子供をクライミング選手にする・4

コロナウィルス(COVID-19)の影響もあって、随分と間が空いてしまいました。

道具選びが終わる頃には、クライミングジムにも通い出していると思います。

すでに「常連客」のひとりになっているかもしれませんね。
当たり前ですが、父兄の方々が連れていきやすいとか、雰囲気が良かったりとか、そんな感じで選んだのではないかと思います。
それでいいんです。
 
GoogleマップのレビューやSNSでクライミングジムの評価も分かれるところですが、どんなに星がたくさんついていても、家から何時間もかかる遠いところには通えません。
個人的な価値観ですが「時間は金」と思っています。
よほどジムのスタッフが失礼な応対をするとか、ガラの悪い常連客が我が物顔で登っているとか、そんなことがなければ、自宅や学校から近いところに通ってもらえばいいでしょう。


保護者の方々から「ジムでは、どんな練習をすればいいのか」と相談されます。
年齢や技術によっても違うので、一概に言えませんが、ひとつだけ共通していることがあります。
「楽しく練習すること」です。
 
楽しいことなら、子供たちも夢中になりますよね。
勉強なら30分と続かなくても、好きな事なら何時間でも没頭できる。
誰かに「やらされている」のではなく「自分でやる」。
ここは、外さない方が良いと思います。

また、ジムによっては「スクール」を開催しているところもあります。
みんなと一緒に登ることが「楽しい」と思うなら、参加するのも良いと思います。
インストラクターたちは、厳しいことも言いますが、たいてい「出来た時の喜び」を上手に提供してくれます。
親が言うと恥ずかしかったり、ためらわれるようなことも、インストラクターたちが言ってくれるので安心です。


ジムのスクールでちょっと注意してほしいところがあります。
参加するお子さんが、まだ小さくて「習い事」の一環で取り組むのではなく、選手として活躍することを前提に参加される場合は、そのスクールが競技生活のロードマップを持っているかどうか、競技にフォーカスしたレッスンやトレーニングを考えてくれるか確認してください。
たとえば、リードの試合出場を目標としているのに、ボルダリングばかりだと困ります(逆もまた然り)。
クライミング・ジムのオーナーやインストラクターたちから、年間のスケジュールやら出場条件を細かく質問されたことがありますが、そういうところは、ある意味安心です。

 
もし、保護者と子供たちだけで練習するようなら、できるだけ、まんべんなく登るようにして下さい。
そんなの当たり前のようですが、少し経つと
「自分が好きな課題」
から始まり
「自分が楽しく登れる課題」
に没頭
「自分が得意な課題」
にしか目を向けなくなります。

趣味、レジャー、エクササイズであれば、それでも構いません。
ただ「選手」として本気でやるためには、不得意な課題も取り組まなければなりません。
世界で戦う、日本代表選手たちでも、得意・不得意があります。
パワフルな課題なら一発で決める選手、バランス感覚が試される課題を難なく完登する選手…
 
彼らの姿を見ていると「得意なものを伸ばせば大丈夫」と思うかもしれません。
が、彼らの場合試合で「苦手」な課題が出ても、どうにか「ねじ伏せる」だけの力量があります。
おそらくクライミングジムの営業用課題は、どの種類でも全部完登するでしょう。
得意・不得意のレベルが違うのです。

ここに偏りがあると、中高生(ちょうど国体で都道府県代表になる年齢)になっても、「これは得意」「これは苦手」という課題が出てきます。
ボルダリングであれば、最悪「この課題は捨てる」という判断もあるのですが、こういうこともあり得ます。

ところが、リードだとそうはいきません。 
普段、上半身に頼って登っていて、足使いが得意じゃない選手がいるとします。
途中までは、腕の力で登るのですが、足で負荷を殺したり、身体を支えられず、疲労のピークが早くやってきます。
ルートセッターもその辺りは巧く課題を作っていますから、惜しいところまでは行けるのですが、ゴール前で力尽きてしまいます。

リードの課題は、壁の形状にもよりますが、たくさんの要素が詰まっています。
時にはボリューム、時には小さなホールド、時にはランジさせることもあります。
ですので、出来るだけ、たくさんの課題をまんべんなく登れるようになった方が、上達も早いと思います。


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