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帰れない山 読書感想文

読んでいる最中、文字を追っている時間が至福だと感じる小説だ

イタリアの山々を美しく丁寧にデッサンのように、描写してある

普段は都会で暮らす主人公と、父親、母親が山に訪れ、そこでできた友人との関わりを通じ、成長していく物語


少年と山、少年の友情、孤独、親子の関係が少しずつ変わることなどをふむふむと読み進めてはページをめくる手を止め、美しく面白いと感慨にふける

生きていると

  • 何を選ぶのが正しいのか

  • その道を選ぶ理由

など迷いはつきものだが、
この小説では、その道を選ばざるを得ない人物がいて、
幸せの価値観は人それぞれなのだと考えさせられた


作者のパオロ・コニェッティは短編小説を書くイタリアの作家。
アメリカ文学をこよなく愛し、レイモンド・カーヴァー、サリンジャーに傾倒していったとのこと

帰れない山 訳者あとがき(関口英子】P264 より

読んでいて、同じくアメリカ文学を愛する村上春樹の「羊を巡る冒険」がよぎるし、孤独や、父と子の葛藤は村上作品に通じるものがあった

イタリアの風景が浮かび、自然の美しさと脅威、人間の営みが静かに書かれていてイタリア文学もいいものだと感じる作品だ

映画化されているので、読書の世界とは違う`映像美‘を楽しんでみたいと思っている

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