「マイペースに編集の道をゆく」④

 編集部にいた時は仕事に関するコンサート、演劇、映画などに招待され、足を運ぶことが日常だった。

 そんな中、デビューライブに招待されたのがバンドのスピッツ。デビューライブのバンドのたたずまいや歌詞、メロディーに感性が震えて、「連載、やりたいです!」と編集長に直談判。翌年初めて、ボーカルの草野マサムネさんの連載エッセーを担当した。

 連載前の打ち合わせで、地図・旅好きの草野さんに「旅」をテーマにつづってもらうことに決めた。

 手書き原稿を都内ならば練習スタジオやイベント会場にとりにうかがい、地方からはファクスで送ってもらっていた。

 1回目の表題を私が考えたら、2回目からは表題入りで送られてきた。半分近くを消しゴムで消し、書き直していた2回目の原稿に迷いは見えたけど、風合いを大事にしてOKにした。ネタに悩むと言われればいくつかネタメモを手紙にした。そんな中、まだ一般的に知名度が低かった彼の連載は編集長命令で全12回で終わることになった。

 だけど、編集者自身が「楽曲、原稿、すべての作品がいい」と思わなければ読者にまで伝わらない。一番近くにいるサポーター魂は編集者には不可欠である。

 だから、連載が終了してもライブに必ず足を運び、作品や人柄にふれ、より一層スピッツ研究を進めていた。

 数年後「ロビンソン」が大ヒットした時、今度は編集長のほうからやってきた。もちろん二度目の連載はカラー、4ページに昇格した。



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