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混じり混ざって。


今年に入って兄との何気ない会話から私はクォーターであると知った。
数年前に亡くなった父方の祖父が韓国人らしい。

元々この父方の祖父、私にとっては謎多き人物だった。
一緒に暮らしていなかったし祖母に比べ寡黙で昔ながらの価値観(男尊女卑!)の人で私より兄を気にかけていたのを幼いながら感じていたし、でも全く無関心という訳ではなく唐突に私の乳児期の頃について話し出したり、たまに会ってもなにを話したらいいか分からなくて近寄りがたかった。

母から聞いた話ではまだ第二次世界大戦が始まる前、韓国にいた祖父は長男で弟たちを養うために自ら日本に働きに出てきたらしい。
祖母と結婚後原因は不明だが飲んだくれのアルコール依存症になり、ツケを払わず、行方知れずになる、治療施設に入るなど家族に迷惑をかけたらしい。


祖父のルーツを知った時ふと思い出したのは前に読んだ中脇初枝さんの「世界の果てのこどもたち」だった。

第二次世界大戦終戦間際、満州の開拓団民として暮らす珠子、朝鮮人の美子、横浜から来た茉莉は仲良くなり楽しく記憶に残る時間を過ごすも終戦と前後してバラバラになる。

日本は敗戦国となり
現代まで登場人物たちにはいくつもの困難や別れや試練が訪れる。
珠子は引き上げ途中で残留孤児となり中国人夫妻の養子となる。
美子は日本語が話せない、読み書きできない母や父と差別や祖国の分断と戦う。
空襲で家族の大半を亡くした茉莉は祖母と暮らすもや貧困、孤児となり生き残った苦労を味わいながら、皆大人になる。

作中には様々な人種が存在する。
敵国だったアメリカ兵にも家族がおり母国の歌を歌う茉莉の歌声を涙する。
日本人の子どもだろうと優しく、時に庇い、守ってくれる中国人もいれば
日本人同士で物を奪い合い子どもだろうと容赦なく弾き出す。日本語を操れない韓国人の美子の母は大きな逞しく優しい心で自分たちを騙した日本人を許す。 
戦争が人間にもたらす心への影。


読み終わった時、この世に国境なんてない、なければいいのにって思えた。
どの国の人間にも心がり家族がおり互いを思いやれる人がいることの希望を感じる。

日本人だから、朝鮮人だから、中国人だからというの括りで人を判断したり蔑んだり下に見るのは、なんだか、私は違和感を感じる。
アイデンティティとはその人たらしめるもの、であるけれども世界の果ての果てまで皆人間なのにね。
私は日本だけじゃなく韓国の血が入ってることを嬉しく思っている、

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