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喜びも熱量も一緒に分かち合う。“アイデアおばけ”の仕事スタンス

全国各地の経営者・事業主をインタビューし、事業の特徴や起業ストーリー、人柄などをお伝えしていくインタビュー企画。

今回ご登壇いただくのは、プレスリリースを手掛ける【マーケットリンク】の津金英樹さんです。


プレスリリースは”集客”と“ブランディング”の課題を解決できる手段だと考える津金さん。プレスリリースを本業とするまでには、さまざまな出会いがありました。

ご自身のことを“アイデアおばけ”と表現し、仕事のことが心から楽しいと話す津金さんに、これまでのキャリアや事業内容について伺いました。

※プレスリリースとは、新商品の発売や新サービス、新規事業の開始、あるいは経営・人事などの企業情報を、ニュース素材としてメディアの記者が利用しやすいように、文書や資料としてまとめたもの。


プロフィール

マーケットリンク  津金英樹

上場会社のマーケティング・販売促進部責任者として実践レベルの経験を積み、マーケティングノウハウを確立。上場会社退職後、広告費を持たない企業と出会い、自らが商品を手に持って営業活動をするように。商品が全く売れない中、新聞取材をきっかけに広告費0円のプレスリリースを知る。現在はメディア掲載を利用し、埋もれてしまっている商品やサービスの告知を行っている。


甲子園を目指した高校時代

ーー自己紹介をお願いします。

津金英樹と申します。東京出身、1973年5月1日生まれです。幼少期は東京と神奈川で過ごし、甲子園を本気で目指すために神奈川の高校に進学しました。野球は9人でするスポーツなのに、新入生が100人近く入部したり、後にプロ入りする選手がいたりするような高校です。

周りの選手には体格だけでも全く適わない状況でした。また、同じポジションの仲間には、数年後に近鉄バファローズ・ヤクルトスワローズで活躍する選手がいる環境。私は当然補欠でした。

同学年に100人近くもいると、レギュラーになるのを諦めて途中でやめる選手が出てくるんですよね。そんな中でも、甲子園に出ることを目標にしていた私は最後まで野球を続けました。結果的に、春の大会は優勝したんですが、甲子園に繋がる秋と夏は勝てず、甲子園には行けませんでした。

ーーずっと野球に取り組まれていたんですね。高校卒業後の進路について教えてください。

進路を考える際、今までの野球生活を振り返ってみたんです。なんで自分は小さい頃から甲子園を目指して頑張ってこれたんだろうと。すると、テレビを通じてプロ野球選手が夢を与えてくれていたことに気付いたんです。

プロ野球選手になれない以上、私は野球で夢を与えることはできない。じゃあ、どんな手段があるのか。当時、TVのCMを見て「この仕事は素敵だな」と思っていたこともあり、私が誰かに夢を与えられる手段は“広告”だと思ったんです。そこで、高校卒業後は広告を学べる専門学校に進学しました。


現場を経験し、広告の道へ

ーー専門学校卒業後の就職先について教えてください。

トヨタや日産など、特定の車種を扱う会社ではなく、全車種を扱う会社に就職しました。実は、19歳の時に高校時代の野球部の仲間2人を同時に交通事故で亡くしているんです。その影響で、車が嫌いになっていたんですよね。けれども、「このまま車を嫌い続けたくない」という思いが出てきて。そこで、全車種に触れることができる(株)オートバックスセブンに「クルマは好きだ」と嘘をついて入社しました。

広告やCMをやりたいと思って入社しましたが、いきなり新入社員にやらせてくれるはずもありません。最初は店舗で接客を行い、接客方法や商品について学びました。仕事をしていくうちにだんだんと車のことが好きになっていきましたね。

その反動は恐ろしく、入社してから車検を1度も受けず新車に乗り続けたり、車体価格と同額のカスタマイズを行ったりと車にかける費用は異常でした。その額は中古のマンションを楽に購入できたでしょう

26歳の時に、香川県に転勤することに。そこでは、FC法人さまのスーパーバイザーとして経営やマネジメントなどを学ばせていただき、本当に良い経験になりました。

30歳になった時、会社から「福岡に来たら広告をやらせてあげるぞ」と言われたんです。ずっとやりたかった広告の仕事ができるチャンス。何の躊躇もなく、福岡に行くことを決めました。

福岡に行ってからの8年間では、約100店舗の年間販促計画やテレビCM企画、各種キャンペーンなどを企画していました。今では考えられないぐらい長時間働いていましたが、仕事がめちゃくちゃ楽しくて。私の場合、お金とか時間ではないんですよね。ようやく取り組めた広告の仕事が本当に楽しかったです。


プレスリリースとの出会い

ーー新卒で入社された会社でずっと働かれていたんですか?

