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【図解】企業分析_超優良企業『JT』②~国内たばこ市場とJTの売上をみてみよう~

 かなりお久しぶりとなってしまい、ごめんなさい。今回も引き続き『 JT 』についてみていきたいと思います。前回は世界のたばこ市場の動向を確認しましたが、今回は国内のたばこ市場の動向を確認し、国内で独占的な立ち位置であるJTにどのような状況に追い込まれているのかをみてみます。それによりJTの売上(成長性)にどのような変化を及ぼしているかを確認したいと思います。
 今回も前回同様でスライド中心で、補足程度で文字を書くスタイルで書いてみたいと思います。

↓前回はこちら

簡単にたばこの歴史とJTの沿革

 まずは大変簡単ですが、たばこの歴史とJTの沿革をみてみます。

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つぎに、国内たばこ市場

 つづいて国内市場の現状をみてみましょう

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なぜ、こんなにも減少してしまったのでしょうか?

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それは、単純に喫煙者が減少したからです。

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男女ともに喫煙率は低下し、ほとんど全ての男性が喫煙していた時代から、3人に1人しか喫煙しない時代へ。

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年齢は関係なくどの世代でも喫煙しなくなっている。つまり老若男女問わずみんな吸わない、吸わない事が普通という感覚へ日本は大きく変化しました。

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ただ、国内のたばこのシェアは今回のJTが圧倒的な立ち位置をキープしてます。数は減っているが、JTの国内での立ち位置は変わっていません。

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いうまでもないですが、JTの国内販売数は減少しこのわずか10年で40%も減少しています。相当な減少に見舞われているといえますね。

この現象は喫煙だけでなく、別の要因でも起こっています。

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加熱式たばこが急速に普及し始めた事で紙巻たばこ(普通のたばこ)が減少してます。喫煙率の低下と新市場の低下で減少しているわけですね。

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しかし、この加熱式という新市場ではアイコス(IQOS)が圧倒的なシェアを確保しており、JTは完全に出遅れています。

ここまでで、JTは今まで圧倒的な立ち位置を築いていた国内たばこ市場の減少に見舞われ、また加熱式たばこという新市場でも完全に出遅れているのが分かりました。正直国内のたばこ市場の中では成長性は感じ取れなかったように思えます。実際経営状況としてはどうなっているのかをこれからみていきましょう。

成長性

 JTの成長性を確認していくために、売上の詳細をみていきましょう。

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このような状況ですが、意外にも売上は大きく減少せずにほぼ横ばいの2兆円を維持しています。

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売上の内訳をみてみると、JTはほぼたばこ事業で売上を構成しています。つまりJTは食品、医薬をやって多角化しているが、『 JT ≒ たばこの会社 』といえます。また、そのたばこ事業の売上ですが、国内のたばこの減少は海外たばこでカバーしています。国内の減少を海外でカバーしているんですね。

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結果的に、海外たばこがJTの売上の60%も占めるようになりました。海外たばこの売上がJTを支えているといえます。

それでは、たばこ事業に焦点を当ててみていきたいと思います。

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海外たばこは確かに拡大しましたが、近年は横ばい状態。しかし意外なことですが国内たばこの売上はこの10年維持されています。

なぜ、あんなにも減少してた国内たばこの売上はキープされているのでしょうか?

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答えは単純で『 値上げ = プライシング戦略 』 で、量の減少をカバーしているのです。多少高くなってもたばこ吸いたい人は買うという事ですね。ある意味恐ろしいです笑

ただ、実は高くしてもたばこが買われる理由は他も考えられます。

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たばこの価格のほとんどが税金で、JTが多少値上げしても分からないくらいだともいえます。例えば10%値上げしても全体では3%くらいの値上がりにしかならない。

つぎに、海外たばこ事業をみてみましょう。

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海外たばこの販売数は一時期減少していましたが、近年は回復傾向となっています。沿革にも書いてましたが、海外M&Aを積極的に行う事で量を確保しにいってるのです。

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しかし、海外たばこは国内たばこと違い近年は単価が減少しています。これにより、せっかく販売量が上昇しても単価が減少していまうので売上が横ばいなのですね。

結局、JTのたばこの販売数は海外展開を積極的に進める事で増えたのでしょうか?

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やはり、国内の減少速度には勝てず全体では販売数が減少しています。この減少速度で値上げが上手くいかないと一気に売上の減少に行きかねないと感じますね。

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加えて、新市場である加熱式たばこの販売数は普通のたばこ(紙巻きたばこ)を穴埋めするには遠く及びません。

今回を通じて、

多角化していても、ほとんどたばこの会社であるJTは『紙巻たばこ』の販売が生命線であるという事が分かりました。これはつまり、(前回より)国内だけでなく海外でも喫煙率の低下に伴う販売数が顕著でしたので値上げだけが規模を確保する唯一の手段という事です。次の一手が作り出せていないJTには成長性がほとんどないとも感じ取れる結果となったように思います。

次回はこのような状態のJTの収益性・効率性がどのように変化したかをみてみたいと思います。

今回は以上となります。ありがとうございました!

※つづきはこちら


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