to be continued

げん‐じつ【現実】

いま目の前に事実として現れている事柄や状態。「夢と現実」「現実を直視する」「現実に起きてしまった事故」⇔理想。

現実という言葉が嫌いだ。こいつの後には大抵ネガティブな意味合いを持つ言葉がくっつく。「現実を見なよ」「現実なんてそんなもん」と、夢を見ているものを無理矢理起こすようでとても寂しい気持ちになる。わたしはわたしの現実がつまらない。この田舎に生きて、起きて仕事に行って、帰ってきて犬と遊んで、ご飯を食べて夜更かししないようにさっさと寝る。コレを週に6回。朝起きたら職場が無くなってればいいのにと思うのは週に4回くらい。数少ない地元の友達はみんな子供を産んで遠くへ行ってしまった。それでなくとも仕事で忙しそうだ。子供を持つこともなく、身を削って働くでもないわたしは中途半端な30過ぎのおんなだ。これがわたしの現実。犬が可愛くてリビングの窓から入る光が大好きなだけの人間。時々嫌なことが起きる程度で平坦な道が続くように見える。しかしここ数年は違った。久々にアイドルに熱を上げ、全国各地追いかけて回った。新しい友達もたくさんできた。自分の世界が広がっていく実感があった。夢かもしれないとすら思うほど楽しかった。仕事も頑張れたし犬はいつもよりも可愛く見えた。ずっとそれが続けばいいと思っていた。しかし、WORLDISTAオーラスで発表された次のアルバム“STORY”のテーマは「現実のSTORY」。やめて。わたしの目を覚さないでお願い。ずっとこの楽しい夢の中にいさせて。私はあなた達が見せてくれる夢を追いかけて生きてきたのに。なんだかとても苦しかった。その後無事にSTORYオーラスを迎えるまでに丸二年の時間を要し、その時点では想像もできないほど大変なことが待ち受けているとも知らない私は、可愛らしくしょぼしょぼしていたものだった。

