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誰にでもわかりやすく話すって難しい~発達障害の視点から~

「発達障害の人の『自分の意見や思いを話すときの話し方』」について、誰かがXに投稿していました。

ADHD(注意欠如多動性障害)⇒頭の中でぱっと浮かんだ話したいことを話すうちに話題が脱線しまくる

ASD(自閉症スペクトラム障害)⇒自分の興味分野だと相手の反応関係なく1から10まで事細かにしゃべる

ADHD+ASD⇒「話したい!」と強く思うとだいぶん昔の話や一見関係ないことも含め全部伝えようとマシンガントークになる

だから「聞き手からするとわかりづらい」、と。

みんな(主に同じ発達障害の人であろう人達が)、「私あてはまる!」「わかる」とか、
「自覚していてもなぜか直らない」とか
そんな感じのお返事をよせていました。


僕も発達障害(自閉症スペクトラム障害)の一人として、大人の発達障害の自助会・勉強会に参加したり、ジョブコーチを間に入れて働いている人たち同士が集まる会に参加したり、ピアサポーターとして発達障害の方も集まることが多い自助会をやったり‥
いろいろしている中で、発達障害の人たちが発言や会話をしているのを聴いているうちに、「ちょっと何言ってるかわからない」という感じ‥しゃべっていることがわからない・相手に伝わらない理由を分析したことがあります。

僕がよく使う例。
「人に伝えたい物事を、始まりを1、結論を10という数字に喩えてわかりやすく説明しましょう」ってとき‥

1⇒2⇒3⇒4⇒5⇒6⇒7⇒8⇒9⇒10
たいていの人は順番通りこうしていくかな?

10⇒1,2,3,4,5,6,7,8,9
とする人もいます。結論から先に伝えて、あとから補足をしていくというこのやり方だとわかりやすい、スタイリッシュな伝え方、とよくいいますね。

10⇒2,4,6,8
もっとスリムに伝える人はこんな感じ。
奇数分は省いてもだいたいのもんは伝わる、手短に伝えてわかんなかったら聞いて?というやり方ですね。


で、僕が今まで接してきた人の中で「ちょっと何言ってるかわからない」的な感じの話し方だな、というパターンは大きく5種類あります。

【パターン①】
1 3 6 2 8 4 7 5・・・⇒話の内容があっちこっち飛ぶ

(時々1~10以外のものも混ざるときもあり)

【パターン②】
1 1.1 1.2 1.3 1.4・・・⇒なかなか2にいかない。

つまり一つのことについて説明しすぎて話が長い。

【パターン③】
1 2 3 A B C 甲 乙 丙・・・⇒どんどん脱線していく

【パターン④】
123 234 345 456・・⇒同じ話を繰り返しがち

【パターン⑤】
1,2,3,4,5,6,7,8,9,X・・⇒なかなか結論を言わない

話の順番だけでもこれだけあるのに、ましてや話し方や内容の吟味などになると‥いろんな特性がありますね。

たとえば、

○表情や抑揚の変化が乏しい
○あいまいな質問に答えるのが苦手
○相手に合わせた話し方が難しい
○話がまとまらない
○話す内容や話し方が一方的になりやすい
○自分の気持ちや考えを言葉にするのが難しい
○思ったことをそのまま言葉にしやすい
○空気を読んだ発言が難しい
○話すタイミングがわからない
○言葉の通りに受け取りやすい
○視線が合わない
○話し始めるのが遅い

ちなみに僕が最初に気を付けたのは
「難しい言葉を使って話すことをしない」こと。
たとえば‥
⚫︎おもちゃ⇒玩具といった熟語
⚫︎書き言葉で使ったり台詞で使われたりする難しい言葉
を使うことはしない、というのを心がけます。
これをしがちな人は、その状況に合わせた表現を選択して使う対応を取ることが難しかったり、小説やアニメなどから言葉を学習したりしているからだと考えられます。
この特性は、「言葉を知っている」「しっかりしているな」と捉えられることもあれば、「難しくて良く分からない」「距離を感じる」と思われてコミュニケーションの障害につながってしまう可能性も‥。
僕は「小学校高学年の子にもわかりやすい話し方を心がけ、そこからアレンジ」していくことで、うまくいくことが多かったです。


でも、正直モヤっとして気になったのです。
上手に話せないのは、発達障害の人だけのものなのかな?と。

障害名がついていようがついていなかろうが、「うまく話すのが難しい」のは誰でも多かれ少なかれ持っている要素なので、極端に気にすることはないかな、とは思うのです。

芸人さんが出されたお題に対して一発ギャグやボケトークや漫才をしたときに、ウケるのが難しかったり‥はよくあることですし、プロのラジオパーソナリティや司会者でもフリートークはなかなか大変だと聞いたこともあります。会話の話題でも、上手な人や話のプロは瞬く間に10コネタを考え付く、という人もいますし、当たり障りのない「天気」「時事ネタ」「自分の身の回りに起こったこと」とかを用いて上手に話す人はいるけれど、そんな器用な人はなかなかいない!

でも発達障害の人は得てしてそういう傾向が強いのは確かなので‥みんな「特性あるある」になってしまうのかな、と想像しています。


ただ、
「発達障害は確かにそーゆう傾向にある、でもそこからどうしたらいいか、ちゃんと考えようよ」
ということを強く思います。。
「話を人前でした回数がモノを言う」のかな、とは思いますが、
そこで大事なのは、
「ただやりゃいい・場数増やせばいいってもんじゃない」ということ。
「ちゃんとわかろうとするコト」
「常に改善や軌道修正をするコト」

は、心のどこかで意識してやっていたかもしれないです。

僕はありがたいことに、
「(コミュニケーション上では)発達障害に見えない・感じられない」
と言われます。

小学校の時の音読はすらすらできたし、授業中に手を挙げて発言することも苦ではなかったし、高学年時の委員会では放送委員会だったこと、アナウンサーのまねごとをしたりして遊んだりしていたこと‥その他いろんな経験で、人前に出て話すことがそんなに苦手にならなかったし、人と話をする機会に恵まれたおかげで、今までもたくさん喋っているからそのあたりもうまくなっているのはあります。

自分の得意な事・好きなことはどういうことか、ってことを知らないと行動に差は出るし、「何気なくやるのとわかっててやるのとは全然違う」のです。

わかりやすい・相手も自分も心地よい話し方・コミュニケーションを身に着けるのは確かに難しいですが、相手がどう感じたか、理解したかを確認していけば、それなりに会話になるし、その確認作業をすることが、
一つの「愛情」だと思うのです。



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