第2話 2022.6.24②

「平和な世界を実現する為には、どうしたら良いんだろうな」
「急にどーしたの?」
「ふと思って」
「ふと思う内容じゃなくない?」
「で、どうしたら良い?」
「さー?そんなの、どっかの政治家とか国連の人が考えることじゃない?」
「うわー、ないわー。ホントない。生きとし生きるひとりの人類として、そりゃないよ」
「じゃー、アンタはどーしたら良いと思うわけ?」
「分からん」
「はー?」
「だから聞いたんだっての」
「アンタもアタシと一緒じゃん」
「俺は違うよ。考えなきゃとは思ってる」
「小学生か」
「てか思うんだよ。もしかして、平和な世界の実現って、一人ひとりが、どーすれば平和になるか考えられる世界なんじゃないかって。みんなが平和を想えば、誰かを傷つけようなんて誰も思わないだろ?平和へのカギはいつだって、俺たちの心にあるんだよ」
「.......は?」
「いや何その反応?」
「いや何かイラッとして」
「いや何でだよ」
「良いこと言った俺カッコ良くない?感がウザくて。アタシの心が平和じゃなくなってたわ」
「平和について語ったら平和じゃなくなるって、どーゆうことだよ」
「平和ってむずかしいね」
「何だその結論」
「でもさー、アタシ思うんだよね。平和平和言ってる奴だって、きっと1番大切なのは自分なんじゃないかって。相手の為に動いてる自分を誇りに思ってるだけ。所詮は自己満足。承認欲求を満たそうとしてるだけ」
「かもしれないけど、平和に向けて行動しようとしてんのは事実だろ?」
「そーだね。でもさ、じゃあその平和って、そんなに大事なこと?」
「何が言いたいんだよ?」
「アタシもアンタもさ、いつかは死ぬじゃん?」
「だろーな」
「結局必要なのはさ、生きてる間の平和だけなんだよ。それさえあれば、少なくともアタシ達の中では平和は完成する。それ以上のことを求めるってのはさ、結局名声が欲しいようにすら思えるんだよね。純粋に後世まで平和にしたいなんて思う奴は、ただ人生を平和にするゲームをクリアしようとしてるだけだと思うしさ」
「まー、分からんでもないけど。で、結局何が言いたいんだよ?答えが見えてこない」
「世界を平和にする必要なんてないってことよ」
「何だそれ」
「じゃー、アンタは本気で世界を平和にしたいわけ?」
「.....いや」
「ほら?」
「いやでも、平和な方が良いとは思ってる」
「方が良いってだけでしょ。自分の貴重な時間削って実現しようとは思わないでしょ?」
「まー、確かに」
「みんなさ、子供の頃に習った教育の影響受け過ぎなんだよ。世界は平和な方が良い、友達は大切にした方が良い、人の役に立つ人間になった方が良い。確かにそういう一面もあるかもしれない。でも本当の自分の意志を大事にしたほうが、人生って楽しいんじゃないかってアタシは思うんだよね」
「語ったな」
「それほどでも」
「いや褒めてはないから」
「だからさ、自分を押し殺す必要なんてない。やりたいように生きれば良い。他人の意見なんて気にしなくて良い。だから、アタシはアンタの転職も悪くないって思ってる。アンタが自分で決めて自分で行動したんだから」
「......な、なんか、ありがと」
「どういたしまして。じゃ、スタバ奢ってね」
「いや図々しい!何でだよ」
「自分貫いた方が人生楽しいって言ったでしょ?」
「俺が損してるわバカタレ」

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