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text:蛍光色とモノトーンのクラブミュージックと、ある光

https://note.mu/amcd_grfk/n/nb1d9a8425a14

光とは(音と同じように)波動であり、色は光の反射によって視認される。

CDを通してグラフィックデザインというものを初めて意識し興味を持った自分としては、(聴こえかた/見えかたに影響しあいながら)音とマリアージュしたデザインというのは1番ラディカルなものだし、やり甲斐がある仕事でもある。特にクラブミュージック系は、夜遊びとデザインが日常の中で両立していた。仕事で徹夜するのに原稿や素材が届かない時は、そのままクラブに遊びに行って、明け方にオフィスに戻り入稿作業したり。

クラブミュージックのCDはアンダーワールドでもない限りは製造のロット数もバジェットも多くなく、インストもよくあるからリリックの世界観にも頼りずらいが、寧ろ効果的で享楽的(ストイックさも含む)なエルゴノミクスで出来ている音楽なので、オブジェクトより先に届きやすい蛍光色(光)を使ったり。

ここ数年、このジャンルのデザイン依頼が減った、というか配信が主流になったことで、わざわざCDにプレスすること自体が減少傾向なんだろう(風営法の問題やCDが全体的に売れなかろうが、クラブミュージック自体が盛り下がる事はない)。

パッケージの減ったさびしさもある一方、ネットからDLした音源についてくる(モニターで見るためのアイコンとしての)ジャケ写のほうに、寧ろこの手の音楽のリアルさとメディア(光学的にも、ツールとしても)と理想的なマリアージュと、この時代ならではの複合的エルゴノミクスを感じてしまう今日この頃。数々のCDを手掛けた、とある著名なデザイナーの方が「打倒、ダウンロード!」と言ってたが、音楽とCDのデザインを通して時代に関わってきた立場のひとが、そこを否定する方向ってどーなんだろ?と思うけど。



【蛍光グリーン】

AGF/DELAY: Symptoms

デジタルアート界の才女AGFと、ルオモ、ウージタロー名義、そしてMoritz von Oswald Trioでも活躍するV・ディレイによるコラボ2作目。硬質なリズムとヴォイスの組み合わせにハッとさせられる。http://www.youtube.com/watch?v=xO7LwWncJaE

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ここではアーティーな画像(先に映像ありき)のモノクロを引き立てつつ、キンキーな音の要素にも併せて蛍光グリーンを。オビの裏(内)側にも傾向グリーンを使い、ケースからほのかに反射しているかんじ。


【蛍光ピンク】

PINK COMPUTER: So 80's

GEYSTER 〜NIGHT SHIFT等数々のユニットにて注目されるガエル・ベンヤミンが80sオタクのシリル・グラネットと組んだユニット。フレンチエレクトロと80sロックのマリアージュ。

http://www.youtube.com/watch?v=4YoVQQWTJRU
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名前からしてもうわかりやすく、ガジェットとポルノってことで享楽的にピンクを。人差し指のクリックの行方はいずこ。今見ると、デザインちょいおとなしいかも…

【ブラック】

GLIMPSE: Black Collection

リッチー・ホーティン、ロラン・ガルニエ、リカルド・ヴィラロボスやルチアーノらが、そして名門[kompakt]もプッシュしてきた『% of Black(『20%』からはじまるシリーズ)』シリーズのワンパッケージ化。各12インチと同じく、もちろんブラック一色のみのデザイン。

http://www.youtube.com/watch?v=RcaPBiDktGg

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ケース左脇はブラックの濃度のカラーチャート表にもなっている。ストイックな音像に編み込まれたテクスチャを、単色と文字組で。

※ちなみに「glimpse」という名前には「ちらりと見える/朧気な感知」という意味もある

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