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(2006年6月)ちばてつや×竹宮恵子対談1

(トップ画像はサカタボックスのフリー素材を使わせて頂いております。内容には関係ありません。)
*下記は過去に自分のココログに挙げていたものから抜粋したものです*

ちばてつや×竹宮惠子対談【開催日時】2006年6月17日土曜日
午後2時40分~4時40分
【開催場所】精華大学黎明館
【テーマ】マンガ界の明日はどっちだ!?
【内容】
精華大学・マンガ学科で助教授として教えておられる竹宮さんの受け持ち学生さんにとっては振替の講義にもなっていたらしく、対談といっても基本的には竹宮さんの主導で行われました。
<前振り>ちば:宇都宮で最近になって初めてマンガを教えるということを始めた。その際竹宮さんが書かれたマンガ教室といった本が数冊あるがそれが非常に役に立った。
竹宮:私達が描いていた頃というのがマンガは一番複雑だったと思う。そこで積み上げてきたものを教えられないかと思い本にした。私達はマンガの教科書とかない中でやってきたが、今では大学でマンガを教える時代になった。
<本題>竹宮さんが用意した資料をスライドで見せながら。
ちばさんの絵が創生期の少女漫画の中でどのような存在であったか、他の少女漫画家とどのように違いどのような影響を与えたか等の解説を竹宮さんがされて、それに対して時々ちばさんが当時の状況を話される形でした。

構図:★俯瞰図としての家の中、玄関には家族の靴が家族の人数分並んでいる。家の間取り、関係性、生活感が一気に分かる絵。
当時の他の少女漫画はリアリティがあまりなかった。主人公は貧乏という設定なのに、綺麗な洋服を着て、とってつけたようにツギがあたってるような絵だった、それに対してちばさんの絵は非常に状況や設定が絵からよく分かるようになっていた。
★主人公にスポットしない。(葬儀の場面、全体が描かれ主人公だけがアップになったりしていない。リアリティ)
★群衆シーンのリアリティ(背景も細かく、床の間には碁盤が立てかけて置いてあり、料理まで細かい)
→ちば:当時の自分の経験からの絵。意識して描いた訳ではないが、つい細かく描き込んでしまっていた。
★足のバランス:当時の少女漫画はスタイルブックのように爪先立ちの少女がポーズを取るような絵が多かったが、ちばさんのは現実的で地に足が着いてる感じがした。
★決して翔ばない等身大のヒロイン
女優を目指す、スターを目指すという物語でも成功までの過程を描かれてもいきなりビッグになったりしない。
→ちば:一生懸命努力する姿に興味がありそこが描きたい。スターになった、ビッグになった後というのは興味がなく描けなかった。
★大人と子供の世界を分けた
大人世界の事情と子供の理解を分けた
お風呂に入りながら大人の男性が泣くシーンが印象に残っている。
★大きな目、かわいい女の子、艶髪
→ちば:自分としてはいっぱいいっぱいで描いた可愛い絵。他の少女漫画家の手法を参考にしたりもした。

ちばさんの作品から生活の場から分かることを惜しみなく描くこと(描く時間がかかっても語れるところは大きい)や、キャラクターの確立、初めての「リアル」を学んだように思う。
「シリアス」とは何かを教えてくれた。
ドラマは派手な動きの中にあるのではない。
などなど、竹宮さんがどのようにちばさんのマンガから影響を受けたか、かなりこまやかに分析されたものを資料とともに解説されました。
それに対してちばさんのコメントは、自分では意識してないけど、そうですかね、とおおらかな感じで会場で受けていました。

当時、少女漫画界にちばさんが入ったのは、まだ少女漫画家が少なく、それでいて徐々に少女漫画誌が増えていく時だったので、石ノ森さんや松本零士さんを始め男性作家や、自分のように若手が入っていく隙があったから、という説明でした。
自分は男兄弟の中で育ち、母親も男らしい性格だったので、女の子の気持ちが分からず苦労したし、「なかよし」とか買ってきて研究した、苦しかった、ということもおっしゃっていました。

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