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オードリー若林さんに続くか?3色のトークスキルを持つ注目の若手芸人とは?

トーク番組界隈に新風が吹いている。フレッシュさには欠けるものの、安定感があり暫くは吹き続けそうな、そんな予感のする、どこか懐かしいニオイのする風だ。

先週の『あちこちオードリー』、ゲストは伊集院光さんと見取り図の2人。

昨年のM-1最終決戦進出から東京のテレビでの露出が増えている見取り図だが、盛山さんの確かなフリートークの力で各番組で存在感を放っており、若林さん相手にどういうムーブを見せるか楽しみにしていた。

結果、十分な手数安定感で存在感を発揮し、今回も業界内での信頼を積み増した形となっただろう。

盛山さんのフリートークに感じる存在感の源は何なのか。その疑問を紐解くために、もう一度、盛山さんのムーブに着目して『あちこちオードリー』を観てみた。

そこで浮かび上がってきたのは、フリートークで求められる3つのスキルをハイレベルに使いこなす盛山さんの姿であった。

今回は『あちこちオードリー』を通じて、今後トーク番組でポジションを築いていくであろう見取り図の盛山さんのフリートークスキルを紐解いていきたい。

1.見取り図とは?

● メンバー: 盛山晋太郎、リリー
● 結成: 2007年5月(15年目)
● 事務所: 吉本興業(NSC大阪29期)
● 同期: ジャンポケ、渡辺直美、さらば青春の光、村上(マヂカルラブリー)
● コンテスト
2018年 オールザッツ漫才 ネタバトル 優勝
2019年 第4回 上方漫才協会大賞 大賞
● M-1グランプリ
2006年~2008年 1回戦敗退
2009年 準決勝進出
2010年 3回戦進出
2015年~2016年 準々決勝進出
2017年 準決勝進出(予選18位、敗者復活戦14位)
2018年 決勝進出(9位)
2019年 決勝進出(5位)
2020年 決勝進出(3位)

● ネタは2人で話し合いながら作り、台本には残さないため二度とできないネタも多い。
● YouTubeチャネル: 見取り図ディスカバリーチャンネル(登録者数25.2万人)
● レギュラー番組
関西6本
東京1本: ラヴィット!(TBSテレビ、2021年3月31日~、水曜レギュラー)

(1)盛山 晋太郎(もりやま しんたろう)
● 1986年1月9日生まれ(35歳)
● ツッコミ
● 大阪府堺市出身、大阪法律専門学校卒業
● 身長180cm、体重95kg
● 左利き、一人っ子、喫煙者
● 石井輝明さん(現・コマンダンテ)とコンビ『ギター』として活動していた。
● YouTubeチャンネル: 見取り図盛山プライムビデオ(登録者数2.57万人)
● 親から公務員になれと言われ、警察官や消防士を目指すために法律専門学校へ2年間通っていた。
● ラップが趣味。2018年に「ショーバン」という楽曲を配信リリース。NSCではラップの講師を務めている。
● 幻冬舎の「小説幻冬」にて、エッセイ「しばけるもんならしばきたい」を連載中。

(2)リリー:清水 将企(しみず まさき)
● 1984年6月2日生まれ(36歳)
● ボケ
● 岡山県和気郡和気町出身、大分県立芸術文化短期大学卒業
● 身長177cm、体重64kg
● 兄と妹がいる。
● 風貌がリリー・フランキーに似ていたことからNSC同期からリリーと呼ばれ始め、芸名に。
● 高校時代はサッカー部(主将)
● 絵が上手く、即興似顔絵が得意。高校はデザイン科のある学校に通っていた。美術の教員免許を所持。

※主にWikiPediaから。

2.盛山さんが『あちこちオードリー』で見せたムーブとポテンシャル

『あちこちオードリー』で確認できたのは、盛山さんが見せた3つのフリートークスキルだ。

 フジモンさんの「ストロングガヤ
 ブラマヨ小杉さんの「外界からのツッコミ
 さらば森田さんの「捻じ込み型ショートエピソードトーク

1つ目のスキルは、番組を盛り上げる「ガヤ」だ。

ガヤといえば、トーク番組における外野からの盛り上げであるが、盛り上げつつも邪魔にならないタイミングワードセンスが求められる。

変なタイミングや違和感のあるワードでガヤを放ち、MCにそこを拾われてしまうと、メインでトークしていた人からトークを奪ってしまうことになりかねず、また軽いものをいくら放っても存在感は出せない。ガヤ1つとて簡単ではない

『あちこちオードリー』で盛山さんは、伊集院さんのトークターンで「考えすぎです!」「ヤバいって!」「日本一のメンヘラに見えてきた!」「めっちゃ千鳥さんじゃないですか!」といったガヤを15回以上放っていた。かなりの手数だ。

