命というもの

ひととき与えられたかりそめの姿に
時というイリュージョンを振りかけて
ただただその過ぎゆく早さにアングリと口を開ける

遠くから誰かが呼ぶような声が聞こえて
そちらに歩いて行くと終わってしまいそうな儚さ
だからと言って我が道を行くというほどの道はない

誰もが同じ空を見ているように
本当はどこにも行き着けずそして離れず
大いなるものに包まれてそして過ぎゆく
忘れ去られることを憂うけれど
それでさえも忘却の彼方に

命があるとかないとか
生きるとか死ぬとか
本当のところはどうだっていいしわからないさ

私は私を生きただろうか
僕はいつから僕なんだろうか
外側から見える私と内側にいる僕が
あまりにもかけ離れすぎて
きっと耐えきれなくなって
外がうちにうちが外にひっくり返る時が来たんだ

うちはー外 外はーうち 
まるで豆まきみたい

意識をすると
急に内臓が悲鳴を上げているような妄想に駆られる
今まで一度たりとも意識なんかしたことないのに

もちろんそれはうちの生き様
なるようになるしその流れに乗るだけ
怖いとか悲しいとか寂しいとかそんなものは
この命のフレーバーとして味わうためにある
ある種のエンターテインメントなんだろう

あーあ、もっとあーすればこーすればなんてことはない
色んなことを思いついてはやらかしてきたし
それなりに味わい深い命やもの

でももうビビるのはやめよう
守るべきものや失うものはきっとどこにもないから
うちはうちというこの命を外にずるっと出してくぜ
ムフフな命をあからさまに真っ赤っかにもれいずる月の影のさやけさ

限りある時間だからこそ、ケツが決まってるからこそ
ドキドキワキワキするんだろうし
そもそも最初から決まってることがいつくるかどうかなんて
考えたところで仕方ないさ

トトロがどんと地面を踏んで
傘に雨がバババババババンと落ちてくるように
ほんの少しだけ時間が歪むのさ
生きるようちは生きるよ死ぬまで生きるよ
当たり前やけど生きながらえるんじゃなく
ちゃんと生きてると思えるように生きるよ

あのモフモフの猫バスがムニュッとあの世行きの
ドアを開けるまで
さぁそろそろいこかと開けるまで
あーあ、龍に会いたい、会えるかな

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