思い出の中で生きるようになる。

当たり前だが、年を取れば、思い出が増える。
そして、四十歳を超えたあたりから、これまた、当然だが、これまでの人生とこれからの人生では、後者の方が少ないことを自覚する。

つまり、これまでに見聞したことと、これから見聞することでは理論的、科学的に考えても、後者が少ない、と納得する。
また、気力の衰えもあって、外出、冒険もやらなくなる。目から入る情報は、家の周りの風景が変わることぐらいになる。

それでどうするか? いや、どうなるかだが、
人は思い出の中で生きるようになる。
小学校の時の悪行、中学校の時に好きだった人のこと、そんなことを考えて過ごすようになる。

はたから見れば、徐々に呆けはじめた老人だ。
でも、本人はご満悦で、特段、意欲をもってなにかに取り掛かろうとしないで死期を待つ。

以上が、最近の自分を観察して、分かったことである。