会社からは東京に戻ってこいと言われていたんですが、福岡や地方の暮らしが手放せなくなってしまって。福岡での生活を続けるために、転職を決意しました。まだ広告の仕事を続けたかったので、JR九州の子会社である広告代理店に転職することに。転職先でも広告や販促、キャンペーンなどの業務に携わっていました。

転職後しばらくしてから、『事故なき社会株式会社』というベンチャー企業を紹介されたんです。社名からして面白いじゃないですか。この会社は九州大学と共同で開発した、交通事故をしない運転方法を教えていたんです。私は会社に興味を持ち、『事故なき社会株式会社』に転職することにしました。

ーー前職と転職先で違ったことなどはありましたか?

入社当時の私は世間知らずで。前職の2社は会社規模が大きい分、広告予算が何十億とあったんですよね。一方、ベンチャー企業は広告予算が全然ありません。自分の足で稼いで営業しなくちゃいけない。どうしたらいいんだろう、と悩みました。そこで出会ったのがプレスリリースです。

広告費がなくても販促できることが衝撃的で。無料で掲載できるプレスリリースは、私にとって夢のようでした。

プレスリリースに出会って以来、副業として他社のプレスリリースを出す仕事を開始。色々な業種のサポートをしてきました。


共感・共鳴をしてもらいたい

ーープレスリリースを出すまでの流れを教えてください。

クライアントさんとお話をして、私が原稿を作成します。そして、原稿に合うメディアをリストアップしてリリースするのが一般的な流れです。

元々はメールやファックスをやっていたんですが、最も採択率が高かったのがDM(ダイレクトメール)だったんです。要は手紙ですよね。

テレビや雑誌、新聞社にしても、結局はみんな人間。人に届けることが重要になります。そのため、“共感・共鳴”をしてもらいたいな、という想いでプレスリリースを届けています。そして、それを見た担当者もファンになってもらいたいんですよね。

ーー“共感・共鳴”をしてもらうために意識していることはありますか?

どんな人が受け取るのかを考えるようにしています。また、メディアの方々が知らない情報として、社会で起きていることや活躍している人の活動を報告するようなイメージを持って取り組んでいます。


転機となった記者さんとの出会い

ーー転機となるような出来事がありましたら、教えてください。

新聞記者さんが、プレスリリースを受け取ってくれなかったことがあったんです。昔は記者さんに直接持って行けたので、20部ほど直接持って行ったんですよね。プレスリリースを渡すと、「これは営業文なので受け取れません」と言われました。

普通はショックを受けて終わりだと思うんですが、私は諦めませんでした。「じゃあ、どうやったら受け取ってくれるんですか?」と聞いたんです。すると、特別に書き方を教えてくれて。そこから書き方や見せ方、考え方が変わり、今のプレスリリースの基礎ができました。

長年広告業界でやってきたプライドもあるのに、一人の新聞記者さんにすら通用しない。私のやり方を変えるしかありませんでした。この出会いが転機になりましたね。


スポットライトを当てるための手段

ーープレスリリースにかける想いを教えてください。

プレスリリースの代行をする中で、「パパママショップを応援したい」という想いが出てきました。お父さんとお母さんがやっている、ほこりが被ったお店ってあるじゃないですか。あのようなお店を助けたいと思ったんです。

商売を始めた時って、みなさん熱い想いを持っているんですよね。それなのに、表現方法が苦手なせいで、うまく世の中に浸透しない。それが、すごくもどかしくて。まだうまく表現できていない商品やサービスに対して、スポットライトを当てたい。私の場合、スポットライトをあてるための手段がプレスリリースなんです。

ーー思い出に残っているクライアントさんや出来事はありますか?

思い出に残っているのは、『傘のしずくとり』についてのプレスリリースです。出した当初はあまり反応がなかったんですが、環境新聞に掲載されることに。そこから、業界の方々に目をつけていただいて。結果的に、日本一のホテルチェーンからお声がかかりました。

また、大豆100%の麺について扱ったのも思い出に残っています。当初、メーカーさんはボディメイクをしている女性向けにプロモーションをかけていました。しかし、試食会をしてみると、ターゲットは全く違うことが判明したんです。

小麦アレルギーや蕎麦アレルギーで困っている子どもを持つお母さん、血糖値が高い人や糖尿病の人。当初想定していたお客様ではない層が、大豆100%の麺を食べてとても喜んでくれたんです。「普段食べられない麺が食べられる」と。

