amari

小説好きです。エンタメ、文学芸術を見た感想多めです

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最近の記事

小説「20160118」

鈴木おさむ氏が書いた小説。 あの日のことは私もたまに思い出す。 なぜあの意味のわからない謝罪を5人がしたのか。悲しい謝罪、解散と最終回。2016年に解散するなんて思っていなかった。 思春期からずっとテレビに出て歌って笑わせて、感動させてくれてアイドル以上の存在だった。 あくまで小説だけど、いわゆる公開処刑と言われた2016年1月18日の放送に至るまでの1日が主にに書かれている。 主人公は放送作家で、かつ組織にいる人間。彼の視点で物語は進む。 逆らえない出来事があり、やむな

    • 坂の途中の家

      角田光代さんの「坂の途中の家」を読み終えた。 語り手が変わると、ものの見え方がこうも変わるのかと唖然とした。 主人公の理沙子、夫、娘、義理の親、実の親。 それぞれの価値観や家族の決まりごとは当然ながら違う。善意からの発言や行動が、相手に伝わらなかったり、悪く捉えられる。 人間関係はパズルのピースのようにはぱちんとハマらなくて、少しずつずれる。噛み合わない。分かり合えない。 読んでいて、苦しくなる場面があって、でも読まずにはいられず、早く読み終えたいと思いながら読んだ。

      • 空地

        近所の空き地で青年がスケートボードをしていた 危ないという張り紙が張られ、青年はいなくなった その空き地は整備され、駐車場になった 近くの住人の駐車場として、便利に機能している 離れたところに公営のスケートボード場ができた そこではプロのスケートボーダーからアマチュアのボーダー、子供も滑っている 遊びがプロスポーツになり、オリンピック競技になる 世界一を目指す選手が増える 遊びから始まることが、遊びでとどまらずに商業的になっていく こういう場面に遭遇するたびに、活性化

        • 帰れない山 読書感想文

          読んでいる最中、文字を追っている時間が至福だと感じる小説だ イタリアの山々を美しく丁寧にデッサンのように、描写してある 普段は都会で暮らす主人公と、父親、母親が山に訪れ、そこでできた友人との関わりを通じ、成長していく物語 少年と山、少年の友情、孤独、親子の関係が少しずつ変わることなどをふむふむと読み進めてはページをめくる手を止め、美しく面白いと感慨にふける 生きていると 何を選ぶのが正しいのか その道を選ぶ理由 など迷いはつきものだが、 この小説では、その道を選

        小説「20160118」

          「ツナグ」辻村美月 読書感想文

          「もし、今あの世のにいる一人に会えるとしたら、誰に会いたいですか?」 この問いを、小説を読むまで、私は真剣に考えたことがなかった。 考えたところでかなわないし、意味のないことだと思っていたから。 でも、この本を読んで、私が会いたい人は「母の母」だと決めた。 小説「ツナグ」の中で会える原則として、 この世にいる人はあの世の中から一人にしか会えない あの世の人も一人しか選べない 一度権利を行使したら二度と使えないから慎重に選ぶ必要がある 小説は短編形式で、5人の主人

          「ツナグ」辻村美月 読書感想文

          蟹工船、読書感想文

          蟹工船を読んだ。 当時の蟹工船での中の過酷な労働、仲間の船を助けることが許されずに見捨てること、搾取されること、などなど、 読んでいて苦しくなった ロシアで社会主義の思想に触れるあたりがなかなか、救いのない中での救いを求めるよねと。  蟹工船というタイトルは知っていても読むのは初めてだ。 今の労働環境も、非正規雇用や格差の問題はある。 作者の小林多喜二は29歳で虐殺される 思想に自由がないのが現代とちがうところだ でも書籍として残り今こうして読めたことは良かった。

          蟹工船、読書感想文

          noteから”スキ”をもらうたびになんだか照れる ”スキ”に慣れる日が来るといいな いいねでなくて”スキ”なのがとても可愛い

          noteから”スキ”をもらうたびになんだか照れる ”スキ”に慣れる日が来るといいな いいねでなくて”スキ”なのがとても可愛い

          「日の名残り」著/カズオ・イシグロ 読書感想文

          「日の名残り」著 カズオ・イシグロ 英国で執事をする主人公が旅をしながらかつての雇い主や女中との関係、過去を回想し、最後にあるのが喪失という、作り。 「イギリスの執事の働きぶり」や、「イギリスの田舎の風景」がカズオ・イシグロの丁寧な文体で書かれるから美しいと感じながら読みすすめた。 最後の方で、主人公が人生を振り返ったときの、 実はたいした執事でもなく、恋愛を放棄したのか、自分の人生とはと思う切なさ、 一生懸命やったことや選択に謬りがあったならと悔いる場面が、とても人

          「日の名残り」著/カズオ・イシグロ 読書感想文