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ガン、私の場合②緊急手術

 目が覚めると、薄暗いところでベッドに仰向けになっていました。まだ麻酔が効いていたのか、体に痛みはありませんでした。私は前日からの流れをゆっくりと思い出して、今後のことを考えていました。そこにドクターが来て、何か話したと思いますが、何を話したかは覚えていません。また眠っては目覚め、また眠っては目覚めを繰り返しているうちに、おそらくICUで一夜を過ごしたのでしょう。
 やがて別のドクターが来て、病棟用のベッドに移り、個室に移動しました。その時にドクターから言われたのは、
「レベル4のS状結腸ガンで、憩室炎を起こしていたので、S状結腸を全部摘出しました。今は人工肛門がついてます。もう少し後だったら手遅れになるところでした。」
とのことでした。

 ガンであることは薄々考えていましたが、手術の結果人工肛門を付けるということになるとは考えていなかったので、かなりの衝撃でした。しかし、更なる衝撃に見舞われることになるとは、この時は思いもしませんでした。

 当時はまだコロナ禍の前でしたので、入院生活も(ある意味)楽しいものでした。妻は私の突然の入院に、いろんなことに対処しながら、毎日のように顔を出してくれましたし、痛みを我慢してフロアを歩く時は、看護師さん達が笑顔で応援してくれました。ごはんを待ちながら病棟端の談話スペースでは他の入院患者さんたちとの会話は、貴重な情報交換の場になりました。今では考えられないことですね。

 術後の経過は順調で、十日も過ぎるとごはんも普通食に近くなり、入浴が許可されました。そして、妻を呼んでストマ(人工肛門)の交換の練習をしました。
 最後に超音波検査で腸管と膀胱が癒着していないことを確認して、退院の運びとなりました。
(つづく)
 


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