サイダーに溶ける白と、赤いランドマーク -純喫茶とクリームソーダ編-
純喫茶といえば、
皆さんなにを思い浮かべますか。
ぷかぷか浮かぶタバコの煙と匂い。
薄暗く、どこか懐かしい内装。
水槽のなかで当てもなく散歩する金魚。
濃いめのコーヒー。
気持ちばかりのホイップが添えられた硬めのプリン。レモンが強く顔を歪めるほど酸っぱいレスカ。
純喫茶に在る、
それぞれの物語や背景がとてもすきです。
旅行した際には、その街の純喫茶に2軒以上訪れるようにしています。
擦り減って文字が見えなくなった信号の押しボタンや、路地裏の奔放に育った植木鉢のアロエみたいな。
日常や生活に、触れる
街、ならではの、習慣や、日常に触れる。
その一つが純喫茶だと思っています。
レトロ、古き良き、では収まらないような、
日常や生活に、そっと触れて。
銭湯に惹かれるのもその日常が詰まってる場所だから、ですかね。
私が純喫茶で必ず頼むのが
“クリームソーダ”
です。
今ではアイスクリームをひと舐めしただけで、どのメーカーのどのアイスを使用しているか即座に判断出来るという能力を身につけました。
もはやSPEC。世界線に感謝します。
懐かしさ?
なんだかクリームソーダって、急に懐かしくなりませんか。ドラえもんのマシーンに乗ってタイムスリップしてしまったみたいな。
小学校から帰る途中に寄り道した、腰の曲がった白髪のおばあちゃんがいる駄菓子屋さん。色とりどりのゼリーや水飴、選ぶ色は決まってる。それはそれは甘ったるくて、それでも幼かった私の口には刺激的な甘さでした。
クリームソーダの泡にはその記憶が全て含まれているようで、なんだか懐かしくて切なくなってしまいますね。
クリームソーダといえば、「インスタ映え〜!」「映え映え〜!」とIKKOに変身してしまった画面の目の前の皆様。ありがとうございます。
映え、それは決して間違ってはいないのですが、といいつつ見た目が可愛いということは本当に大切なことですからね。
私自身、恋人の顔面が好きすぎて、もうすぐ付き合って3年近くになりますが、本当に飽きません。まいにち尊いです。眼福です。ありがとうございますです。です。
それはさておき、
白と色が混ざる
見た目の可愛さに続いて魅力的なのが、アイスクリームとソーダ水が混ざる境目の神秘さですね。
小中学生の時、よく図工や美術の授業で水彩絵の具、使いましたよね。筆を洗うバケツで、白と、水色、緑色、紫色が混ざる、あの瞬間です。
あの、なんとも言えない、かたちのない水が、蝶の触角ような綺麗な曲線を描いて、色と色が混ざり合い溶け合う瞬間。あれは神秘以外の何者でもないと思います。
かたちのないものが可視化された瞬間って、愛おしくて、それでもどこか果てを知ってしまったようで複雑な気もしますよね。
クリームソーダの持つ懐かしさは、そこにもあると思います。
私が作ったクリームソーダの最高傑作。こちらになります〜。ご査収を。
ソーダ水の可視化
グラスの形!これもまたお店によって、個性が出てくるポイントなんですね〜
すっきりとしたワイングラス、口の窄まったゴブレット、金魚鉢のようなひらひらとした装飾のある丸いグラス、など、本当に様々。
グラスによってソーダ水の輪郭が可視化されて、露わになって、なんだか官能的です。
そこに混ざっていくアイスクリームの白が、またまた綺麗なのです…。
さいごに
純喫茶といえば、古臭い、煙草ぷかぷか、などあまり良いイメージのない人も少なくない気がします。
でもね、純喫茶には、長いあいだ街の中で在り続けただけの理由が、宝石みたいに沢山あるんです。
壁に染み付いた煙草の染みや、成長しすぎてしまった金魚、有名人が来店した際に撮ったもう随分と色褪せてしまった写真。
知らない街で、タイムスリップしてしまったみたいに、迷い込んでみてください。
そこで提供されるクリームソーダは、いつ何時でもきらきらと輝いてとびっきりの甘さと癒しを貴方に与えてくれるはずです。
時間を超えて、場所を超えて、クリームソーダは在り続けているんです。
なんだかとても、尊くて愛おしくなってきませんか。甘くてたまらないソーダ水、その上さらに甘いアイスクリームを乗せるといういわば禁断のような合わせ技を、私が生まれるずっとずっと前から人たちは愛して、変わらず今も愛されている。
そんな人々の生活に、日常に、触れて溶け込んで、私たちもアイスクリームみたいになっちゃいましょうよ。
次回はおうちでも出来る、クリームソーダの作り方、レシピついて紹介していきます。ぜひに!
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