ごきげんよう。雨宮はなです。

映画.comさんのキャンペーンに当選し、試写会で鑑賞させていただきました。
ありがとうございます！

作品について

春画をただ「エロいもの」と覚えていた人間にとって、この作品はまさしく先生になりえると思います。
前半は春画に触れる悦びが春画にあるブツよろしくハッキリと描かれ、段々とフェチズムに倒錯した男女たちの純愛が描かれます。

映画『春画先生』公式サイト

30秒版、60秒版の予告があるのですが、まさかのアダルト指定で外部には反映できず、youtubeで観るしかないそうです。

『春画先生』をみるとこうなる！

春画をみるように日々をみられるように

教科書的な導入があり、少し古くも感じる感覚を辿り、エッジを利かせた先にできる一枚の絵はどのようなものなんだろう。
この映画を観た後で、鑑賞した人の脳内に広がったそれぞれの春画を覗いてみたいと思った。
おもしろおかしく描いた人、なんだかよくわからんとぼんやりした線やモデルの人、退屈が目について殴り描きのようになった人。

セックスシーンだけではない、春画に描かれた様々なものは観る私たちの感性を豊かにしてくれる。
春画をみるように日々をみてみたら、フレームの中にある様々なものに気づけるようになるかもしれない。
そんなことを考えました。

ただ、一緒に観に行った知人からは「性的コメディとしては時代錯誤な感じがある」という意見もあがりましたので、振れ幅が広そうです。

役者に乾杯

役者たちが一人でも違ったら成立しなかったかもしれない、絶妙なバランスの上にある作品だと思いました！

内野さんは私たちをこの作品の世界に抱き込んで、
北さんが物語をぐいぐいひっぱっていき、
柄本さんがところどころでお茶を濁しながら、
安達さんがピリッとバシッと叩き起こしてくれる。

個人的なお気に入りは北さんが演じるヒロインの弓子です。
急に昭和に戻ったみたいな乙女感満開のｼﾞﾀﾊﾞﾀｷｬｰｯな演技をするシーンがあるんです。
それがすごく拗らせ処女っぽくて良い。
決して処女という設定ではないけど、拗らせている様子が非常にそれっぽい。

ベルばらの登場人物よろしく、彼女の周りにはすべての音が文字化して見えているんだろうなと思いました。
アニメのキャラクターがそのまま三次元に来たような。
オーバーにも見えるヒロインの理由は、彼女が「ヒロイン」だからなんだと勝手に納得しています。

監督によるティーチイン

監督が選ぶ一枚は喜多川歌麿の「歌枕 料亭の二階」

監督に質問できるコーナーがあったので、せっかくならと聞いたのが
「映画本編中に出てくる春画のなかで一枚選ぶなら？」でした。

人の肌の色に着色はなく、着物や髪の毛や背景などに色をつけて空間を埋め込んでいく方法で描かれたこの作品。
布の輔具合やたっぷりと垂れた感じ、そして色を塗っていない肌の滑らかな具合が素晴らしいとお話してくださいました。
言われないとわからなかったけど、いやほんとにすごい。

他にも、作品名こそわからないものの、海が描かれたものもお好きだそうです。

裏話がいっぱいで和気あいあい

春画先生を演じる内野聖陽さんがキャラづくりとして「パーマをかけたい」「ヒゲをはやしたい」と申し出てくれたそうです。
進行役の方が「ひょっとして監督に寄せようとしたのでは？」「春画先生は監督のアバター的な存在ということですか？」と質問され、会場は大いに盛り上がりました。

キャスティングにかんするお話もとくに隠すことなくしてくださいｍした。
ヒロインに北さんを選んだ理由は「芝居がうまそうで、気が強い演技がよさそうだと思ったから」だそうです。
また、安達祐実さんはシナリオをおくってから即答だったそうです。
「二度と出来ないかもしれない映画だ」と興味を持ち判断し、映画の全てとご自身の役割を熟知していたと教えてくださいました。

名言として「彼(柄本佑さん演じるキャラ)の股間に江戸(の空の青色)がある」なんてものも生まれました。

さいごに

春画というタイトルに恥ずかしさを覚えず、堂々と観に行ってほしい作品です。
何かを偏愛したことがある人なら、対象が春画でなくても共感できたり「さすがにそこまではしないｗｗ」と笑えたりするのではないでしょうか。

変態が変態のまま突っ走る偏愛コメディ『春画先生』は10月13日（金）より上映中！