見出し画像

まだまだ変動金利だと思う

住宅ローンのお話。

「賃貸」vs「持ち家」で持ち家を選択した場合、次にホットな話題が「固定金利」vs「変動金利」です。ここしばらくは変動金利がかなり優勢でしたが、今後マイナス金利解除、そしてゼロ金利解除と進んでいく可能性が現実化してくるとして、それでも変動なのか、それとも長い目で見たら固定なのか、やや迷う局面かもしれません。例によって一般解は無いけれど、私だったらこんな条件付きでこう考える、というお話をしてみたいのです。


金利予測とは関係なく「変動金利一択」

タイトルの通り、私は「まだまだ変動金利」だと思っています。ただしそれは「金利が上がるのはXX年と予想しているから」とか言う理由ではないです。そういう予測は私にはできないので。専門家だって当たらないのに一素人に当てられるはずがない。いつ金利が上がるかによらず、変動金利が良いと思っています。

金利の逆転=支払総額の逆転、ではない

最大の理由は、もちろん固定と変動の金利差です。2023年10月時点でフラット35の金利は1.3%くらいのようですが、変動金利の場合0.4%程度。ということは0.9%の差があります。一方で、固定と変動で金利が逆転するにはどれくらい時間がかかるだろう?変動金利が見直されるのは半年に1回で、もし半年ごとに0.25%ずつ上がっていくとしたら、1%上がり切るには2年間あることになりますね。仮に4,000万円の借り入れがあるとしたら返済額はその2年間でだいたい50万円ほど増えることになろうかと。が、この時点でようやく「固定金利と変動金利が大体並ぶ」ということです。もちろんこれは「固定金利の支払総額と変動金利の支払総額が逆転する」という意味ではありません。固定と変動で支払総額が逆転するのは、変動が固定より高い水準がしばらく続いて初めてそうなるということ(いつ逆転するかは、過去にどれくらいの期間返済してきたかによる)。

差額を運用すれば、更に差は広がる

さて、では、固定金利よりも変動金利が高い期間が長く続くとしたら、やはり変動は不利といえるか、というと、まだ単純にはそうとは言えません。固定より変動の金利が低かった期間中の差額は、運用することができるからです。数年規模で変動金利の低金利を享受してきたとするとその差額は100万円単位になる。仮にそれが5年だとして、100万円を5年間、3%で運用できていたとしたらどうでしょう。大体116万円に増えます。ということは、固定と変動の差額は、実質的には100万円ではなく116万円まで広がっていると考えることもできます。であれば、固定の総支払額が変動の総支払額より安くなるまでのギャップはより広がることになりますね。NISAで運用していたなら更に20%の税金がかからないし、特にここ数年であれば運用成績は3%よりも上回ることだって十分可能だったのではないでしょうか。

もっと変動金利が上がったら?

更に先の話。固定と変動の利払い差額を運用した上でも更に変動の金利が高くなり、かつその状況が長引く見通しになったとして、実態としてこのまま行けば固定より変動のほうが支払い総額が大きくなってしまいそう、というシナリオが本格化しそうだと仮定してみます。本当はこの前提も少しおかしいのですが。というのは、現時点で変動金利がいつ上がるかわからないのと同じように、更に遠い将来変動金利がまた下がる可能性だってあるわけで、そもそもそういう予測事態が難しいことを前提に考えているはずなのだから。

でもまあ敢えてこの過程で考えてみましょう。もしそうなったら、変動金利派は為すすべもなく悲嘆にくれながら高い利息を払い続ける人生を送るのでしょうか?いや、まだやれることがあります。オーソドックスな話ですが、それは「繰り上げ返済」です。利息をたくさん払わなければならないのは、ローン残高が多いからで。だったら、ローン残高を積極的に減らしてしまえば、変動金利の上昇の影響がその分なくなります。もちろんこれまでコツコツと運用してきた「固定と変動の差額」をここに当てることができますし、余力があればどんどん繰り上げ返済してしまっても良いかと思います。極端な話、ローン残高を超える金融資産をもっていたら、変動金利が固定金利より高くなるタイミングでローン残高をまるごと繰り上げ返済してしまえば、将来の不確実性というリスクを負わずに変動金利の低いコストというメリットだけを享受することができます。

ただ、実際に繰り上げ返済するかどうかというと、おそらく金利上昇後すぐにそうするかというと多分私はしないと思います。というのは、繰り上げ返済に使えるまとまった資金があったら、それを繰り上げ返済に使うよりも、自分で運用していたほうが利益が大きいと思うからです。逆に言えば、自分が運用する期待利回りよりも変動金利の利率のほうが高くなってしまう状況まで来たら、むしろ積極的に繰り上げ返済すると思います。

変動金利を飼いならす条件

ということで、私が考える範囲ではまだまだ「変動金利一択」です。しかしこれは万人におすすめできる訳では無いとも思っています。変動金利のリスクをコントロール可能かどうかは、「いざとなったら繰り上げ返済」というオプションを手元に持って置けるかどうか、によって分かれます。手元にこの余裕資金がなければ、変動金利のリスクは人生を左右しかねないギャンブル的なリスクに変わってしまいます。変動金利で行くならば、貯金をすべてはたいて頭金に当てたり、一人では賄えないローン額をダブルローンでなんとかするような「カツカツ」の返済プランは避けたほうが無難ではないかな、と感じます。もちろん人それぞれなので、別の形でリスクヘッジされていらっしゃる方も多いのかもしれませんが。例えば「今後必ず価格が上昇する資産性が高いマンションだから、ローンが厳しかったら売ればよい」という方法などは、私には自信がないですが可能かもしれないですね。

この記事が参加している募集

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?