大変な2年間だった。何が大変だったのかもうよくわからないけど、よく泣いた2年間だったと思う。直近1年間は特に。2021年春にやっと幕を開けたNEWS STORY2020も、私の公演は一度日程が変わっている。WORLDISTAオーラス以来、まる2年ぶりに会うNEWSだった。人事異動があったので最後に会った時と形は違っていたけど、そこに間違いなくNEWSはいた。初めてNEWSに会ったツアーがNEVERLANDなのでその時の感動を超えるコンサートはきっとないだろうと思っていたが、STORYのそれはまた違う角度からのインパクトがあった。
頭ではわかっていた。今NEWSに会えなくてもきっといつか会える。今自分が動いてはいけない。大切なものを守るためにここに留まるべき。何度もそう言い聞かせて自分の気持ちを封じ込めていたつもりでいたが、そんなのは増田さんの歌い出し第一声でぶっ飛んでしまった。足元から少しずつ満たされてくる感覚、聞き覚えのある世界で一番大好きな歌声を浴びるこの瞬間、ステージの上で増田さんを探すこの一瞬さえも愛おしかった。ああ!わたし増田さんが大好きなんだった!忘れていたつもりは無いが、純粋に自分の細胞が思い出したようだった。
メガネとフェイスシールドと涙で視界が中々の悪さだったのも気にならなかった。私たちの声を直接届けることは出来なかったけど、私たちの気持ちは全てお見通しのようだった。人事の影響で増田さんの歌割はめちゃくちゃ増えた。増田さんが2人いないと無理、ってところはシゲに割り振られることが多いようだった。それにしたって、近年のシングルでも相当な精神力を必要とする生きろの後アルバム収録曲を歌って踊り、ほぼ歌いっぱなしになったU R not aloneを全力で歌った後に自分のソロを持って来たのは本当にすごいと思った。どう考えても前半イチの山場だったと思う。挑戦とも自信とも意地とも取れるこのセットリストに心打たれた。
NEVERLANDの現場には何度も足を運んだし、映像作品も相当見てきたはずなのに4年ぶりのSilent Loveにやられた。本当にやられた。刺されたし撃たれたし、なんなら押し倒された!楽曲を丁寧に歌い継ぐ姿勢が好きだと言いたいのに本能がそうはさせない。出た出た、増田担名物メスの本能炸裂の時間よ〜〜〜!!主語がデカくて申し訳〜〜〜!!しかしそんな気持ちもいつ振りなんだろうか。割と物おじせずに突っ走るタイプの自分が、この1年間無意識に自担への気持ちにブレーキを踏んでいた。好きでいる事が辛かったのもあると思う。どんなに願っても今まで通りに会うことが許されないアイドルを粛々と愛せるほど私は丈夫ではなかったらしい。だけどもう見てしまった。心のブレーキなど何の役にも立たぬ。目の前にある自担の腰に五感全てを注ぎ込むべし。そこに涙も愛も要らぬ。今目の前で繰り広げられているダンスが全てだ。刮目せよ!Don't miss it!!!
Dragonismがセトリ入りしてあまりにもこのコンサートは出来すぎていると思った。完璧だ、非の打ち所がない。もっと完璧だったのはこの青い衣装だった。訳がわからないくらい好きなのだが、衣装の話は夏まで取っておこうと思う。私は夏の夜に装苑と睨めっこしながらブログを書くのが好きだから。
何を差し置いても大好きな夜よ踊れがアップデートされた。増田さんは激務になった。本来のパートでもコロコロと声の表情が変わる曲だと思っていたが、今回任された「微笑みのマリアに〜」はあまりにも馴染んでいると思った。元々増田さんのために書かれたパートだったか…?いや違う、ここは我らがディーバ、テゴちゃんの見せ場だったはずなのに。あまりにもドラマティックな増田さんの微笑みのマリアは、そのガラ空きの胸元とそのあと見せる不敵な笑みを総括するとずいぶんと俗世寄りで色っぽいマリアだと思った。さっきまで舌ったらずに「シゲとぉー、こやまとぉー、ずっと一緒に歌っていたい♡」と言ってたまっすーを返して欲しい。うそ。積極的に振り回されたい。まっすーも増田さんも丸ごと飲み込めるから大丈夫、もっとやって。
2020年春、最初のSTORY延期が決まった頃はいつもクローバーを聞いて泣いてた。コンサートに行きたくて行きたくて、コンサートを大事にしてきた私たちが僕らの愛したココに集まれないことを受け入れきれなくて、NEWSに会いたくてずっと泣いてた。いつしかわたしは僕らの愛したココを目指すようになっていたと思う。NEWSが伝えたいことはコンサートに詰まっているし、私たちの声を聞いてもらえるのもコンサートだと思っていたし、お互いのそんな気持ちを今!伝えさせてよ!という場面がこの1年間で何度かあった。そんな気持ちを全部クローバーに託していた。だからクローバーを初めて聞いた時、やっと会えた…という安堵の涙が溢れた。ずっとずっとクローバーに会いたかったんだよって。やっと僕らの愛したココに来れたねって思ったら涙が止まらなかったんだけど、自パート終わりに増田さんが全部わかったような顔して優しく大きく頷くから、全部受け止めてくれたような気になってしまった。わかってるし、多分、というか絶対増田さんも大変だったと思うからお互い大変だったけど大丈夫だよね、またここに戻ってこようねって言ってるみたいでたまらなかったな。まだまだわたしのこと好きにさせるつもりなんだろうな。
見覚えのある、なんなら全部持ってるお馴染みの生地が三角に切り取られたガウンで出てきたNEWSは、この4部作の総仕上げに取り掛かる。全てを見てきた私の記憶は否が応でも引き出される。あの年、初めて増田さんを見たのは後ろ姿だった。NEVERLAND真駒内初日、歌い出しはマイクが入らなくてヒヤッとしたことを増田さんの後ろ姿を眺めながら思い出していた。EPCOTIA開演前のライトとわたしは相性が良くて、開演前に鏡をチェックするととても顔色がよく見えることを思い出した。なぜかEPCOTIAは福岡の思い出が強くて、また福岡に行きたいなあとぼんやり考えていた。WORLDISTAのOP、水の演出が大好きだった。どうしたってシゲばかり見てしまうOPだったなあと思いながら、やっぱりシゲを眺めてた。3人で向かい合って歌う最後のSTORYは、OPとは別の表情に見えるほど力強いものだった。まるで何かを再確認するような、お互いの力を信じてスクラムを組むような力の強さ。あぁ、どうしてここに間に合わなかったのだろうとひと回り小さな背中を探す。私がどうして?なんで?と問いたところで答えは一生出ないのはわかっているけど、そこに居ないのが何だか悔しくてたまらなかった。でも、何に怒ればいいのかもわからなくなっていた。
この4年分をつぎはぎした服を着て歌うNEW STORYはあまりにも湿っぽくて重くて笑えてくる。うそ。笑う余裕なんてなかった。バカ泣きした。あまりにも歌詞がマッチしすぎて心配になるほどだったけど、等身大の増田貴久としてNEW STORYを歌っているんだろうなとわかってしまう。説得力がありすぎる。だけどもう頼むから、これ以上増田さんを運命の悪戯で傷付けないでほしい。これはもう神様じゃなくてシゲと小山さんにお願いするべきなのかもしれない。勿論2人も大変だったのは分かってるんだけど、増田担のわがままとして聞いていただけたら嬉しい。ずっと増田さんと一緒に歌ってあげてください。増田さんはNEWSが大好きで大切なので。歌えなくなっても踊れなくなってもどんな形になってもいいからNEWSでいてあげて欲しい。私だってそう願ってるけど、それ以上にもう増田さんが傷付かない世界であって欲しい。増田さんはきっと、この世界にNEWSのファンがいる限りNEWSで居ようとするし、わたしはきっとずっとNEWSのファンなので、つまり自担を縛り付けてしまうという事でもあるんだけど、どうか1日でも長くNEWSがアイドルでいてくれることを願う。

