第1話 2022.6.24

「やべー、転職することにしたんだけど、アホほど不安でやべー。つーか、明日から会社行くのがマジで怖い」
「でも、アンタが自分で決めたんでしょ?なら腹くくんなよ」
「いや、そりゃそーなんだけどさ。決断って常に不安と隣り合わせっていうか」
「うわー、女々しい奴」
「うるせーよ。お前も転職してみろ」
「するわけないでしょ。アタシ、安定志向なんで」
「なら、あーだこーだ言うなっての」
「なら、アタシに話振らないでくれる?あ、もしかして、励まして欲しかったの?新しいことを始めるのって不安だよね、でもそうやって、一歩踏み出せるって凄く勇気がいるんだよ?アンタはえらい!みたいな?」
「お前に話した俺がバカだったよ」
「あ、図星?」
「うっせ。はー、ホント何でお前に話しちゃったんだ。てか何で転職なんて決めたんだか」
「後悔してんの?」
「少し」
「なら残れば?」
「それはヤダ」
「なら進むしかないじゃん」
「つってもなー」
「しょうがない、1つ良いこと教えてあげよっか。何が正解かなんて誰にも分かんないもんでしょ?だから自分の選択が正解になるよう、頑張るしかないんだよ」
「......いや、あの、急に正論言うのやめてくんない?」
「でも事実でしょ?」
「かもだけど、言うならスッと言ってくれ、スッと。前半のダメージがまだ癒えてないんだよ俺は」
「ま、新しい会社行ったら、最初はうまくいかないだろうし、メンタル強化の一環だと思ってよ」
「思えるか」


物語にすると、自分の中に存在する誰かに打ち明けてみると、少しだけ気持ちが軽くなる。
だから、中3の頃から僕は、物語に自分の理想を描くようになった。
作家になって誰かを楽しませたいとかじゃなくて、自分が救われる為に。

この物語は、存在しない『キミ』との日々を夢見た僕が描く、空想の話。


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