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代官山に犬がいなかった日



真面目に道を歩いてたら前から歩いてきた男の人に避けられない感じでぶつかってこられて痛かったけど、「ポケモンGOしていて、ごめんなさい」と言われ、「ポケモンGOしてるのは別に良いんですけど」としか返せずその場が終了してしまった。
なんか謝罪をなあなあにされた気がする。



代官山に行った。ここは代官山なのに全く犬がいなくて不気味だなと思ったところで記憶が途切れていて、次に意識を取り戻したとき目の前に立っていた無印良品を彷彿とさせる女の人に「あの、どうされましたか?」と問いかけられていた。
なにがだ?と思って「なにがですか?」と返答したら「ヘットスパでよろしかったですか?」と聞かれた。
…へっどすぱ?と思いながらへっどすぱでよろしくない理由も特に無いので「あ、はい…」と言ったらヘッドスパが始まって、ああヘッドスパか…と思った。
気持ちよすぎて眠ったのでまたそこから記憶が途切れているけれど起きたら信号待ちをしていた。横断歩道の向かい側にでっかい犬がいてようやく安心した。キムタクん家の犬の可能性がある。



新宿の大きな交差点を股に掛ける大きな歩道橋を渡った。わたしって、歩道橋のことが思ってるよりかなり好きだ…と気づいた。これに関しては大きければ大きいほど良い気がする。あとケーキのモンブランのことも思ってるよりかなり好き。おおきくなったら家とモンブランを買って家の敷地内に歩道橋を置きたい。




ずっと落ち込んでいる感じ。
サイゼリヤに座って明日以降の自分の身の振りかたを考えていたら、隣の隣のテーブルから「ちょ!ビーリアル!」と言って大騒ぎし始める若者集団の声が聞こえて、あ、これってほんまに存在するんですねと思いながらなんかすべてのことがどちらでも良くなった。どうでもいいとかは無いけど、どちらでもよくなった。




バカみたいに硬い椅子に座ってバカみたいに本を読んだ。またいくらかコミュニケーション能力が落ちた。どうしようも無さすぎる。


ごはん屋さんにいたら、巫女のコスプレをした女の子とおじさんが隣に座った。
女の子の声が、テレビ番組とかでよくある覆面インタビューのときに音声モザイクかける時と完全に同じ声ですごかった。高い声のやつ。
ちらっと女の子を見たらちゃんと素顔だった。一人称が僕だった。
おじさんはガラケーで女の子の写真をたくさん撮っていた。2人の会話が丁寧で、どちらもがそれぞれに幸せそうで、ずっとそういう感じでいてほしいなと思いながらちょっと泣きそうになった。




下北沢を歩いていたら通りすがりの男子小学生が「ショウのお父さん、もうiPhone16買ったらしいよ!」と言っていた。1週間前くらいにiPhone15が発売されたばっかりだけど、一体ショウのお父さんは何者。



考えてもしょうがないことはこの世に多すぎるけれど考えることで自分を保つしか術がないことがあるのも確かなので考え続けた。泣く直前みたいな気持ちがたびたび訪れながらなんとか踏ん張り続けるなか、この一点に関しては他人に底上げされることは不可能だと確信してしまったのではやく自分で自分の外側を好きになりたい。
帰ったら同居人が2500円くらいのシャインマスカットを買ってきていて、「同居人がシャインマスカット分けてくれた♡」ってツイッターに書いてわたしの株を上げとけ、と言われてウケた。結局シャインマスカットはもらえてない。




今日は、歩いてたらほんとにほんとに嬉しいことがあった。ほんとにほんとに嬉しかった。ほんとにほんとに嬉しい。嬉しい。嬉しい・・・・・。こうやって思いがけず嬉しいことがあるならまたもっと歩きたいと思った。ほんとにほんとに嬉しくて、近くの壁にもたれかかって、1回深呼吸をしてからふたたび歩いた。また明日も歩きたい。


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