ついに物語は完結する。この5年間、間違いなく私の主軸の一つだったアルバムプロジェクトが幕を下ろし、現実の世界へ帰って行く。それと同時に覚めるこの夢の先が恐ろしくてたまらなかった。
ほんのりこの不安を思い出してきた頃、最後の挨拶でシゲは言う。このコンサートで出来上がった地図を持ってまた進もうと。そしてその先に見える景色が素晴らしいこと、それを一緒に見ようと。そうか。これは終わりじゃなくてプロローグ。長く丁寧に描かれた、この先もずっと続くであろうわたしのNEWS担人生の序章だったのかもしれない。きっとまだ大丈夫。夢が覚めてもNEWSは近くにいてくれる。現実の世界でも一緒に歩いてくれる。私たちまだこれからだ。旅はこれから始まっていくんだ!

久々に浴びた増田さんの声とまた離れ離れになるのはとても辛かった。また自分の中の増田貯金がなくなって干からびてしまうのも嫌だったし、もう心にブレーキはかけたくない。だけど、このコンサートを締め括る増田さんの「ずっとこの仕事を続けていきたい。NEWSで。」の言葉でそんな不安は吹き飛んでいってしまう。不安要素だらけのこの世界で信じられるのは自担の言葉だけ。私が願わなくたって、きっと増田さんは出来る限りステージに立ってくれると信じているのだけど、そこはわたしにも同じ夢を見させて欲しい。増田さんが立ちたいと願う限りステージに立ち続けて欲しい。そしてできる限りその姿をこの目に焼き付けたい。また、僕らの愛したここで会おう。そしてもっともっとたくさんの景色を見に行こう。どこにでも連れて行くからどこにでも連れてって欲しい。ずっと一緒にいようね。これがわたしの夢だよ。