見出し画像

●2021年12月の日記 【上旬】

12月1日(水)

落ち込んでたけどよく食べた日だった。

12月2日(木)

ここ数日の抑うつ的な気分がいよいよ質量を増してわたしの頭のまわりを取り囲んでいた。抑うつドーム。

ふるえる手でいにしえの抗うつ薬を探ったが見つからなかった。飲みきってしまったらしい。まあ4年前の薬なら飲まないほうがましかもしれない、と自分をなだめたり。

昼、用事を作って無理やり自分を銀座に引きずり出してみた。抑うつドームの磨りガラスを通して見る銀座はぼやけて素敵なのか素敵じゃないのかわからなかった。

教文館という本屋のビルディングで開催されているクリスマスフェアはとてもきれいだったし、いいなと思うものがたくさんあったのに、なにも買わずに出た。

トラピストクッキーやシュトーレンも売っている
クリスマスオーナメントもたくさん

目当てのものにも巡り合えないままに銀座をさまよううちにふと思った。最近もしかして出力が足りていなかったのかな? なんか、抑うつ的気分の原因はそれもあるかもしれない。1か月以上日記やお話を書いていなかった。入力(読書や学習)にたいして、外に出すものの量がすくなすぎたのかもしれない。
試しにそのへんのベンチに座りこんで前日の日記をスマホに打ち込んでみた。手もとの文字列が増えていくのを見るうちに少しずつ気持ちが落ち着いていくような気がした。気のせいかも。

なんにせよ、かんたんな日記をまた書こうと思った。

今日の学び:
銀座コアという商業ビルが味わい深くてよかった。地下のそうめん屋でうどんを食べて、小豆島産のオリーブ漬けを買った。

12月3日(金)

この12月でいちばんの気分のよさ(当社比)。ドブに片脚浸かったままだけど、もう片脚は道に上がっている、みたいな。

図書館に行った。マナエリアなので

図書館に併設されたカフェの窓ぎわの席で太陽光線を浴びつつ読書に没頭した。隣の席が空いて、店員さんがテーブルを拭いていくと、あとに学校のプールのにおいがした。ああ、塩素系の消毒剤。とわかるまでのあいだ、学校の屋上のプールが目の前に浮かんでいた。唐突にプールが来ておかしかった。

夕方、バッテリーをはめ忘れた自転車で子どもを迎えに行った。こうなるとただの重たい自転車だ。子どもを乗せたらもっと重かった。

幼稚園の帰りにたこやきを買う、とわたしに約束をとりつけたのを、子どもはしっかり覚えていた。OK、たこやき屋に寄っていこう。たのしい帰り道。
……子ども、自転車の後ろのシートで歌っていたのに、途中で声が途切れてしまった。信号待ちのとき振り返って見たら、今まで見たことないくらい厳しいしかめっ面をした彼がいたから吹き出してしまった。

「もしかして、眠いけどたこやきのためにがんばって起きてるの?」
「(うなずく)」
「寝ちゃってもたこやき屋さん着いたら起こしてあげるよ」
「……」

というやりとりがあった。子どもは何度か眠りに連れて行かれそうになったものの、なんやかんやで買って帰ったたこやきに無事、ありつくことができていた。よかった。食べたいものあるときに寝ちゃうのはかなしいもんだからね。

12月4日(土)

朝さいしょに思ったことは首が痛い、だった。寝違えていた。なぜ人は首を寝違えるのか? 朝からあんまりな痛みにくじけてしばらくの間布団に倒れたままで過ごした。寝坊して居間に出ると夫と子どもはハムとチーズをのせて焼いたおそろいのパンを食べていた。

子どもを誘ってじっくりと長風呂に浸かった。ぬるい湯に身体をひたして子どもの要求のままに遊んでいるうちに首の痛みが少しやわらいだ…ような気もした。

今日の仕事先でのポーズは背すじをぴんと伸ばして座って片手を頭の上にあげるやつだった(美術モデルの仕事をしている)。よい姿勢が痛めた首の回復にはかえってよかったみたいだ。帰るときにはずいぶん改善していた。

午後8時に家に帰ると子どもはもう眠っていた。夫があたたかい部屋に横たえてくれていた。
子どもが寝ている→チャンス!ということで、「手づくりのクリスマスプレゼント」をもくもくと作った。こっそり作って幼稚園に提出すると、クリスマス会のときにいい感じの演出で子どもに渡してくれるのだそうだ。いいじゃん。
羊毛にひたすら針を刺しつづけて手のひらサイズのぬいぐるみが形になったのは午前2時のことだった。正気の沙汰でないサタデーナイトを過ごしているな。

完成品を隠してから
「やりきった…」
と言って子どもの横に倒れこんだ。

ものをつくるのは楽しかった。

12月5日(日)

