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セナのCA見聞録 Vol.47 美味しい台湾 後半

後日実際にそこへ行ってみると、確かになかなかおいしかった。アメリカ風に味付けされた大味の中華ではなく、中国で出される料理にかなり近いものがありました。驚いたのは、そこではメニューが全て中国語(漢字)で書かれていて、お客様も皆中国語を話している場所だということでした。

台湾人に混じって仕事をしたのは初めてでしたが、台湾人というのはとても日本人と似ていてすぐに親近感が沸きました。外国人という感じはほとんどしません。外見も日本人ととても似ているし、性格的におっとりと穏やかで優しい感じのするあたりも、また日本人と共通しているようで、他の近隣諸国とは微妙な違いがあるように感じられました。

再び台湾へ戻りました。

一緒に飛んだクルーたちに空港で別れを告げ、ロングフライト後の疲労と時差でぐったりとタクシーの窓にもたれかかりながらホテルへ到着すると、早速良子がロビーで出迎えてくれました。

現在台湾に駐在しているというお友達、田中さんも一緒でした。良子は「お疲れ様。どうする? これから夕飯食べに行く元気ある?」と私に聞きました。

どうして断れましょう。私は「すぐ着替えて降りてくる。10分で降りてくるから、ちょっと待ってて」と答えました。

元気というのは不思議なものです。文字通り、気さえ元の状態であれば元気でいられるようなのですから。楽しいことが待っている、と気持ちを切り替えてしまえば、さほど疲れも気にならず、楽しい晩を過ごすことができました。

夕食には生け簀のある海鮮料理のおいしいお店に連れていって頂きました。そこで大きな伊勢海老をガブリ、食用カエルの炒め物をカリカリ、すっぽんのスープをと一品ごとにうなりをあげるように、地元の特産品に次々と挑戦しました。

翌日は台北の市内観光。

場所は言葉にも通じている良子の友人、田中さんが決めていて下さったので、私は初めての土地にも関わらず何の心配もなくいろいろな場所を巡ることができました。

まずは国立故宮博物館。世界四大博物館のひとつに数えられるというだけあって、70万もある収蔵物はとても一日では見切れないのですが、中国文化の精髄に少しばかりは触れることができたと思います。人の手が作り上げたとは到底信じられないような細工の品々には溜息と賞賛の連続でした。祖父、父、息子三代に渡って仕上げられたという神業の境地のような三段になった鐘のような作品の前で、私は足を止めて食い入るように見入ってしまいました。気の遠くなるような細かい網目模様には目が吸いつけられました。なんでも三代目によってその作品がようやく完成した際、その技術が他の人によって盗まれることがないようにと、その人は殺されてしまったという話があるそう。とにかくぞっとするような象牙色のその作品に込められた職人魂に私は畏怖の念すら覚えました。と同時に、親から子へ子から孫へと同じ作品に手が加えられたというその絶品を前に、その三人の方にその場で敬服せずにはいられませんでした。

中国五千年の文化の深みを感じさせるお宝が満ちている博物館は、今まで訪れたなかでも最も見ごたえのある博物館でした。

昼食はえん山大飯店で高層階にあるレストランで点心を心ゆくまで満喫。

昼食後は、とても当たると有名だという占い師達のいる地下通路があるとかで、タクシーで向かいました。そこで、みんな自分の将来を占ってもらいました。(何を言われたかは秘密)

台湾では今でも高齢の方は日本語が堪能な方が多いらしく、占い師のおじい様も日本語で話して下さりました。また、同じ地下通路には、絹糸一本で顔の産毛をとってくれるおばさんたちがゴザを出して並んでいました。私は友達が占いをしている間に試してみました。結構ピリピリ痛くて目をぎゅっとつぶってがまんしながらのお手入れでした。

その後もお茶の試飲など観光三昧を続け、夕方は、台湾式の足裏マッサージ店に立ち寄りました。

「痛い、痛い。イタタタター 😣 でもこれが効いているはずなんだよね。」と、ベッドで隣り合わせの良子と言いっこしながら癒してもらいました。

夕飯はホテルの近くで広東料理を頂き、広大な中国大陸の全ての料理が台湾では身近に接することができることを田中さんから教わりました。

良子のおかげで初めての台北の滞在は、思いがけず二重においしいものとなりました。どうもありがとう!

 

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