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第百四十九夜『マルサの女』


「申告の提出期限間に合わないのですが、大丈夫でしょうか。」


この時期、お忙しい方が税理士さんへの提出書類が送れ申し訳なさそうに言う常套句である。


確定申告の期限は一般的に2月16日から3月15日までだと思われている。

しかし、この期限は全員が当てはまるものではないと言うことを意外と知らない人も多い。


「Kさんの場合は問題ないですよ。不動産の年間収支表はこちらで作るので、なるべくあ早く集めてくださいね。」


今年、初めて不動産の所得を申告するKさんは訝しんだように聞き返す。


「でも15日までではないんですか。」


「15日は所得税の支払い期日の兼ね合いでその日とされておりますが、今回の場合、Kさんは支払いではなく、還付を受けるので多少遅れても問題はございません。」


「それによる弊害はないんですか。」


「弊害ですか。強いて言うのであれば。」


少し考える。おそらくデメリットが一番わかりやすいのは損をすることであろう。

それを端的に伝える言葉を探す。


「還付金の入金が遅れることくらいですかね。早い方が還付金も早く入りますので、なるべく早く書類を準備して税理士先生に送りましょう。」


「そうですね。」


元気の良い返事を聞いて少し不安になる。

おそらくKさんは書類の収集にもう10日ほどかかるだろう。


「来週までにどこまで用意できそうですか。」


私自身がスケジュールを管理することとした。


懸命な読者諸君であれば、もう確定申告は済んでいることであろう。

万が一遅れてしまっていても還付であればお咎めはない。


しかし、もしも支払いなのであれば1日でも早い提出をお勧めする。


物語の続きはまた次の夜に…
良い夢を。

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