盛山さんの大きく甲高い声は抜け感がよく、ガヤが邪魔になりづらいという身体的優位性を有している。

また、ガヤのタイミング・内容もほとんど違和感がなく、まだ出始めにも関わらず、他の番組でもうるさめのストロングガヤを許されるポジションを得ている印象だ。

2つ目は、高い技術が必要とされる「外界からのツッコミ」だ。

外界からのツッコミとは、他の人のトークターンにおいて、笑いを取りにいくツッコミであり、かなり高い技術が求められる

トーク番組では通常、MCがツッコミ役であり、MCがボケた時はトークターンのゲストが突っ込むのが流れだ(#ゲストが芸人でない場合は話は異なりますね)。

ガヤはあくまでバックサウンドであるが、外界からのツッコミは、しっかりと注目を得て笑いを取るところまで目指すわけで、踏み込み方が違う

ブラマヨ小杉さんフット後藤さんなどの実力派のツッコミ芸人が駆使する技術であり、番組内で1発でもハマってテロップ化されれば、かなりの存在感を出せる。

『あちこちオードリー』で盛山さんは、伊集院さんのターンで、3, 4回、効果的な外界からのツッコミを放っており、ツッコミ芸人としての力も披露していた。

3つ目は、すべらない「ショートエピソードトーク」だ。

自分のトークターンになり、MCから話を振られた際、流れに乗った話をしつつも、話題からずれない範囲で、自分の持つショートエピソードを捻じ込む

この点、『あちこちオードリー』でも、盛山さんは非常に巧みだと感じた。若林さんから振られる話題に対して、エピソードトークに入る為のワードを見つけ、そこから、邪魔にならない長さのエピソードトークを挟み、巧みに話題を膨らませていた。

東京進出の話の流れから、ウンコネタで東京の番組で引かれた話や、トランクルームに住んでいた話、特技を求められた際には身長縮小芸を展開したり、ネタの南大阪のカップルのくだりでも複数の話を展開していた。

時間が限られ、大きなオチがある話は持ってこれない中、振られれば必ずすべらないショートエピソードを差し込み、盛り上げ、話に拡がりをもたらしていた。その数、10回ほど。手数としては十分すぎる数だ。

こういった捻じ込み型のショートエピソードトークは、トークに覚えのある芸人は必ず持ち合わせているスキルだ。

若手だと、さらば青春の光の森田さんあたりが上手い印象である。


トーク番組でバリューを出す為の3つのスキルを、盛山さんはハイレベルで実装していることから、存在感を発揮できるというわけだ。

番組制作側からしても、番組に勢いを作ってくれる重宝される存在であり、昨年のM-1組の中でも2周目以降も残っていくのではないかと思わせてくれる。

さて、ゲスト・雛壇側として求められる3つのスキルに関して、若林さんはどうか

ガヤ芸人ではなかったが、外界からのツッコミと捻じ込み型ショートエピソードトークで抜群にバリューを出してきた。

エピソードトークスキルの源泉は勿論オールナイトであり、オールナイトで磨かれたスキルをテレビで発揮し、またそれを糧にオールナイトでスキルを積み上げていった

今ではあまり観られる機会がないが、ゲストでがっつりトークする若林さんを久しぶりに観たい。裏回しをするでもなく、エピソードトークを披露する位置づけの若林さんをだ。

盛山さんは、既にゲスト・雛壇としてのスキルは有している。その上で、更にMCに上がっていくには、また違う軸のスキルと別次元のステージでの戦いが待っている。今はまだその話をする段階ではないだろうが、その可能性を感じさせてくれる存在であり、今後も注目していきたい。

3.若林さんは何と言うか?

「盛山くんは、ほんと達者ですよね~。雛壇から盛り上げられるし、自分のターンでもしっかり結果だせるし、スキルが幅広くて羨ましいですよ」

「俺はまだまだやと思うけどな~。ええか?あれ。関西臭強すぎやし、もうあの手のキャラはいらんとちゃうんかな。来すぎやで大阪から、次から次へとさ~」

「確かにちょっとカラーがフジモンさんと被るとこありますよね笑」

「そなんよ~いらんねん、あぁいうのはもうぉ。仕事減るや~ん」

「でもフジモンさんのイジりとかはやっぱり凄いですし、若手じゃまだまだ代わりにはならないんじゃないですか?」

「やろ~、でもたまにそれが裏目に出る場合もあるねん。ほら『あちこちオードリー』出た時も、あれはちょっと良くなかったよね?あの後、全然呼んでくれへんし」

「いや、あれはまぁまぁ酷かったですからね笑、ハライチの話全然聞けなくて、もう一回別の会でハライチ呼んだんですから笑」

「だからごめんて、それはぁ~。だからもう一回呼んでよぉ~俺も」

「いや、僕は原西さんにも来ていただいて、FUJIWARAさんのお話聞きたいんですけど、佐久間さんが嫌がると思うんですよ笑。フジモンさん、多分ですけど全然ハマってないと思うので笑」

佐久間さんの好きなタイプじゃないか。一回ちゃんとした形で『あちこちオードリー 』で観たいかも。


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