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「昭和の名曲あじわおか」

昭和の名曲というと演歌か歌謡曲なんですよ、本来は。

しかしここは80年代に颯爽と現れた一人の天才的詩人を紹介しようと思います。

そのお方は、、、

佐野元春さんですっ!

いやぁ~中学から高校は特に聴き倒しました。

VISITORSのツアー、城ホール行きましたよ~。それが人生初コンサートでした。

元春レイディオショウも聴いてました。その中で「クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル」を教えてもらったしね。

そんな思い出話はキリがないのでおいといて、今回味わおうと思うのは

そう、バラードの名曲

HEART BEAT(小さなカサノバと街のナイチンゲールのバラッド)」です。


この曲は、佐野元春さんが1981年に発表した2枚目のアルバム「HEART BEAT」に収録されている曲です。

佐野元春さんのシンガーソングライター、ボーカリストとしての魅力が

とめどなくあふれ出てしまってる1曲と言えるんじゃないでしょうか。

いくら聴いても飽きることはありません。何なら連続で何十回も聴きたりしますよ。

異常?わたしが?いやいや違います。

「HEART BEAT」が異常なほど美しいんです。


アルバムではこの「HEART BEAT」の前に「INTERLUDE」という短い曲がありますが、

これが「HEART BEAT」につながっているので、「INTERLUDE」から聴いていただくとより味わい深いです。

それにしてもデビュー2枚目でこのクオリティ…驚愕です。ぜひアルバムごと聴いていただきたいです。


この「HEART BEAT」という曲の何がよくてどう味わおうというのか。

最初に佐野元春さんを紹介するときに天才的詩人と言いましたが、この歌詞(物語)が大好きなんです。

元春ワールドとでも言いましょうか、もう全開なんです。

では見ていきましょか。




どこか懐かしいメロディの静かなイントロ。

そして大好きな最初のワンコーラス。


「ひとりぼっちのテラスで月の光吸い込みながら

あの素敵な「スターダスト」のメロディ 唄う街のナイチンゲール

雨上がりの世界をそっと抱きしめたまま

どこか遠くからの街のざわめきに 心惹かれはじめている」


少し乾いた声で語りかけるように歌う佐野さん。

めちゃくちゃかっこいいです。

パァ…っとそのシーンが頭の中に映し出されて私の妄想が始まります…。


…パーティも終わりに近づき、

これからの時間を過ごすパートナー探しでざわつく部屋を背にし、

一人テラスで月の光を全身に浴びている。

sometimes I wonder I spend the lonely night

フッと口ずさんだのは、

雨上がりのしっとりとした空気が、少し火照った体に心地よかったから。

濡れたアスファルト、いくつもの水たまりの中で

小さくざわめく街のあかりたち。

いつだって羽ばたく準備はできている。

いつだってそこへ行けるんだ。

そこには何があるんだい?

きっと何かが私を待っているんだね…


そして少し飛びますが、物語が動きます。

ここでも佐野さんは語りかけてきます。


「夢から覚めた天使みたいに テラスを飛び越える君

すると「こっちこっち」と 車の中の小さなカサノバ

昼間の光からようやく逃げ出してきたのに

今夜は心なしか 少しだけシリアス

歯車みたいな世界にサヨナラすれば

ヒップな稲妻に 心打ち震わせて

何かもインチキに見えちゃさみしいぜBABY

せめてこの二人の恋心 リアルに揺れていたい」


ここからの映像(妄想)は…


…街のざわめきに誘われるように

思わずテラスから外へ飛び出してしまった街のナイチンゲール。

ざわめくほうへ歩いていると「こっちこっち」と呼ぶ声がする。

ふり返ると、端正な顔立ちの男が車から無邪気に手招きしている。

やっと煌びやかで退屈な世界から逃れてきたというのに

この屈託のない笑顔、この振る舞い。向こう側の人間に違いない。

いつもなら適当に付き合って楽しんであげるけど、

なぜだろう。

今夜はそんな気になれない。

でもなぜかこの男は気になる。身を任せてみるのもいいかもしれない。


世の中を動かす巨大で退屈な仕掛けから離れてみると、

リスクと思われていたことを娯楽とし、

思うがままに生きる人たちがいて、

身体を撃ち抜かれるような衝撃を受けた。

私が求めていたのはこういう生き方なのかも。


でもさ…だからと言って今、目の前にある日常がすべてインチキなの?

この気持ちは確かに私の中にも、あなたの中にも存在している。

二人の間で揺れるこの感情も私たちのリアル…


そこそこ成功して何不自由なく暮らしているがどこか満たされない街のナイチンゲール。

いつも望む女性を傍らに伴っているが愛について真剣に知りたいと望む小さなカサノバ。

どこか満たされない二人が出会い、これまでとは違う生き方を模索していく・・・という物語…知らんけど。


81年ごろってサラリーマンは「企業戦士」などと呼ばれてたんじゃないでしょうか。

そういう人たちが負った傷(ストレスとか)を癒し、また戦場(職場)へ送り出す。

それが「街のナイチンゲール」のお仕事。夜のお仕事ですね。


「小さなカサノバ」はジャコモ・カサノバという実在した人物がモチーフではないのかな。

ざくぅっと説明すると、18世紀のイタリアで両親が俳優という環境に育ち、

長身で容姿は端麗。学生としても優秀で16歳で博士号を与えられるほど秀でていた。

一方で、性への興味も旺盛で、女性経験は生涯で1000人と語っている(コ、コノヤロウ…)。

「小さな」とつくのは、少し幼稚な、あるいは無邪気なとか、そういう意味なのかなと。

「こっちこっち」っていう誘い方がちょっと子供っぽいよね。

無邪気なプレイボーイ。それが「小さなカサノバ」。


私の設定はこうなっていますが、これは聴く人が好きなように設定すればいいことなので。

私はこうして「HEART BEAT」妄想を味わうのです。


でも、こんな妄想をしだしたのはずいぶん聴きこんでからで。

まずは、この素晴らしい曲をただシンプルに、感じるまま聴き入る。

そうしたら、気がついたら、あなたもこの曲の世界の中にいるでしょう。知らんけど。


私の妄想はここまで。

あとは皆さんが自由に「HEART BEAT」を味わってください。

これを書くのにさらに聴き込んだけど、ホントいい曲だわ。

ではでは~

シャラララララ…

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