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【読書記録】2023年10月

10月の読書記録です。
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小説

『彼女は頭が悪いから』姫野カオルコ

実際にあった東大生による強制わいせつ事件をもとに書かれた小説。「あまりにも露悪的に書きすぎ」「実際の学校について細かく描写する割に事実誤認が多すぎ」のような批判が多々ある。その一方で、描写されている悪の幾分かが事実であるためにそのような批判がなされるのだと思う。
日本の学歴社会を描いているとも読めるが、普遍的な思春期の葛藤を描いているとも読めるので、様々テーマを絞って感想を言い合うと面白そう。

『女のいない男たち』村上春樹

『ドライブ・マイ・カー』の原作をずっと読みたかったんだけど、やっと重い腰を上げて読めた。映画の釈然としなさとかモヤモヤ感が全然なくて、「どうしてこの原作であの映画に……?」となった。映画は映画で、登場人物の行動やオチの不自然さをひたすらに綺麗な映像で洗い流してしまうような力強さがあり、すごく好きな作品。一方で原作の小説は、映画よりも登場人物に自我が感じられて、弱弱しくも肉感的な手触り感がある。
無意識に浮かんだ形容詞で適当にメモ程度に書いているので、自分以外の誰にも何も伝わらない文章だけどそんな感じ。

『論理と完成は相反しない』山﨑ナオコーラ

あとがきが秀逸だった。フィクションによる救済の力の使い方が上手だと感じた。短編集のために書かれた短編をまとめた短編集は、同時期の作品を集めただけの短編集とは全く違う楽しみ方が出来てとても良い!と思ったので、これからも、少なくとも人気のある作家ならこういう本が出せる世の中であって欲しい。

ビジネス

『問題解決の全体観 上巻 ハード思考編』中川邦夫

「空・雨・傘」、「解読・創案・評価・選択」、のフレームワークを使う方法が平易に解説されており、良かった。「空・雨・傘」を例にとると、「空!傘!」的な短絡に陥る人が多いように思われる。特に、忙しかったり疲れていたりすると尚更。

『問題解決の全体観 下巻 ソフト思考編』中川邦夫

「仕事」と「作業」の差異について書かれていた部分が好きだった。「いや、精神論過ぎでしょ」と思わないでもなかったが、純粋且つ単純なタイプなので結構真に受けて啓発されることができた。ネガティブなマインドからは建設的な思考は出てこないという部分は特に、精神論は精神論でも馬鹿に出来ないほど大切だと思った。

精神分析

『ゼロから始めるジャック・ラカン ─疾風怒濤精神分析入門』片岡一竹

精神分析の入門書として、最上なのでは!わかりやすく書かれているものの、あまりに簡易化して事実と相違が出たり、正確さを欠いたりしておらず、バランスが良いと感じられた。これと原典の間に挟む本に、かえって悩んでしまう。上手く読み込めたら読書レビューを書きたい。

その他

『限界旅行者、タリバン政権のアフガニスタンへ行く』指笛奏者

海外旅行といえば直行便でパスポートだけ持っていれば入国できるような場所にしか行ったことがない。そんな私にはとても刺激的な内容だった……。お役所手続きに特大忌避感を持っているので、第1章のビザ取得の部分で既にもうどきどきした。「ああ、世の中には旅行のためにこんなにも面倒なことをしている人がいるのか、それなら私も確定申告くらい頑張ろうじゃないか、、、!」と、奇妙な元気すらわいてきた。月並みだが、百聞は一見に如かずという言葉の重みに改めて思いを馳せた。そういえば、著者本人に目の前でサインを書いていただいたのは初めての経験かもしれない。大切にします。

今月の読書記録は以上です。
11月も自分をワクワクさせるための読書時間をちゃんと取るぞ!

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