第4話 2022.7.18

「俺には諦めた夢がある」
「へー、どんな?」
「理学療法士になって、たくさんの人の笑顔を作ること」
「へー、すごいすごい。頑張れ頑張れ」
「......何だよその反応?」
「え、なんか悪いこと言った私?」
「いや言ってないけど、なんか引っかかったから」
「何で?」
「いや何でって.....」
「誉めて欲しかったの?偉いねーって。夢追いかけるキミ凄いねーって」
「バカにしてるだろお前」
「してなくもない」
「してんのかよ」
「でも夢って、そーいうもんでしょ?バカにされたくらいで諦めるくらいなら、夢じゃないよそんなの」
「まー、そうだろうけどさ......」
「他人から背中押して貰わないと前に進めないんなら、きっとその夢は一生叶わない。だって、自分の夢なんだから。自分で叶えなきゃ」
「う.....なんて正論を言うんだお前」
「多分アンタはさ、自分を認めて欲しいだけなんだよ。自分は凄いって思われたいだけなんだよ。ただそれだけで、ただそれだから、誰の心も動かせない」
「.....あの、泣くよ?」
「泣いたら?」
「......いや、あの、ちょっとアタリ強くない?女の子の日ですか?」
「本気で言ってたら泣かしてあげるけど」
「あ、冗談です冗談。許してください。あ、でも」
「何?」
「さっき言った夢は冗談じゃないから」
「は?」
「信じてもらえないかもしれないけど、冗談にはしないから。絶対、いつか叶えて、俺の夢叶えてやったって、胸張って言うから。自分の人生に誇りを持って、俺の命にも意味があったって、胸張って言うから......だから、そんときは、俺と一緒に......泣いてくれよな」
「......何それw」
「あ、お前今、アホだと思ったろ?」
「エスパーか」
「思ったのかよ!」
「いや、アンタはアホだよ」
「....」

「だって、アンタに会ったときから、私の命には意味があったって、私は思ってるのにさ」

「は、何だそれ?」
「しーらない。帰って勉強でもしたら?アホなんだし」
「こんにゃろ、今に見てろよ。頬ヅラかかせてやっからな!」
「期待してるw」

どんな人生にも意味がある。
たとえ夢が叶わなくても。

この奇跡の時間がその証拠なのだから。

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