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日本のスタア・ムービーを観て思ったこと

ごきげんよう。雨宮はなです。
映画ナビさんのキャンペーンに当選し、招待状をいただきまして丸の内TOEIへ!とても大きなスクリーンでかの有名なシリーズ作品『宮本武蔵』から『巌流島の決斗』を観てきました。
今回は作品を観て思ったこと≠感想について語ります。

初心者に優しい設計だった

スケジュールの都合上、上映された5作品全てを観に行くことがかなわず、観られなかった作品はU-NEXTを利用し自宅鑑賞になりました。
私がスクリーンで観たのはシリーズの最終作だったため、作品についていけるかを心配していましたが心配御無用とはこのこと。
冒頭の数分を贅沢に使い、過去作品の映像も贅沢に使い、今までの宮本武蔵の歩みをしっかりと説明してくれました。

じゃあ本編が短すぎたり、冒頭のせいで長くなって疲れちゃうんじゃないかって心配も御無用。

本編は本編でちゃんと用意されていて、キャラクターたちそれぞれの物語と感情の動きがあり、役者それぞれに出番が見事に用意されていました。宮本武蔵を「先生」と慕う町民たちが生き生きしているのが印象的でした。彼らが一番好きかもしれません。

好きなキャラも嫌いなキャラもいない、不思議な空間

町民が一番好きかもしれないなんていっておいてなんですが、好きなキャラクターも嫌いなキャラクターもいない、不思議な空間だなぁと思いました。

私は普段、映画を観るときにあまり構成だのカメラワークだのを意識しません。わからないから、というのが大きな理由です。映画のつくりについては疎いのです(ただし『CATS』と『ウエストサイド・ストーリー』、あれは駄目だ)。

私が観るのは「人」、つまりキャラクターです。ドキュメンタリー映画でない限りそこにいるのは架空の人物であるにもかかわらず、「なんて思考回路だ」「あんな言動をとるなんて」と振り回される鑑賞スタイル(スタイル?)。そのため、どうしても減点方式で観てしまいがちになり「好きなキャラクター」はおろか、作品そのものを「苦手、嫌い」と言うことが多くあります。
それはきっと、キャラクターたちは実在の人物よろしくそこに写されているからなのだと今回の鑑賞で気づきました。私が『宮本武蔵』をなぜ楽しめたか。

それは「自分と全く関係のない人物と出来事だ」とわかりきっているからです。
生きている時代が全く違うし、剣の道にしか興味のない人間と関わる趣味は私にはまったくない。主人公やその周囲の人間に私の生活や価値観が脅かされることがないため、安心して「銀幕の中のこと」を楽しむことができたのでしょう。

最近は設定にも演技にも「リアリティ」や重要視されますし、私も注目しています。「そんな荒唐無稽なことあるはずがない」「大げさだ、棒読みだ」と、スクリーンの中に私たちは「現実」を求めるようになっています。
それがたとえ、魔法の世界であっても、人間が電車の上で踏ん張りながら鎖で引き留めたヘリコプターを逃がすまいとするようなアクションであっても。

派手なアクションや魔法は設定が現実的でない分、演技や「見え方」にリアリティを求められる気もします。
自分に対してもそうですが「スクリーンの中なんだから、あぁこうだったらいいなぁ、こんな目に遭わなくてよかったなぁ、をただ楽しめば良いのに」という気持ちになりました。

無性にワクワクする、それがスタア・ムービーだ

ハリウッドしかり、日本しかり、ある時代にはスタアシステムがあった。銀幕のスタアたちが「どうだ」と言わんばかりの設定やキャラクター、そしてビジュアルで客席の人々を喜ばせ、沸かせる…スタア・ムービーがあった。
今では「古いもの」とされ、スタアの名前が並んだリストからキャストを選ぶなんてことは無くなったらしいが、人々の心にそれぞれのスタアがいるのも求められやすい俳優がいるのも事実だ。
でも、いくら良い・人気の俳優たちが集まってもスタア・ムービーにはならない。これはなぜなのか。

それこそがスタアの力なのだと思う。スタア・ムービーにはなんだかこう、無性にワクワクする雰囲気がある。自宅のPCで観ても十分面白かったけど、スクリーンを前にやんややんやと気持ちを賑やかに観たくなる雰囲気がある。

今は「映像がきれいだから」「迫力があるから」「高音質を楽しんでほしいから」と映画館に行くことを薦める(「映画に没頭できるから」…これは周囲の観客の室による)。
でも、スタア・ムービーはそれらのどれでもないと思った。ただスクリーンにかじりつきたくなる、魅力どころか魔性のようなものを感じた。

さいごに

最後のトピックは興奮して文体が変わってしまいましたが、それだけスタア・ムービーの良さを感じた経験でした。今では廃れた文化だからこそ良く見えているということもあるのでしょう。全部がスタア・ムービーだったら胸焼けしてしまうでしょうし、かといって「はやりの人気俳優」や「アイドルの映画デビュー作」では物足りないのが事実です。

私はあまり映画も監督も役者も知りませんが、現在の日本に「スタア」と呼べる人はいないように感じています。
そもそも「スタア」と呼ぶ条件は何なのか…そんなことを考えながら今回の〆といたします。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
ではまた次の記事で。ごきげんよう。

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