向が似てるようで違う。雰囲気がこんな芝居っぽくない。なんなんだろう。うーん。不思議だ。しかも中継見てて書く内容を覚えているのも初めて。久しぶりにバックミュージック化してる。中継が偉い方なんだけど、野球初心者にはわからない私なのでした。トラテレでとんでもない偉い方が解説に出てるんだけど。落ち着くわー。

【エッセイの勉強中】
同点いれられるかの瀬戸際だけど、なんとなくだめそう。二人行って三人目でだめになる、が続いていて。トラー!!! と思いつつ、執筆の方に気を向くようにしてます。澄川市物語(仮)がスタイル決まらなくてこまってるんです。でもトラが吠えるかどうかの瀬戸際。二塁三塁ワンアウト。そこへ糸原選手。打つぞー。これは。フライで滑り込みだけどリクエスト中。この間になぜかエヴァの音楽が流れる。そして同点。継投で崩れないといいけれど。村上選手が吠えた中継は居るんですが、小さいネストハブに飛ばしているのでテレビで見るほど必死にならない。もう岩崎投手だ。同点でどう決着つける? さて、私も次に投稿する恋愛ファンタジー小説をどれにしようかと思ってます。いろいろあるので困ります。途中でで止まってるものほとんどでして。明日も仕事なので遅くまで執筆はできないんですよねー。と。試合終了まぎわ。同点なので延長かいれるか。いれられるか。その前になにか入れたいな。花屋いれとこ。

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