子どもを近所の銭湯に誘い出した。先週とてもよい温泉施設に連れて行ってしまったので今日の銭湯では規模のちがいにしょんぼりしてしまったようだった。お湯も今日はとくべつ「熱い日」で(揺らぎがある)、子どもにはきびしすぎたのか、ほとんど湯舟につかろうとしなかった。そのうえ水風呂では遊ぶので、温まりに来たはずが冷えて帰るような結果になった。わたしだけぽかぽかで悪いねえ、という感じだった。

帰り道に焼き鳥を買って食べたのは楽しかったんじゃないかと思う。

12月6日(月)

昼ごはんをカフェ&ミールMUJIで食べた。あいかわらずおいしくて何なんだ? と思った。というのも、選べるおかずは「レバーとこんにゃくのなんだか」とか「なんかの豆腐和え」とか、ふだんならお店でお金払って食べる感じじゃないかなっていう全体的に茶色っぽい組み合わせなんだけど、これがハッとするうまさなのだ。ランチ、今日はこれが唯一の正解だった。カフェ&ミールMUJIしか食べたくない胃の日ってある。

12月7日(火)

仕事でむちゃなポーズをとって(美術モデルの仕事をしている)脚を傷めた。なんだか今日のわたしは思考だけぷかぷか浮いているようで何をしても現実味がなかった。それはそれで楽しいっちゃ楽しい状態なんだけど、わたしの身体はもろに現実の生身なので、精神の高揚のままにジョジョ立ちなんかしたら当然しっかり傷んだ。

夜ごはんにはレンコンのすりおろし&角切りをタネに混ぜ込んだ豚つくねを焼いた。明らかにレンコンのおかげで数ランク上のうまさに仕上がっていたのでわたしも夫も感動して食べた(子どもは夕飯前に寝てしまった)。しかしこれは複数のレシピを参考程度にチラ見して適当に作った結果の産物なので二度と同じ味は再現できない。その旨伝えると夫は「ええー……」と言った。サヨナラ、一期一会の豚つくね。

布団に入ってあたたまると待っていましたとばかり、脚の痛みが腰まで上がってきた。ずきずき痛んでうまく眠れない。

12月8日(水)

しっかりとした雨のなか、子どもは夫に連れられて幼稚園へ。わたしは仕事のために立川へ。

電車は雨によりどこの路線も遅延していた。あ、遅刻するかなって思った。でも遅れて来た電車にタイミングよく乗れることが重なって、かえって乗換案内より数分早く到着した。乗り換えアタック大成功の回。

仕事のあと立川の駅ビルをうろついて、立川にはなんでもあるなあと思った。この世のすべて(のチェーン店)をここに置いたのか? という、なんでもあるっぷり。
ユニクロ無印は当然あるでしょ(ある)、スタバもあるでしょ(ある)、えっ、スタバと同じフロアにタリーズが?!(ある)、成城石井も(ある)、じゃあカルディ(ある)、ダイソーもセリアも(ある)、ユザワヤはどうだ!(ある)…
ないものを探すほうがむずかしいかもしれない立川駅周辺。そのうえ徒歩圏内にIKEAとららぽーと、巨大な公園まである(昭和国立記念公園)なんて、すごすぎる。立川は最強都市なのでは?

自宅の最寄駅に戻ったら立川との対比に目がびっくりした。立川とくらべたらなんもないみたいな駅前だ。落ち着くけど、あわよくばカルディができてくれたらうれしいなとは思っている。

12月9日(木)

冬は寒いなあとうんざりしていた朝、ふと「ハクキンカイロ」のことを思い出した。

https://hakukin.co.jp/

タンスの中で数年眠らせていたものを探し出しオイルを入れて点火してみたところ、カイロはしっかりあたたかくなった。洋服の中に腰に当たるように仕込んで出かけたら今日はずっとわたしの腰がオアシスだった。いいなあ、あったかいっていいなあ。こんなの、生活の質が向上してしまう。

ハクキンカイロは一度点火したら24時間(かそれ以上)あたたかいままでいてくれるので、お出かけ時だけじゃなく寝るときにも使えてよい。
この冬はハクキンカイロでいきます。

12月10日(金)

朝、子どもの手を引いて玄関を出るなり、建物の隙間からのぞく並木の紅葉が目に眩しかった。ソメイヨシノ、ほとんどは落葉してしまって、かろうじて枝に残っている少ない葉はもれなく鮮やかに色づいている。

その並木道を子どもを乗せた自転車で走る。子どもが歌う即興の歌は風に流されてうまく聞こえない。わたしはその歌詞を知りたいと思う。

今日は仕事がないから、子どもを園に送ったあとはまっすぐにカフェに入店した。その流れには無駄な動きが一切ない。平日の午前中にカフェで過ごす時間をわたしはこよなく愛している。

カフェの近くで葉付きにんじんを見つけて買った。その葉付きにんじんを使って夜はとくべつおいしいカレーを作った。

にんじんの葉っぱまで使うカレー。おいしい。
もとは飛田和緒さんのレシピだったと思われる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?