この出来事を踏まえてプレスリリースを出したところ、読売新聞の記者さんに取材していただきました。すると、新聞を見た高齢者からの問い合わせが急増。クライアントもエンドユーザーも喜ぶ、幸せの連鎖が起こりました。

さらに印象的だったのが、去年(2021年)の11月にプレスリリースを出した熊本の和菓子屋さんです。12月にはテレビの大きな番組に取り上げられ話題に。結果的に売上が3倍になったそうです。短期間で売上が倍増するくらい、プレスリリースの集客効果は高いんですよね。

プレスリリースは1回だけ出して終わりではありません。半年や1年かけて継続的に出すことで、効果が見込めるようになります。ですが、熊本の和菓子屋さんからは「社員が疲弊しているから、プレスリリースを出すのを一度やめたい。毎日正月のような忙しさです」と言われました。従業員様が疲弊するほど売上が上がっているというのは、嬉しい悲鳴で複雑な気持ちになりました。

ーーどのお話も反響がすごいですね。クライアントさんとお話をする際に、意識しているポイントはありますか?

クライアントさんには必ず「なぜ?」と質問するようにしています。なぜ商品を売っているのか、なぜサービスや事業を開始したのか。「なぜ?」を使って質問していくことで、強みや特徴が見えてくるんです。私がたくさん深掘りするので、「創業当時の気持ちを思い出しました」とよく言われますね。


一緒に喜べる事業を本業に

ーープレスリリースを手掛ける事業を本業にしようと思った背景を教えてください。

クライアントさんの会社ステージが上がるのを見てきましたし、関わる人みんなが喜ぶのを見てきました。私自身も本当に嬉しくて。そこで、「プレスリリースを本業にしよう」と決意し、2020年の1月に独立。屋号は“市場と繋げる”という想いから、『マーケットリンク』にしました。

お金をかける広告では得られない、価値やブランドを感じられる。プレスリリースは”集客”と“ブランディング”の課題を解決できる手段だと思っています。

ブランディングの面で言うと、お客様がファンになり、更にプレスリリースを出した企業の従業員様一人ひとりが自分の勤める会社のことを自慢できるようになり、離職率の低下に繋がることがあります。

社内でもニュースリリースを出してください、とクライアントさんには伝えています。経営者がいろんな想いを持ってやっていても、従業員様には伝わっていないこともあるじゃないですか。従業員様のロイヤリティを高めるためにも、プレスリリースは価値があると考えています。

ーー人の強みや特徴を見出せる理由はどんなところにあるんでしょうか?

強みや特徴を発見できるのは、単純で感度が高いからだと思います。外的な要因を気にすることなく、目の前の話を楽しめる。時には、話している本人以上に熱くなることもあります(笑)。

経営者と直接仕事をすることで、熱量や喜びを感じられ、感謝もされるので、本当にこの仕事が楽しいです。クライアントさんと一緒に喜ぶことが私の仕事スタンスです。


今後の事業展開について

ーー今後注力していきたいことについて教えてください。

今後は、広告だけでなく埋もれてしまっている「イイもの」を世に出す仕組みを作ったり、日本市場で商品、サービスを売って行きたいと考えている外国企業のお手伝いをしたりしていきたいです。また、日本のアナログの広告技術が世界に通用するのか試してみたいですね。

ーー津金さんのクライアントになり得る企業の特徴を教えてください。

零細企業や中小企業、起業まもない方などのお力になれます。商品ができあがるまでの助走期間もお手伝いできるので、商品、サービスの構想段階の方でも大丈夫です。

ーー協業できる業種の特徴についても教えてください。

保険代理店の方や士業の方で、その方のお客様で集客に困っている方は、お客様の悩み解決のお手伝いが可能です。また、広告代理店、印刷会社さんには新しい集客のコンテンツとして、私を使っていただくのも面白いなと思っております。

ーー最後にメッセージをお願いします。

“広告は消耗品ではなく、売上を上げるための有効な手段であること”を伝えたいです。経費と捉えると、いかに抑えるかに視点がいってしまいます。でも、そうじゃない。未来を見て、売上を上げるための投資として考えてほしい。写真1枚、文章1つでお客様の反応が変わります。商品やサービスを知ってもらうために何をするのか。ここを考えるようにしてもらいたいです。


編集後記

津金さんが人の強みや特徴を見つけられるのは、聞く姿勢が素敵だから。ニコニコしてお話を聞いてくださり、とても話しやすかったです。インタビュー前後の短い時間の中でも、私の話を聞いて強みを見つけてくださいました。

プレスリリースはA4の用紙1枚で魅力を伝え切る必要があります。短い文章の中で必要な要素を凝縮するのは、本当に大変。津金さんのお話を聞いたことで、より一層凄みを実感しました。

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