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授業を受けたような満足感!『すばらしき映画音楽たち』

ごきげんよう。雨宮はなです。
Amazonプライムビデオでジプシー的に映画観賞をしていると、「どうしてもっと早く鑑賞しなかったんだろう」「なぜこの作品に気を留めなかったんだろう」という素晴らしい作品に出会うことがあります。

これは立派なブックレットを付けたBlu-rayボックスが欲しくなります。

『すばらしき映画音楽たち』
監督:マット・シュレイダー
出演:すばらしき映画音楽関係者たち

私たちが楽しんでいる作品に音楽が使われているなんてわかりきったことですよ、と言えなくなります。
何も知らずに観ていたんだなぁ、と衝撃を受けます。
そして、何も知らずに観られるようにつくっている彼らの技術に感動します。

映像に合わせて音楽はつくられる

当たり前と言えば当たり前なのですが、まず撮影がされ、シーンが繋げられ、そのうえで音楽がのせられます。
つまり、この時点でまだ音楽はゼロ!
作曲家たちはセラピストよろしく、監督の意向を汲み取ってそれを曲に起こすのです。

不思議な感じを出したいから、南国の楽器を使って…
緊迫感を持たせたいから、弦楽器で引っ掻くような音を重ねて…

私たちがうっとりしたり、ハラハラするのに、音楽はかなり大きく作用していました。
「音楽が無いと全く怖くない」検証もされ、聴覚の重要さに気づけます。

視覚を操る聴覚

「90分程の映画を観る間にひとの目線2万1000回以上動きます」
「また、多くの人は“私は自分で見るものを決めている”と思っていますが、実は違います」
衝撃の発言を立て続けにされ、ショックを受けたあとは「なになに、どういうことなの」と前のめりで解説を聞きました。

音楽で視線は誘導できる、その方法の1つに画面上の特定の動きに音楽をマッチさせるというものがあるそうです。
『カールじいさんの空とぶ家』の1シーンを使いながら行われる解説に、なるほどなぁ、と単純に感心してしまいました。
そして、それほど綿密に計算した上で作られていることに気づき、なんとなくショックを受けたのでした。

途中に目のアップが映るシーンがあるのですが、あれはただの参考映像なのか、何かの作品の1シーンなのかが気になります。
ジェイク・ギレンホールの目元な気がしますが、合ってるんだろうか。

匠たちのエピソードと実際の仕事風景

次から次へと現れる映画音楽関係者たちに圧倒されつつ、ただ恐縮するのではなくワクワクして観続けられたのは彼らの「好き」と「誠実さ」が伝わってきたからでしょう。

エピソードトークや技法についての説明、見解を述べる様子はどれも楽しげで、でも大まじめなのです。
実際に作曲している現場にカメラが入ったり、オーケストラとの録音シーンが流れたりしますが、そのどれもがプロフェッショナルで自分の仕事への誇りに満ちています。
こんなに真剣に、楽しく、誇りを持って仕事をしてみたいものです。
そういられる仕事に出会いたいものです。

映画内に出てくる作品名、その数「(おそらく)170」!

数え間違えがなければ、この作品中に見かけた作品名は170でした。

新しく人物が登場すると、名前とどんな仕事をしているのかがテロップで紹介されます。
作曲家の場合は「作曲家」と書く代わりに、その人が担当した主な映画作品名が名前の下に紹介されます。
そのテロップで紹介されたもの、その他にトーク中に出てきた作品名を合わせると(おそらく)170作品がこの一本のドキュメンタリー作品の中で紹介されています。

…また観たい作品が増えてしまいました。
Amazonプライムビデオで配信されている作品があると助かるなぁ。

大学で授業を受けているような濃密な90分

この作品そのものがひとつの資料のような、まるで講義を受けているような、そんな満足感がありました。
これをベースに自分の見解や実際の鑑賞記録と所感を添えれば、簡単なレポートができあがるレベルです。

観終える頃には、過去に観た作品のあるシーンを思い出しながら思いを馳せることでしょう。
まだ観たことのない作品の音楽に期待が膨らむことでしょう。

しかし、きっと、そんなことを忘れて映画作品に没頭してしまうことでしょう。
彼らはプロフェッショナル。
印象に残ることはあっても、出しゃばって作品を乗っ取ってしまうことはないのです。

今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
それでは、ごきげんよう。

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