見出し画像

価値観の変化にともない、60年以上歴史がある社内報に手を入れました。

アルプスアルパインのグループ報「Alpinist」。

なんと、1960年から60年以上続いてきた冊子です。
(1960年といえばカラーテレビの本放送が始まった年、というとそのすごさが伝わるかもしれません!)

▲1960年発行されたグループ報創刊号。
創刊当時の名前は「アルプス」誌でした。


この「Alpinist」、その歴史の長さもさることながら、もう一つすごいことがっ(手前味噌)

それは

編集部員」と呼ばれる国内各拠点の若手が心となって組織しているグループ報制作部隊が自分たちの業務とは別に制作していることです。(私たちPR課はそのサポート役です)

普段は設計や製造などの仕事をしているメンバーが定時後には「編集部員」に華麗に変身!

グループ報の企画・取材・記事執筆・校正といった雑誌編集者のような仕事をこなします。デザインなどはプロが入ることもありますが、ほとんどが編集部員の手による作品です。

▲コロナ前までは1泊2日の勉強合宿も毎年やってました


過去からずっと、60年間ずっと、

若手社員が本業の傍らボランティアで編集作業を行ってきてくれました。

歴代編集部員の若いアイデアと高いモチベーションがあったからこそ!
今、ここに、Alpinistは存在していると言っても過言ではありません!(ドヤッ


時代の変化。価値観の変化。

しかし時代は変わるもの。

「多様性」という言葉の広がりとともにそれぞれの価値観の違いがハッキリしてきました。

編集部員の活動のベースとなっていた「業務時間外にグループ報を制作する」ことへの考え方も多様になりました。

では試しに編集部員活動をやってみたいか社員の意見を聞いてみましょう。

Aさん
若い仲間と集まって、伝統あるグループ報を盛り上げていくのは面白そうですね!

Bさん
普段の業務とは異なる内容を、普段関わらない人と一緒に行うことは自分の学びにつながると思うので、ぜひやりたいです

Cさん
定時後は趣味に時間を使いたくて。残念だけど定時後に活動は無理かな。ごめんね。

Dさん
本当は仕事が終わったら家でゆっくりしたいけど…
でも…ま、他にやる人がいないならやりますよ…

さ、あなたはどのタイプですか?

昨今は実際に活動している編集部員の中にもAさんBさんみたく活動を楽しんだり、学びの場として活用する人もたくさんいる一方、
拠点によってはDさんみたいな人も少なからずいる状態でした。

(楽しんで活動している様子はこちらで紹介しています↓↓)

何を隠そう、実は私…入社当初、編集部のお誘いを受けて悩んだ挙句お断りしたタイプです。


今まで隠しててごめんなさい…

そんなマインドの持ち主なのでCさんDさんの気持ちが痛いほどわかるんです。

だからこそ。
楽しみながら編集部活動をしてくれる人の気持ちも、積極的ではない人の気持ちも大切にしたい。
 
でもどうしたらよいのか…とモヤモヤしているうちにあっという間に月日は流れていきました。


いざ、その時

転機は突然やってきました。
いつが転機だったのかもよく覚えていないくらい。

確か上長にAlpinistのちょっとした相談をしに行って…
根本的な課題は何かと聞かれて編集部のモチベーションのことを話して…
じゃそこを変えなければいけないと言われて…

……編集部員制度の変更を検討することになりました

ちょっとした相談のつもりだったのに、席に戻ったときには重い課題を抱えて戻ってくることに。

こういうこと、よくありますよね(上司への不満ではありません)

いや、でも。
でも!

60年の歴史を変えるのは怖すぎる!!

もし変えちゃったら、今までのAlpinistと編集部体制を愛している人たちがきっと残念がるだろうな。

将来Alpinistの歴史をさかのぼる人がいた時に
「あ、この人たちが体制変えちゃったんだ…」
って悪口言われるかもな。

今この時代に、有志の編集部体制で制作できていることが奇跡だと分かってるし。

社外の人からも、こんな体制を維持できていることは素晴らしいからぜひ続けるべきだ。とも言われたし。

怖すぎて「別に私たちがやらなくても次の世代が変えてくれるのでは!?」
「見て見ぬふり作戦もありだったのでは?」と思ったこともあります…。

背中を押してくれたのは?

怖くても体制を変えるということに舵を切れたのは、上長や先輩方の声のおかげでした。

一般的に、あくまで一般的に、ですが

「古い世代は若い世代の価値観が分かっていない」
「おじさんは、昔はよかったなと言って過去のやり方を踏襲したがる」

と言われることが多いと思います。

でも、今回この体制変更の話を関連部署の上の役職の方々に話したとき
もちろん寂しいという声はありましたが
「確かに今の価値観には合わないよね」
と、納得してくれる声が多かったことに驚きました。

伝統は守るべきだ!と言われると思って、気持ちだけは戦う準備をしていたので(理論武装はまだだったから危なかった)、正直拍子抜けでした。

世間で揶揄されるほど昔にしがみついている人は多くないみたいです。


そしてこれから…

編集部体制は、
各拠点に必ず1人以上の編集部員をおく、基本的に若手が定時外に編集部活動を行う、ことを前提とした体制から

所属拠点や年齢は問わず自主的に協力してくれる人が定時内の都合がつくときだけ協力してくれる

というやりかたに変更することになりました。

とはいえ、自ら手を挙げてくれる人なんていいないんじゃないか。

体制変更 大失敗

そんな文字が頭に浮かんで眠れない夜もありました。

仕事のことで眠れないほど繊細な自分がいたことが嬉しくなっちゃう朝もありました。

いざ募集をかけてみると…

ちゃんといました!一緒にAlpinistを作りたいと積極的に手を挙げてくれる人が、何人も!国内だけではなく海外にも!!

あ~本当によかった。これでよく眠れる。

体制変更後の新Alpinistは5月にデビュー予定です。

伝統に手をいれたのだからそれなりのものを作らなくてはいけないというプレッシャーは正直とても大きいです。

体制を変えることを大人の対応で了承したけど、心の中では残念に思っている人もいるということは分かっているつもりです。

でも、新体制に期待しているという声を貰うこともありました。

新しい編集部に協力してくれる人たちからは「いいものを一緒に作りたい」という頼もしい言葉が聞かれています。

だからきっと大丈夫!
ね、大丈夫!
(誰か大丈夫と言って…)

モンモンとするよりも

編集部体制は変えないとダメなんじゃないか…と悩んだ数年間。
そして実際動き出してからの半年。
この間に学ぶことは多くありました。

・伝統を変えるプレッシャーはものすごい。重い。怖い。
 最適な形容詞が見つからないほど大きい(ただ語彙力不足かもしれない)

・でも何かを変えることで喜んでくれる人もいる。
 協力してくれる人もちゃんといる。
 
・上の人たちはちゃんと見てくれている。わかってくれている。
 

あれ?うちの会社いい人たちが多いのでは!?(←ココ大事)

もし今後、何かを変えたいけどその勇気が出ないときは見て見ぬふりをするのではなく、ちょっと動いてみよう。ちゃんと周りや上の人たちに相談してみよう。

今さらそんな当たり前のこと…と思う人もいるかもしれませんが、
やっぱり自分で体験して得たことなので書いちゃいました。

社員のみなさま、新社内報への(あたたかい)感想、(優しい)アドバイス、お待ちしております。

(過去の編集長たちの熱い想いはこちら↓↓ )