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宝物の石みたいな感じ

 2022年3月24日

 今日は,大学に行ってから,夕方からトウフーというユニットライブに参加させていただいた.ちなみに,トウフーとは当風という漢字から来ており,今の世で流行しているものという意味がある,非常に格好いいユニットライブ名である.


 大学は卒業式をしていた.僕は大学3年で休学しているため,僕の代が卒業する代にあたるが,僕は大学生のまま.スーツや晴れ着の人々がたくさんいた.コロナにより,オンライン授業が主となっていたので,こんなにも同世代が大学にいたことを考えると驚愕した.

 前回,卒業というものに触れてしまったから,追記で書くことになってしまうが,やっぱり空気にうっすら緊張と哀しさみたいなものが混じっていた.それらは決してネガティブなものではなく,新しいことへの出発に必要な感情たちだと思う.

 当時,いつも一緒にいた友達に会って,写真を撮った.そして,食堂横のパン屋さんでパンを買って食べた.

 あれほど当たり前だったことに終わりが来ると突き付けられた瞬間だった.よし,人生やってやろうじゃねえかと奮い立たせられる瞬間でもあった.僕は昔から,物への思い出を大切にしすぎて,物を捨てられなかった.親からは捨てなさいと言われた.でも,絶対に何が何でも思い出は捨てたくないから,全部持って行ってやると,思っていた.

 今に至る.僕はたくさんの物を抱えている.最近,流れに逆らえなくて,徐々にぽろぽろ落としている.振り向けば,落とした物が断続的に,それでいて果てしなく,道となって,地平線へと続いている.それでも,前へ進まないといけない.落としたくなくても捨てたくなくても,いなくなってしまうものをつなぎとめるのは,僕のエゴのような気もするから.浮雲を縄で縛るみたいなもの.


 大学のクラス担任にも少し挨拶した.その後,なぜだか,学位記授与式を見学できることになって,皆が受け取ることを見ていた.皆はスーツや晴れ着.僕だけ,威嚇したレッサーパンダが刺繍されたカーディガン.異質.

 一人一人受け取っていく.僕の学科は60人近くいたのだが,案外,多くの各々の人にまつわる記憶が思い出された.昔,僕は,名前と顔を覚えるのが苦手と言っていた.本当は結構得意だった.なんだか僕が皆に覚えられていて,僕が皆を覚えていない方が格好いいと思っていたのだ.恥.結局,誰にも覚えられず,僕だけどんどん覚えていくので,言うのをやめた.

 皆変わったようで,変わってはおらず,でもどこか少しだけ,脱皮しかけているような雰囲気だった.同い年の僕が何言ってんだかと思うけれど,僕が皆に会わなかった2年間,皆は皆でいろんなことがあったのだろうと思う.それがぼんやりと嬉しかった.


 大学を後にして,ライブ会場である中野シアターかざあなへと向かった.

 ネタが完成していなかったので,ぎりぎりまでネタ合わせをした.今回のネタは,最近新たに分かった,僕の特技である,すぐに顔を真っ赤にできることを主軸にしたネタだったので,楽屋で赤くするトレーニングをしていた.ちょいちょい,けんぞうさんとお話しした.楽しかった.

 今回のゲストの二組のうち,一組のダックワーズは,人力舎の同期なので,いろいろと喋った.佐藤さんは「あめちゃんのnoteいつか見るよ」と言っていたが,会うたびに毎回言われるので,たぶん見ないだろう.九十九さんは相変わらず,変な絡み方をしてくる.あっちいけと言うとすごく嬉しそうにする.愉快な二人.ダックワーズがネタをしている時,裏でネタ合わせをしていたが,面白すぎて,新井さんが集中できなくなっていた.

 出番を終えてから,あおいちゃんのおもてさんとずっとお話しした.凄く楽しかった.えへえへ言いながら話した.その後,楽屋で超リフレインの阿賀さんが威嚇したレッサーパンダが刺繍されたカーディガンを褒めてくださった.誰かに褒めてほしくて頑なに1日中来ていたのですごく嬉しかった.ツンツクツン万博のガイさんに「ネタおもろカッコよかったです」と言ったら,すごくにんまりしていた.前にいぶきというライブでもそう伝えた時,「それは最高の誉め言葉だ」と言っていた.

 帰りに,超リフレインの阿賀さんがご飯に誘ってくださったので,柿田さんと行った.あおいちゃんのみむさんとおもてさん,ダックワーズの佐藤さんと九十九さん,リンドバーグの舛谷さんも一緒にみんなで行った.おもてさんが「好きなの,頼みぃ」と言ってくださり,オムレツカレーに目玉焼きをトッピングしたものをごちそうになった.卵尽くしだった.皆で賑やかに夕食を食べた.隣に舛谷さんがいたが,一人だけ先に注文していたため,皆が食べ始める頃には,既に食べ終えていた.また,大学お笑い出身だったので,それらについていろいろお話しした.柿田さんは牛焼肉定食を食べていた.


 すごく充実した日だった.人見知りなので,トウフーのメンバーとようやく話せるようになってきてすごく嬉しい.中野駅方面まで歩く人は僕しかいなかったので,雨の中を一人で歩いた.急に寂しくなるけれど,それぐらい楽しかったということでもある.aikoの「深海冷蔵庫」を聴いて帰った.歌詞の一節に出てくる,”宝物の石”という表記,自分以外からしたらただの石かもしれないけれど,自分にとっては宝物だ,ということなのだろう.僕にとっての今日もそんな感じだ.


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