第百五十九夜 『銀の匙』
R社の社長と会食中、会社の売上の話になる。
「3ヶ月に一回ドンと入る感じで波がありますね。」
業態としては似たような企業だけに驚いた。
「似たようなものですね。最近、その波をどう平均値にするかに苦心しています。」
そう。アメリでも売上の偏りというのは一つの課題であった。
扱っている商品の特性上、単価が高いこともあり、偏ってしまうことはままあるのであるが、それを平準化しなくては安定した経営とは言えないだろう。
「やはり、ストック型のビジネスがほしいですよね。」
そう毎月定額が入ってくるストックビジネスは非常に魅力的である。
現在、株式会社アメリでもストックビジネスを画策中であるが、その収益が固定費を超えるまでにどれほどの期間がかかるだろうか。
ましてや大きな利益になるには正直、途方もない工程がある。
「何か考えているんですか。」
「他業種をやりたいなとも思っているんですよね。」
これは意外だった。生粋の営業マンの会社というイメージを持っていたので、現状の商品を扱うイメージがなかったからだ。
「他業種ですか。ITとかですかね。」
「いやいや。私たちにそんな分野への知識はないですよ。ストックではないですが飲食とかも考えていますが、一番は自社で不動産を所有したいなと考えてます。そこで賃料収入を得ていきたいなと。」
やはり毎月売上に追われるプレッシャーは共通のものなのであろう。
だからこそ、そこに光明が見えた気もした。
ストックビジネスを獲得しながら、狩猟型の売上の強化ができれば、企業は安定した母体を持ちながら拡大が可能である。
農耕型ビジネスと狩猟型ビジネスの両輪を回すこと。
これが当面必要な方向性になるのではと、少しお酒の入った頭で考えるのであった。
物語の続きはまた次の夜に…良い夢を。
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