体験と成長
混み混みのゴールデンウィークに息子が嫁と孫を連れて来てくれた。
若干4月病ぽいグデグデの息子の運転でやって来た。
ゆっくり目に家を出て混雑を避けて来てくれたので18時間の滞在となった。
何処に行っても混雑・渋滞に巻き込まれるので、今回は我が家で過ごすだけだった。
・畑に野菜の苗を植えるので手伝う。
・夕飯はカレーライスにして、孫達が作る。
・UNOをやる。
なんていう計画だった。
(息子は、
同級生の床屋さんに行って積もる話をする)
畑の土地を購入したのは、真愛の退職後。
厚洋さんもまだ元気で、野菜の作り方を教えてくれた。
しかし、土地購入にあたっては、
「本当に一人でやれるのか?
投げ出さないで最後までやれるか?
俺は手伝えないぞ!」
だった。既に自分の体の変調に気づき、具合が悪くなることを分かっていたので、確認したのだと思う。
「うん。大丈夫!
ちゃんとやるもん!ひとりで…。」
と胸を張ったが、歳をとってくると耕運機を動かすことも大変であることや農作業は腰が痛くなることに漸く気づき、厚洋さんの確認した気持ちがわかる気がして来た。
土地購入直後に耕運機を買ったが、まだ、スマホではなかったので、自撮りが出来ず(真愛と愛車)のツーショットはない。
今回初めての画像だ。
真愛ばあちゃんの農作業風景である。
本来は、孫が来てから耕すつもりだったが、よく考えた。
(初めて見るものに近づいて怪我でもされた
ら困るし、耕てから肥料まき、支柱立て、
なんてやっていたら日が暮れる。
更に、か弱い野菜苗を折られたら
叱るに叱れない。
分かっている不都合な未来は回避する方が
いい。)
ので、先に耕し肥料撒きもして、簀子を敷いたところにスイカ苗を植えた。
ピーマンも植え、胡瓜も支柱を立てて植えてしまった。
トマトだけは、大きめのポットに植えることにして、苗床だけ作っておいた。
孫達が来た時は既に、耕運機は倉庫に仕舞った後だった。
ところが
「耕運機?」
と尋ねられ、言葉で説明するより実物を見せるのが一番なので、もう一度出してエンジンをかけた。
仕舞っちゃった後だったので、チョークを引いたらオイルを飲んだらしく掛からない。
「あら?掛からないな?」
と言う真愛の言葉を繰り返す孫が…。
「掛からないの?
ダメね!」
分からないで繰り返しているのに、
「え?
そんな冷たい言葉を言うんだ。
成長すると冷たくなるんだな。」
なんて思ってしまった。
小さくて可愛くてまだ、自我が芽生えていない頃が良かったと言うのは、「自分の思い通りになる」と言う孫の意思を無視していた接し方だったのだ。
(そうか!成長したんだ!)と思った。
冷たい言葉ではない。
幼い子特有の「繰り返し言葉」それも忘れてしまっていた。
だが、繰り返して良いような言葉を使ってトマトの苗植えをした。
まず、苗ボットにお水をたくさんかけておくこと。
次に、鉢の中の肥料について教えて、穴を開けたらそこにも水を入れてあげること。
苗をポットから外す時は、人差し指と中指で苗を挟み、ボットをひっくり返してそっと落ちるのを待つこと。
ポットを外した逆さまの苗を穴の中にあそっと入れること。
しっかりと土をかけ、ぎゅっと押して鉢の土と苗の土がくっつくようにしてあげること。
思った通り、繰り返しながらしっかりと植えることができた。
孫が年子で二人いるので、二人にやらせる事は結構大変である。
(教員の時は、こんなに我慢しながら様子を
見ながら指導しなかったな。こうやってい
たら低学年も担任できたかもね。)
と厚洋さんに呟いてしまった。
なんだか天皇陛下がなさる「お手植え式」みたいだった。
天皇陛下は毎年、皇居内の水田で田植えと稲刈りをなさっている。これは1927年(昭和2年)に昭和天皇がお始めになったという。
ここでも孫の成長を感じた。
画像を見ても分からようにしっかり指で挟んで、トマト苗を逆さまにし、左手で支えている。
「この苗高いから、
大事に優しく持ってあげてね。」
自分の言葉にびっくりした。高いから大事にするのではなく、一生懸命に生きようとしているのだから、大事にしなければならないのだ。
泥だらけになりながら、その後も芍薬周りの草取りをしてもらった。
怖がってやらせないのではなく、失敗を承知で挑戦させることが成長に繋がるんだ。
さて、次は「カレーライス」作りだ。
まあたくさんの人参を切ってくれた。
ジャガイモもガッツリ切った。
肉も調理用ハサミで切っていた。
息子しかいなかったので、彼と一緒に料理した記憶がない。もっと一緒に野菜を使った料理をしたら野菜を食べる子に育ったのだろうか。
子育てを厚洋さんや母に任せきりな真愛なので、反省仕切りの見学である。
お母さんと娘が料理をしている姿を見ることはとても羨ましい情景だった。
出来上がったカレーライスを撮らなかったがなかなか甘口の懐かしい味だった。息子は
「野菜、硬くないか?」と言っていた。
もう、厚洋さんみたいなことを言う。
「この酢豚、人参硬いな?」
と言ってワンコにあげて、酢豚を食べない犬を見て
「笑笑。犬も食わねぇぞ!」
と言って真愛を激怒させた厚洋さんそっくりだ。
たまたま自分の食べた人参が硬かっただけだろうに…。
孫と嫁を見ていて、64年前の真愛と母を重ねてとても懐かしく嬉しかった。
きっと娘の成長は「嬉しい」ことだったのだろうなあ。
嫁が上手に孫娘を育てているのも嬉しかった。
その後、お風呂掃除もしてくれて、ゲームUNOのやり方も上手に説明してくれた。
順序よく、色々な場合を想定して教えてくれた。
孫は日記を英語で書いている。
英語ノートに書かれたアルファベット文字は丁寧にきれいな字で書かれていた。
こりゃ、完全に負けである。
つぎに夏休みに来た時は、彼女に教えてもらうのもいいかな。
《人に教えることが1番身につくものだ》
翌朝、出かけるまでに余った時間で、ピアノを弾いてくれた。
楽譜がなくてもしっかりと弾けるし、聴音もなかなか優れている。
不届な真愛ばあちゃんは、夏に来た時、同級生のピアノの先生に見てもらおうと思った。
たくさんの人に「褒められて認められて」育って来た子なので、「出来なかったり、認められなかったり」するとなくことがあると言う。
正しく、息子の娘であり、真愛の孫である。
成長の素晴らしさを実感したが、同時にこれからの心配も浮上した。
沢山のことを体験して、その楽しさを知り挑戦をしながら成長していける孫達は幸せである。
この後、人生初の「潮干狩り」に行ったらしい。
日本中のお父さんお母さんは大変だ。
大渋滞の中子ども達のためにひたすら運転して、翌日からまた会社に行くのだ。
そういえば、厚洋さんも真愛も彼が1年生の頃は、休みになる度にどこかに出かけていた。
実際に体験することが成長に繋がると信じてやまなかった。
いい息子に育っていると思う…。笑笑!
ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります